閑話⑥(中間編) 「支えるという選択」
カフェ・続き
阿利佐が席に戻り、空気が完全に整う。
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「じゃあ、もう一度確認するわね」
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母の声は穏やかだが、どこか仕事のように的確だった。
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支援体制の整理
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阿利佐は指を折りながら話す。
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「まず、桃華ちゃんは大学復学」
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「これは決定」
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桃華が頷く。
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「はい」
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「次に育児」
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「ここは完全に一人じゃ無理」
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視線が颯太へ向く。
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「颯太だけでも潰れるわよ」
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颯太は苦笑する。
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「まあ、それはそう」
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阿利佐は続ける。
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「だから家族で分担」
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水上家の役割
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「父さん、姉、弟にも共有する」
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「基本的なサポートはうちで回す」
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颯太が少し驚く。
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「そんなに?」
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阿利佐は即答する。
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「当たり前」
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「孫三人よ?」
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その言葉に桃華が少し固まる。
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「……すみません」
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阿利佐は軽く笑う。
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「謝る必要はない」
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「ただ、生まれた以上は責任よ」
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空気が少しだけ引き締まる。
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マネージャー側
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ほのかが口を開く。
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「仕事面は私が整理します」
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「完全復帰ではなく、段階的に」
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「外に出す情報は制限」
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「復学優先のストーリーで統一」
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颯太が頷く。
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「それでいい」
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桃華も小さく頷く。
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「お願いします」
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阿利佐の判断
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阿利佐が少し考えてから言う。
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「あとね」
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「うちに来なさい」
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「え?」
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颯太が聞き返す。
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「家に呼びなさいってこと」
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「一人で抱え込むなって言ってるの」
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桃華が目を伏せる。
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「……いいんですか」
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阿利佐は即答する。
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「むしろ来ない方が困る」
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「孫の顔見れないとか無理」
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その一言で、少しだけ空気が柔らかくなる。
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最終確認
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阿利佐は最後にまとめる。
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「つまりこうね」
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「桃華ちゃんは大学」
「颯太は育児と学業」
「ほのかちゃんは仕事調整」
「うちは生活支援」
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「これで回す」
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静かな沈黙。
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そして――
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颯太が小さく笑う。
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「すごいな、これ」
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桃華も笑う。
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「ほんとに家族計画みたい」
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阿利佐は肩をすくめる。
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「現実よ」
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カフェの外
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夕方の光。
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少しだけ柔らかい風。
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桃華が小さく呟く。
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「なんか……安心したかも」
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颯太が頷く。
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「もう一人じゃないからな」
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ほのかが静かに言う。
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「ここまで来たら、ちゃんと守りますよ」
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阿利佐は立ち上がる。
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「じゃあ次は実行」
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その一言で、この話し合いは終わった。
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でもそれは――
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“問題解決”ではなく
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“生活のスタートライン”だった。
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