2.1 ギルドでの再会
ギルドを出て、再び森へ向かおうとしたその時だった。ギルドの重厚な扉を背に、俺が依頼書を握りしめていると、背後から、少しぶっきらぼうだが、どこか透き通るような声が聞こえてきた。
「ねえ、君、もしかして新米冒険者?」
振り返ると、そこに立っていたのは、俺と同じくらいの年の少女だった。鮮やかな赤い髪をポニーテールに束ね、その毛先は風に揺れて、まるで燃える炎のようだ。背中には、彼女の身長ほどもある大きな弓を背負っており、その弓には、使い込まれた痕跡が刻まれている。瞳はエメラルドグリーンで、まるで森の奥深くにある湖のように澄んでいるが、その奥には、どこか警戒心を秘めているように見えた。服装は、動きやすそうな革製の軽装で、腰には小さなポーチがいくつかぶら下がっており、中には矢筒が見える。彼女の全身からは、獲物を追うハンターのような、鋭い雰囲気が漂っていた。
「あ、はい。そうなんですけど……」
俺が答えると、少女は俺の手にある依頼書に目をやった。その視線は、依頼書の内容を瞬時に読み取っているかのようだ。
「『ルナグラス採取』? ふうん、やっぱりね。一人で森に行くつもり?」
彼女の言葉には、どこか呆れたような響きが含まれていた。俺は少し気まずそうに答えた。
「はい、まあ……そのつもりですけど」
確かに、初めての森で、しかも魔物が出るような場所だ。一人で行くのは心細い。岩石狼との遭遇を思い出すと、まだ背筋が凍る。しかし、他に頼れる者もいない。
少女は、じっと俺の顔を見ていた。その視線は、まるで獲物を観察するハンターのようだ。俺の表情、服装、そして依頼書を持つ手の震えまで、全てを見透かされているような気がした。沈黙が、重くのしかかる。




