囚われた⁈
「私は、あの人があんなことをするなんて思ってませんでした!」
へ?
……あの人?
彼女は今、あの人と言いましたよね?
誰でしょうか?
彼女が怒っている原因に、アルやお母様の他にも関わっている方がいたんですか?
……いたんですね。
リリアの顔を見る限り、嘘をついているように見えませんし。
「ねぇ、リリア。詳しく教えて?」
「聞いてくれます? シンデレラ様‼」
「お願いするわ」
「はい」
なぜだか……リリアが、何かを嘆いているように見えたのです。
でも、これは言わないでおきましょうね。
話をこれから聞くのですから。話がそれてしまうもので。
「それは、4日前ーーシンデレラ様がカイル様のお屋敷に行った少し後のことです」
ふむふむ。
私がいなくなるのを待っていたかのように行われたようですね。
ちょっと……ひどい。
「私は、奥様から渡された物を、ハウエル家に届けるようにと申されたので、ハウエル家を訪ねました」
「えぇ」
私は、小さく頷きます。
「ーーそしたら、お屋敷にあの人がいたんですよ!」
リリアは、話に興奮しながら私の両肩を掴んで揺らします。
あっ、ちょ……リリア。揺らさないで〜〜!
揺さぶられて、思考が定まらないです。
えっ? 何なの?
届けに向かって、『あの人』にあった?
リリアが手を離してくれたので、私も落ち着いてきました。
若干、クラクラしますけれど……。
「あの人は、私を誘い出すために……アルさんと奥様に協力を仰いで、私を越させたんです!
……そう本人が言っていたんですよ! ひどいです‼ 」
少し息切れしながら、リリアは話します。
息を整えた後ーー彼女はポツリと呟いたのです。
「私、こんなひどいことをする方だと思いもしませんでした……」
「……あの人って?」
彼女が言うあの人が私にはまだ、さっぱりわかりません。
まず、あの人が誰のことを示しているか知らないといけませんね。
少し間を取ると……リリアは、いいずらそうに語ります。
「それは、お、王子ーーーークリス殿下です」
「えぇーー‼?」
ク、クリス殿下⁉
はい⁇
なんで、そこにクリス殿下が出てくるんですか⁈
アルと殿下の関係もよくわからないし……。
それに家に、殿下と関わっている人なんているの?
「とても大変だったのね……」
私が一言、そう言うとリリアは、ポロポロと泣き出します。
「そ、そう言って……く、くださるのは、し……シンデレラ様だけです。……ぐすっ」
私は、リリアの髪をそっと撫でてあげました。彼女は、気持ちが静まったようです。
少し、涙がおさまるのを待ってから聞いてみたのです。
「でも、帰って来れなかったのは何故?」
普通だったら、ハウエル家から屋敷に戻って来るのに、1日もかからずに帰ってこれるはずです。
なのに、何故だか彼女は帰って来なかったのです。
リリアは、言うのを戸惑いがちに応えます。
「いえ、あの……ハウエル家の方々に閉じ込められました」
「なっ⁈」
あり得ない‼ ハウエル家の方々は、なんて事を!
閉じ込めるなんて、ひどすぎだわ‼
「多分、クリス殿下に指示されたのでしょう……」
「そんな……」
リリアが怒っていた理由も分かった気がします。
「私は、メイドさん達に押さえられ、勝手に着替えさせられました。その後はーークリス殿下と部屋に2人っきりにされて、部屋の外から鍵をかけられたのです」
な、ななな! なんて話だ‼
殿下は、そこまで彼女に……⁉ たった1度会っただけで?
だからって、私の大切な友人を閉じ込めるなんて!
私は、ふつふつと殿下に対する怒りが湧いてくるのだった。




