動揺
私達を乗せた馬車が走り出して、数分後ーー。
さっきの話が気になったので、聞いて見ることにしたんです。
「あの……クロウ様? カイル様と何を話していたんですか?」
「……内緒です」
クロウ様は、笑いながら誤魔化してます。
言えないことを話していたのですかね?
ん〜。でも、私は、気になるのです!
思い切って、聞いちゃいましょう!
「どうしてもダメですか?」
「カイルと約束で……すみません」
「それなら、言えませんね」
そっか。それならダメですよね……。
私の表情を見つめていたクロウ様が、クスクスと笑い始めたのです。
私は、突然のことだったのでびっくりしましたよ。
「あの……何か?」
私は、何か失敗でもしたかと心配をしてましたらーークロウ様が、おっしゃいました。
「いえ……あなたは、笑っている方がいいですよ? 笑顔が素敵なんですから」
えっ⁈
突然、何を⁉
にこにこしながら、クロウ様が答えます。
「カイルがいたので言えませんでしたが、あなたが今着ているワンピース、とてもよく似合ってますよ」
これは、褒められて……います?
よね。
その事を自覚すると、だんだんと顔が紅くなったのが感じます。
落ち着け……私。
取り敢えず、は、早くお礼を言わないと!
「ありがとうございます。この服、気に入ってるんです」
クロウ様は、静かに微笑むだけです。
「そうそう。一つだけなら、質問にお答え出来ますよ?」
「えっ?」
何だろうと思って私が顔を挙げると、彼の顔が近くにあったのです。
確かに馬車の中は、狭いですけど……少し前までもう少し離れていたような?
あ、あれ? 距離が近いわ。
しかも、あと数cmで私の顔とくっついてしまうくらいの所に。
「あ、あのクロウ様?」
私は、あまりの近さに驚いて固まっていました。
「原因は、あなたですよ」
「えぇっ⁉」
「 大丈夫ですよ。いい意味ですから」
彼は、小さく笑います。
でも、そんな事言われたってーー私は、別に何もしてないはずですよ?
ガタンッ!
馬車が止まりました。
「もう着いてしまったみたいですね」
クロウ様が言います。
……私の屋敷に着いたようですね。
ちょっとだけ、ホッとしました。
だって……クロウ様とこのままいたら、もしかして……わわっ‼ この先は、言えません!
「クロウ様。今日、お会い出来て嬉しかったです」
「僕もですよ。次は、カイルの婚約パーティーですね」
私は、目を見張りました。
「いらっしゃるのですか?」
私は、クロウ様は来ないと思っていたもので。
「はい。親友の頼みもありますし、他にも理由が出来たので」
クロウ様は、にっこりと微笑んで言います。
まぁ、普通そうですよね。親友の婚約パーティーには行きますよね。
でも、最後に言っていた他の理由って、何でしょうね?
クロウ様も、多分教えてくれませんよね。それに、これ以上聞くのは失礼ですし。
「そうですか。私も楽しみですわ
」
私は、出来るだけ笑顔で答えました。引きつっていないといいです。
「では、また」
「はい。またお会いしましょう」
最後にクロウ様は、私の手を取ると手の甲にキスをしたんです。
きゃ!クロウ様!
何をするのですか!
彼の突然の行動に、混乱しまくりです。
私は、顔を真っ赤にしてしまいました。
思わず、叫びそうになったので慌てて、口元を抑えました。
はぁ……良かった。叫ばなくて……。
ここは私の家の前ですので、もしもここで叫んでしまったら、途端にリリアが慌てて出てきそうですもの。
あなたのそばにいるだけで、心臓がバクバクなんですよ⁉ クロウ様!
クロウ様は、楽しそうに笑っています。
も〜。ひどいです。
「では」
クロウ様は、私に挨拶を済ませるとーークロウ様を乗せた馬車は、走り去って行きました……。




