意外な面を知りました……
「と、とりあえず、カイルはお茶にしよ! お菓子もあるからさ」
視線を逸らしていたカイル様が、ちょっと動揺しながらおっしゃいます。
「はい。どうぞ」
カイル様は、私の前に紅茶とケーキを差し出してくれました。
「ありがとうございます。 美味しそうなシフォンケーキですね」
出されたお菓子は、とても美味しそうなシフォンケーキです。
甘い香りが広がり、見た目も綺麗なので、食べるのが勿体無く感じてしまいますね。
「うん。林檎を使ったモノだよ。料理長が作ってくれたんだ」
カイル様は、嬉しそうにしてますよ。
こちらの料理長さんの料理は、美味しいことで有名なのです。
もちろん、お菓子もね。
「ほら。クロウも」
「あぁ。ありがとう」
一口食べてみると、林檎の甘さが仄かに広がって、すごく美味しくて。
そして、 紅茶もケーキに合っていて、美味しいんです。
美味しいものを食べると、自然と、笑顔になりますね。
「紅茶もケーキも美味しいですね」
私は、微笑みながら、ケーキの感想を言うと、カイル様は嬉しそうに笑いました。
「それは良かった。料理長も喜ぶよ」
私の様子を見ていたクロウ様も、ケーキを口にして、笑顔になりました。
「ホントだ。美味いな」
「だろ?」
カイル様は、当然だというような顔してますね。
「クロウ様も甘いものがお好きなんですか?」
「はい。お恥ずかしいながら」
彼は、照れながら言いました。
「恥ずかしがるなよ。僕だって甘いもの好きなんだけど?」
「それはお前だからで、普通は恥ずかしいよ」
「そうか〜?」
カイル様は、愉快そうに笑ってますね。
私としては、カイル様とクロウ様のやり取りが面白いと思いますよ?
「変でしょう? 男で甘いものが好きだなんて」
彼は、困ったように笑ってます。
「いえ。変じゃないですよ? 私の父も好きでしたもの」
「そうですか」
先ほどよりも、クロウ様の顔を紅くなってます。
私は……思わず、クスクスと笑ってしまいました。
「笑わないで下さい……」
「ごめんなさい。なんか、かわいく見えて」
「かわいいって……」
私が思ったまま口にしたら、 恥ずかしそうに顔を背けてしまいました。
ん〜。やっぱり、男の人にかわいいはまずかったでしょうか?
「ちょっと〜。お2人さん。僕もいるんだけど……忘れてないかい?」
私と彼の話を、黙って見ていたカイル様が言いました。
何を言い出すのですか? カイル様。
そんな。忘れているわけないですよ?
「忘れてませんよ?」
「そうだよ、カイル。何を言い出すんだい?」
私達は驚きながら、カイル様に視線を向けます。
「そうかな? なんか、僕、忘れられてる気がするけど……」
カイル様は、1人呟きました。
どうしたんでしょうね? カイル様は。
私は、不思議で仕方がなかったです。
この後も、3人でたわいのない話をしたんです。 婚約に至った話や、結婚式の準備など色々ね。
半分以上は、カイル様の惚気だった気もしますが……。
でも、カイル様のおかげで、クロウ様と気まずくならないで話せたので、 良かったです。
ーーいつの間にか、1時間もお邪魔していたのに私は、気が付きました。
あらら。もうこんな時間ですか?
リリアが心配してるかも……。
もう少しお話していたいけれど、そろそろ、帰らないといけませんね。
「カイル様。私、もう帰らないと」
「そうかい? クロウはどうする?」
何故、クロウ様にお聞きに?
カイル様?
「じゃあ、僕もそろそろ帰るとするよ」
にやにやしながら、カイル様は、彼を見ています。
「なら、クロウ。シンデレラを送って行ってくれるかい?」
「ふぇ⁉」
急に、何を言うかと思えば……。
紅茶を飲んでなくて良かったです。飲んでいたら、吹き出してましたよ。……ふぅ。
ーー私は、1人で帰るつもりだったんですが……。
「あぁ。いいよ」
えっ⁇ ちょ⁈
同意しちゃったーー⁉
彼は、あっさりと答えましたよ。
そ、そんなすぐに答えなくても‼
「あ、あの……1人でも帰れますから、大丈夫ですよ?」
「ついでに、乗せてってもらいなよ。ね」
ーーそうは言いますが、カイル様……。
「僕の方は、大丈夫ですよ。あなたの方はどうです? シンデレラ」
クロウ様まで!
ううう……断りにくいです。とても。
話を振られてしまいましたし……答えなくてはーー。
「シンデレラ?」
クロウ様は、心配そうに尋ねてきます。
「……お願いしますわ。クロウ様」
「はい。分かりました」
先ほどよりも、笑顔を見せるクロウ様に私は、戸惑ってしまいました。




