お泊まりですか?
「アンナ姉様もだけど、マリーナ姉様もかな?」
私は、思わず呟いたのがアンナ姉様にも聞こえたみたい……。
「えっ? マリーナも帰ってないの?」
驚いた表情を見せたアンナ姉様。
「うん。そうなの。マリーナ姉様も昨日は帰ってこなかったの。だから、カイル様のお屋敷に泊まったんじゃないかしら? 」
私は、アンナ姉様に簡単に事情を説明した。
お姉様は、私の話を聞き終わると、大きく頷いてみせた。
「多分そうね。レイン様に送って頂いた時に、マリーナもカイルに送ってもらっていたもの」
目撃していたのか……だったら、あながち私の予想は外れてないのかも?
****
家の前で、馬車が止まる音がした。
その時、ちょうどマリーナ姉様が帰って来たようだ。
「噂をすると、本人が来たみたいね」
「そうみたい」
私とアンナ姉様は、お互いに苦笑してしまった。
アンナ姉様と話していると、ドアをおもいっきり開いた。
「ただいま。アンナ姉様! シンデレラ‼ 」
マリーナ姉様にしては、朝からテンションが高いようだ。
マリーナ姉様もいいことがあったに違いない。
マリーナ姉様が入って来た後、少し遅れてカイル様が入ってきた。
「こんにちは」
「いらっしゃい。カイル」
「いらっしゃい。カイル様」
カイル様は、私とアンナ姉様に軽く挨拶をすると、マリーナ姉様の傍に寄っていく。
「カイル」
マリーナ姉様がカイル様の名前を呼ぶと、嬉しそうに姉様の顔を見ていた。
「先に行かないで欲しかったよ」
「ごめんね。でも、お母様達に早く伝えたくて」
「しょうがないな……マリーナは」
苦笑しつつ、姉様の頭を撫でている。二人は向かい合いながら話込んでしまった。
あぁ、もう……この二人は、自分達二人の世界に入ってしまっている。
私達のことがいるのに、見つめあっている。
イチャつくのは、ほどほどにして貰いたい。
まぁ、付き合ってない時でも、こんな感じだから慣れているんだけど……。
でも、さっき、マリーナ姉様が何か話があるように、言っていたしなぁ〜〜。
多分、二人が付き合い始めたことかな?
話を聞かなければ分からないからな〜。
私は、話かけるのを躊躇ったが、諦めた。
しょうがないか……。
見ているだけじゃダメだと、話しかけることにした。
「マリーナ姉様。カイル様。話があるんでしょう?」
私が、話かけてみると、見つめあっていた二人の視線は、私に向く。
ようやく気付いたようだ。
「あぁ。そうだった」
「ごめんなさいね。シンデレラ」
私とアンナ姉様に向かって、二人は謝った。
アンナ姉様は、カイル様が屋敷に来たことについて尋ねた。
「今日は、どうしたの。カイル? 朝から屋敷に来るなんて。マリーナを送ってくるだけじゃないんでしょ?」
「うん。一つ報告があるんだ」
カイル様は、アンナ姉様を一瞥した後、マリーナ姉様とカイル様は、お互いの顔を見つめて笑った。
「シンデレラ。エレナ様を呼んできてくれるかい?」
「わかったわ」
私は、すぐにお母様を呼びに行く。
「お母様、シンデレラです」
「どうぞ。入って」
返事を聞き、ドアを開く。
部屋に入ると、ソファーに座って本を読んでいたお母様の所に、駆け寄った。
「おはよう。シンデレラ」
「おはようございます。お母様。今、大丈夫ですか?」
「どうかした?」 本を閉じ、私の顔を見て、お母様は首を傾げた。
「あのね。マリーナ姉様とカイル様が、私達にお話があるんですって」
お母様は、あまり驚いている様子もなかったので、始めからこうなると、知っていたのだろうか?
「マリーナは、帰って来たのね。アンナは?」
「帰ってきてますわ」
私がそう言うと、お母様は頷き、ソファーから立った。
「わかったわ。今、行くわね」
お母様は、本を棚にしまうと、私と一緒に待っているカイル様達の所に向かった。
「連れて来ました」
「おはようございます。エレナ様」
「おはよう。カイル様。お話ってなんですの?」
お母様は、挨拶を済ませると、カイル様に話を促した。
「はい。一つ報告があって伺いました」
ゆっくりと、語り始める。
ーーーこの時の報告は、私の予想を遙かに越えていたものだった……。
あれ?
アンナとマリーナの呼び方が、変わってきてるような?




