不安と心配
「シンデレラ様! 皆さんが見てますよ‼」
リリアは、うろたえているようだった。
リリアの言うとおり、近くにいた人たちの視線を、集めてしまっていたようだ。
「そ、そうね!」
私は、慌ててリリアと離れると、近くにいた方々の視線は、もとの位置に戻る。
「良かった」
「そうですね」
私たちは、そっと肩を下ろした。
****
「ねぇ、リリア?」
私は、リリアに呼びかけた。
「……シンデレラ様?」
私は、聞きたかったことを彼女に尋ねた。
「クリス殿下とお話できる機会なのに、良かったの?」
先ほどまでの、リリアの様子が変わった。
そして、静かに話しだした。
「クリス殿下は、先ほど国王様に呼ばれていましたので……失礼させてもらったんです」
どこか不安を隠しているように見えた。今度は、彼女の瞳を真っ直ぐ見て問う。
「それで良かったの?」
彼女の話を聞いた私は、心配だった。
今まで彼女が、こんな風になることは、ほとんど見たことがなかったから……。
「いいんですよ。確かに……殿下と踊れるなんてことは、もうないと思いますけど……」
だんだんと声が小さくなっていくリリア。
「でも……」
「私には、あのように素敵な方には似合いませんわ」
そう言い切ったリリアは、少し悲しんでいるように見えた。
クリス殿下を好きになってしまったのね……。
私は、そう確信した。
そんな時ーー。
誰かの視線を感じた。
私は、視線を感じた方に目線を向けた。
あれは……殿下と国王様?
私たちを、壇上にいる国王様とクリス殿下が見ているのを、私は気付いた。
クリス殿下は私に気がつき、口元に指を当てていた。
リリアに言うなと言うことかしら?
クリス殿下から、視線をリリアに戻し、私は黙り込む。
私が、心配する必要はないかもね。
そう感じた。
「逃げられるかしら?」
私は、うっかり口を滑らせてしまった。
「何か?」
リリアは、心配そうに私の顔を覗き込む。
「ううん。なんでもないの」
心配させないように私は、微笑みかけた。
「?」
リリアは、首をかしげる。
リリアを不安にさせないように、話題を替えた。
「でも、良かったわね。リリア。クリス殿下と踊って頂いて」
私がそう言うと、リリアも笑顔になって言う。
「はい。私もそう思います! 今日は、奇跡が起きたんですよ‼ 」
彼女は、言い切る。
「そう?」
私は首をかしげるが。
「だって、もうこんな奇跡起きるわけないですもの」
リリアの場合は、これからもクリス殿下に会えるような気がするけれどなぁ……?
「奇跡ね……」
彼女にそう言うと、私は庭園のことを思い出していた。
奇跡ーー私が、あの方に会えたのも奇跡ということかしら……。
「シンデレラ様?」
また、リリアに心配させてしまったらしい。
「あっ! ごめんなさいね」
リリアに向かい、小さく謝った。
「今日はどうかしたんですか? あなたらしくないですよ?」
私の様子に、彼女が戸惑っているみたいだ。
「ちょっと、疲れてしまったのかも……」
私は、苦笑しつつ、彼女に言った。
「そうですか?」リリアは、心配な様子。
「えぇ」
そんな彼女に、私は、微笑み返したのだった。
今回は、シンデレラとリリアの二人だけの会話になってしまったなぁ……σ(^_^;)




