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座頭の石 (ざとうのいし)  作者: とおのかげふみ
第二章 ソの郷

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ep.9 郷

(よし)の家に着くと、女性たちは荷車から積み荷を下ろす作業をすぐに始めた。

着いた途端に二人が次々と手を伸ばして来るので、慌てて(いし)は取り手の囲いの中から逃げた。


... 怖かった、生ける屍(ゾンビ)に襲われたかと思ったぜ


そのまま石は荷車の側でぼんやり立っていた。

すると、テキパキと忙しくしていた(つる)からの一言。


「いっさん、ここはもう良いですから」


...ここに居ると邪魔って事かよ


(てい)よく追い払われた。

仕方がないので、忙しそうな荷車から離れて、立っていた。


...仕方ねえ、(たえ)のほうが、あしよりもよっぽど役に立ってるしな


石を誰も責めたりしないが、まだ幼い、たえまで片付けの手伝いを頑張っているのに、ぼんやり突っ立ってるのは大人として流石(さすが)に気が引けた。

といっても、殊更(ことさら)やる仕事もない。


風の音に耳を澄ませた。


...なんだ?


(わず)かな音と人の気配を感じて、そちらに意識を向けた。


... (けもの)か?


石の耳が、ひくひくと動く。

遠いが、二本足で刻む足音。

サクリサクリと、この家に近づいて来るようだ。

石は気付かないふりをしながら、その音に集中した。


...よしの知り合いの、郷の住人だろうか?


足音は一瞬止まって・・・また動き出した。


...向こうは気付いたな


足音の来る方向へ、杖先を置いた。

ザッザッ!と振動が手に伝わる。


...もう、こんなに近くに来てたのか!


石はゾっとした。


相手は、居場所を隠すことに()けている。

歩幅を変えたり足を強く弱く踏んだり、呼吸も抑えていて捉えどころのない奴だ。

この距離なら、普段であれば相手をだいたいイメージ出来る。だが、まだ相手が男か女かさえ掴みきれてない。


...(しのび)みたいな奴・・・


よしの話では、ソの郷(ここ)は顔見知りしかいない小さな集落で、みんな身寄りのない者達。

遠方(えんぽう)から、訪ねて来るような縁者(えんじゃ)は居ない人々が多いとも言っていた。

過去が分からない者は多いようだが、皆ごく普通の人達で、今は、そのほとんどが職人という事だった。


...郷の住人なのか? それとも助五郎(スケゴロウ)の手下に()けられていたのを気付かなかったのか?


助五郎には、居所を知られないほうが身の為と、石は考えている。

最悪、屋敷に行って今より(こじ)れた結果、逃げなきゃならないこともある。


奴が、足を止めた。

互いの距離は三歩半くらいか、一撃には遠く、仕掛け始めには丁度(ちょうど)良い距離。


...男だ、助五郎の手下なら居場所を報告される前に叩く。その後は先へ行くふりして来た道を戻ろう。そのほうが追いかけられるよりマシだ


まだ素知らぬ顔をしながら、石は身体に力を込めた。

石は、いつでも暴れられるように杖の握りを変える。


すると、男のほうが声をかけてきた。






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