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生き残ります

「こんにちは。アテナ今日は柘榴を森で取って来たからおやつに食べよう。」


いつも。と言うか毎度お世話になっているアテナには出来るだけお礼返しに何かを持って行く様にしている。食材を使った事がバレると、ジェシカ様から鞭が飛んで来るのでなるべく森で果実等を取って持って行く。お金もないなら気持ちね。そんな些細なものでもアテナは喜んでくれるから、調子に乗って持って行く。既に今日は7月14日明日は運命の日。

二人で柘榴を割って齧る。殆ど種だから吐き出すのが大変。でも甘くて美味しい。


「名前が返ってくるわよ。でもね、そのままの名前だとジェシカ達に見つかってしまうから、名前を変えないといけないわ。例えばニックネームとか。エメとかディア。在り来たりだから直ぐに見つかるわね。」


何処で聞いた事があるネームだけど思い出せない。誰だかそう呼ばれていた様な…。首を傾げるが、思い出せない。アテナは怪訝そうな香りをしながら続けた。


「とあるイケメンな人が、名前を返せ的な事を言うからその瞬間に本当の自分に戻りなさい。名前が返って来たら、全く違う人物を思い浮かべてチェンジしなさい。気配や香りも今迄とは違うものに変えるのよ。直ぐに転移して、3回に分けて移動して貴女の家へ行きなさい。魔力をかなり使うから疲れる筈。ゆっくり休んでおきなさい。後で行くから。」


話を聞くだけで、疲れるのは目に見える。でも仕方がない。生き抜く為だ。死ぬより怖いものは無い!

私は頷いて応えた。

二人で柘榴を食べて伯爵家へ帰った。

伯爵家では、賑わっていた。なんでもエメラディア様が、聖女として王太子との結婚を打診されたらしい。

ジェシカ様も伯爵もエメラディア様を抱きしめて、褒め称えている。夕飯も豪勢にしたいらしいが、食材が無いと告げると三人で出掛けて行った。

レストランでも行ったのだろう。

そんなお金が何処にあるのか?

私は準備しておいた夕飯をちゃっかり頂いておいた。


明日にはここから居なくなるから全然平気。今回馬飼のバンスはアテナに寄って伯爵の高いカフスを盗んだ疑いを掛けられてクビになっていた。これでバンスに殺される事は無くなった。

安心。安心。まだ、エメラディア様と王太子が居るけどね。でも夕飯を食べ終わったら私はアテナが用意してくれた家に移動する。側に居たら何かあるか解らないから。夕飯は美味しく頂いた。パンにビーフシチュー。野菜は肉よりも少ない。痩せた土地だから仕方がない。農作物が取れなければ、それを食べる家畜も育たない。悪循環だわ。

食器を洗い転移魔法で移動した。


灯を燈すと、私の選んだ私の部屋が暗がりから顔を出す。アテナと一緒にリフォームをした。


「私の為の家。」


誰も拾う事がない言葉を紡ぐと自然と涙が出て来た。

明日にはやっと人としての生活が出来る。

アテナと出会えて良かった。


今度こそ!今度こそ生き残ってやる!


いつもの小汚い装いの魔法を解いて、本来の自分に戻る。いつもは燻んだグレーの顎位の髪はプラチナシルバーのロングヘアに日焼けした様な肌は真っ白い雪の様な肌に瞳も燻んだ蒼からエメラルドに。アテナが壁に付けてくれた鏡を見ると、自分に慣れなくて落ち着かない。お風呂を用意して髪を洗い洗顔して、身体を洗うとバラの香りが動く度に鼻腔をつく。

お風呂って素晴らしい。

この石鹸はアテナが私用に作ってくれた。

パジャマもドレスもワンピースもアテナと一緒に買いに行った。腑に落ちないのは、


庶民はドレス着る機会がないのよね。ドレスは要らなくない?


アテナが


「一応用意。何があるか解らないわよ」


と言うので買った。私は絶対に要らない物とは思っている。でも母代わりで友人であるアテナに否は言わない。クローゼットを閉めて、私用に購入した人生で初のベッドに入り気持ち良さで直ぐに夢の世界へと落ちた。


翌日は、アテナから言われた通りチェンジの魔法で姿を全くの別人に変えて初めて着るワンピースに袖を通して、森へと転移で移動した。

森は騒ついていた。珍しいな。と少し歩み寄ると、湖の側には、伯爵とジェシカ様とエメラディア様と王太子がアテナとアテナの家で偶に会った男の子と彼に良く似たプラチナシルバーにルビーの様な瞳の伯爵より若い位の男性が湖を背に向かい合って立っていた。

もう始まっていたのね。


「では、この湖の水を掬い飲んでみよ。」


アテナの隣に居る男性がエメラディア様に向けて言うと、エメラディア様は優雅に水を掬い口に入れる前に口元を掻き毟りながら転がり回った。

ジェシカ様と伯爵は助けようと手を伸ばすが激しく転がるので、手を引いたり出したりしている。

暫くすると、仰向けになって痛みの余り意識を失ったエメラディア様の口元は腫れ上がり皮膚は溶けた様に爛れていた。

次にアテナは王太子に魔法で何かを見せていた。

王太子の顔は青褪めていく。


「『心清き者には癒しを。心醜き者には罰を。過去に人を殺めた者には、苦痛を与えよ。』これが本当のあなた方が言う聖女が湖に掛けた魔法ですよ。さあ王太子よ。あなた方が言う聖女をお望みならば、この湖のお水をどうぞ。飲む必要はありませんよ。顔に少し付けるだけで結構です。私の手伝い要りますか?」


王太子は俯いて小刻みに震えている。

と、言う事は彼は私を殺した2回を知ったんだ。あの過去とは、逆行前を示して呪文にしたから。


「お前は二度も私を謀ったのか!」


男性の怒声が響き渡る。次の瞬間雷が伯爵とジェシカ様を貫いた。ピクピクと何度か震えた指は動かなくなった。


「盗人よ私の大切な者から奪った名前を返して貰うぞ。」


その言葉に魔法を解き本来の私の姿て木の影から伺う。アテナの家で会った男の子がキョロキョロと誰かを探し始めた。


「お祖父様!エメラディアが居ました。あそこです!」


彼が私を指差すと一斉にそこに居た人達が私を見た。それこそ王太子の近衛騎士達迄も。

アテナの家で会った彼は私の方へ飛んで来ようとした。ほんの一瞬の差だった。テレポートで私は何度か飛んでその度に気配や自分の匂いと魔法痕跡を変えて、念には念を入れて5回に分けて移動して我が家へと着いた。ベッドで少し横になり、回復してから下に降りて行くと、アテナと男性がお茶をしていた。

男性は立ち上がり胸に手を当てて騎士の挨拶をした。


「こんにちは。私はラルクアン・アシアン・ド・イマジンと申します。助けて頂きありがとうございました。」


アテナと彼が居る事で今回生き残れた事を実感した。






読んで頂きありがとうございます。

ブックマークや評価⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ありがとうございます。

誤字脱字報告もありがとうございます。

助かりますm(_ _)m

今後とも宜しくお願いします

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