帰ろう
次回がラストになります。
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お母さんはニコニコとかなりご機嫌だった。正確には王太子以外は皆んなご機嫌だった。
「さて、ストーカー2は消えました。ストーカー1は…どうしましょう。」
可愛らしくコテっと首を傾げて向けた視線の先には王太子ギルバートが居た。
此方がストーカー1と言う事はグレッドがストーカー2と言う事か。彼の場合放置していたら、隙あらば拉致されている可能性は否定出来ない。
王太子だって、そこそこやらかしてはくれたが、精霊王が話しに行ってからは、一切干渉が無くなった。
「私達王族は精霊王との新たなる契約がありますから、付き纏いはしませんよ。」
少し寂しげに応えた。そう言えば、エドと精霊王が一緒に話し合いに行った内容は聞いて居ない。
どんな話しをしたんだろう。
「ああ。王族の洗礼を未来永劫しないってお話しですね。王族が、しつこく付き纏うなら、洗礼はしない宣言を精霊王がなさいました。辞めるから許して欲しい。と言う事で契約を新たに交わしました。だから、口説く事は出来てもエディが迷惑だって言えばそれ以上はしては来ないと言う事ですよ。」
成る程…有難い契約だわ。
「じゃあストーカー1も大丈夫ね。で、王太子様ハンス伯爵は如何なさるおつもり?まだ拘束中だけれど。」
「連れて帰ります。と言いたい所ですが、我々は転移魔法で此方迄来てしまっているので。」
王太子はアレクサンダーとエドに視線を向けた。
アテナがラルクアン様の腰に腕を回して抱きついたまま此方へ歩み寄って来た。
アテナのこの姿は流石に心が騒つく。子供の頃から側に居て助けてくれた養い親の様な存在が…知っている男の人とイチャつく姿は…見たくないかも…。
アテナはそんな私の気持ちは察する事なく、幸せそうな笑顔を向ける。
「取り敢えずエドとアレクで送ってあげなさいな。今日は体力的にもキツイだろうから、今日は此方で休んで貰って、エリーにご飯作って貰って体力回復させてから、連れ帰って貰えば良いじゃない。そして、エドとエリーもエリーの家に帰りなさいよ。もう逃げ回る必要は無いでしょう。エリーに取っての悪党は全て処理したんでしょ?」
そう言えば。逃げて来たけど、問題は解決したから、帰れるのか。シーナさんも元気になったみたいだし。ファボさんのお店に何時迄も居座る訳にはいかないから。
「帰ろうかな。」
ボソリと呟くと、皆んなが拾ってくれた。
「そうよ。彼方のお店ならいつでも行けるわよ。」
「何アテナしょっちゅう来る気なの?」
「エリーゼ達の側に居たくて、森の最奥でドラゴンハントや魔物ハントをして魔道具の材料をゲットして売り捌いてお金作ったから、今大金持ち。だから側の家も買えるわよ。」
「それで最近やたらと忙しいって言っていたの?」
「お陰様で精霊達には感謝されて、加護を沢山頂いたし。良い事尽くめ。」
アテナは親指を立てた手を突き出して見せた。
お母さんは溜息を吐いてからアテナを見た目は嬉しそうだった。
「エメラディアちゃん。私をエメラディアちゃんのお家に連れて行ってくれる?」
大きく頷くと、エドが後ろから抱き付いて来た。
「僕も一緒だよね?」
耳元で囁いて来た声に昔森で寂しそうに一人で本を読んでいた男の子が頭に浮かんで来た。
あの子と私は同じだと思った。魔法の練習をしながら同士だと思った。一緒に居てくれる事が嬉しかった。
あの時の名無しの私を無条件で受け入れてくれたのは、アテナと彼だけだった。
「そうだね。エドも一緒に帰ろう。」
振り返って声の主に告げると、笑顔だったけど、目尻には光る雫の粒が落ちずに頑張って留まっていた。
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