頑張った褒賞
今回あの方が久しぶりの登場です
弓の弦の音の後矢が飛んだ気配は無かった。改めてカンジュへ視線を送ると、震えながら失禁している哀れな姿が目に入った。
お母さんとアテナは顔を見合わせて笑っている。ドアの外からは、沢山の足音が聞こえて来た。こんな奴でも一応は大司祭を名乗っているのだから、当然やって来るのは神殿に仕える聖騎士だろう。
お母さんもアテナも喜んでいる場合じゃない。聖騎士が来る前に逃げなきゃいけないのに。
お母さんとアテナに声を掛けようとした時に
「犯罪者を捕縛せよ。」
と聞いた事がある様な声が響き渡った。先頭に立つ人が逆光で顔は見えない。騎士達は駆け寄りカンジュを捕縛した。
「あれ?」
素直に声が漏れてしまった。捕まると思っていたら、奴が捕縛されるとは。先頭に立っていた人が、ゆっくりと此方に歩み寄って来た。
「俺の助けは間に合ったかな。エメラディア。」
跪き私の手を取り指先に唇を寄せた人の顔を見れば
「げっ。王太子。」
認識した瞬間に顔を歪めてしまった。
「本当の貴女は、キレイだな。俺はこの姿をきちんと見るのは初めてだか、やはり貴女に心を奪われてしまうよ。」
王太子の手を弾き落として、手を引っ込めて服で王太子が触れた部分を拭った。
暫く会わない内に臭い台詞の勉強でもしていたのか。
この気持ち悪い台詞をこれ以上吐かせない為にはどうするべきか?
「エメラディア!お母様!無事ですか。」
アレクサンダーが駆け寄って来た。私も王太子よりアレクサンダーの方が良いので、両手を広げたら目の前に居た王太子が抱きついて来た。
お前じゃない!
離してよ!
ピッタリとくっ付いているので、彼の背中を両手で拳を作り叩くがビクともしない。
「おい。妹を離せよ。エメラディアは僕に手を伸ばして居ただろう。」
冷えた目で王太子を見下ろすアレクサンダーが恐ろしいのに、王太子は背中をむけいるので、アレクサンダーの顔は見えない。寧ろ私しかその顔を見て居ないから怖いのは私だけ。
「あの、アレク。心配してくれたの?」
「エメラディア。」
初めて愛称呼びした事でアレクサンダーの機嫌は一気に上昇した。
でも次の瞬間には、私は横抱きにされていた。驚いて顔を上げると、エドが笑顔で見下ろしている。
「遅くなってごめんね。」
「シエル副長官。何故エメラディアを抱いている?」
王太子が呻る様な低い声で言う。
「だって僕エディと結婚しますから。」
「はぁ?」
キレイに私とアレクと王太子でハモった。
自身が知らない結婚って何?
「あぁ。お父様がね。この後変な男に捕まる前にマトモな二人の何方から選べって言われて。ラルクはダメになったから、今回頑張ったら、結婚許してあげるって話をしたのよ。実際頑張って、王宮からこの人達を連れて来たから、許可する事になったみたいよ。」
意味がわからない。
すみません。私個人の意見は何処ですか?
エドに横抱きにされたままで、エドを見上げると、
「僕、頑張ったでしょ?褒めてくれるエディ。」
頬を引き攣らせて、エドから頑張って降りた。
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