聖なる食べ物
エメラディアが作った料理はテーブルの上に綺麗に並べられていた。料理は今迄食べられる物で味も酷くなければ、どうでも良い位に考えていた。
正直料理なんかした事が無いから、例えば、キッシュを作る為に必要な食材なんか解らないし、どう食材を集めたら良いか。なんかもっと知らない。興味が無い。食べ物は、毒味された安全なものをただ、出されて食べれば良いだけの物だった。
しかし、今目の前にある食べ物はまだ温かく、湯気も出ている。
置いてあるスプーンやフォークを持って、まだ誰も食べていない食べ物を口にする。毒味もされていない。
いや、毒味なんてする意味がない。
何故なら此処に並べられている食べ物は、毒とは対極にある。聖なる物が沢山入っているから。
毒消、癒し、マジックパワー、体力増強、浄化等
食べる程に力が出て来る。成る程、数ヶ月前にフェビス国の王太子暗殺を試みた公爵は毒で殺そうとして、この毒の反転返しを食らった訳か。
凄いな。やっぱり欲しいな。この力。
「殿下!毒味もしていない食事を摂るのはお辞め下さい!何かあってからでは困ります。」
フォークで、ローストビーフを刺して、ワンズの口に押し込めた。論ずるよりも、体験が早い。
ワンズは不意に口に押し込められたローストビーフを眉間に皺を寄せて、ただ含んでいたが、何かに気がつくと咀嚼を始めた。
「何ですか…これは。疲れはなくなるし、力が漲って来ますよ。何がしてあるのですか?」
「まあ。…色々だな。毒消も入っていれば、癒しもしてくれる。体力増強も施してある。騎士が食材を集めたと言ったし、食べのも騎士だと言ったから、彼等の為にやったんだろうな。何とも優しい聖女様だ。」
ワンズはローストビーフを飲み込むと、他の食べ物にも手を伸ばした。
そう。この食べ物は、食べ出すと止まらなくなる。
疲れていれば、尚の事だろう。
ワンズも使える奴だから、人よりも動く。だから疲れも溜まっていたんだろう。
「この力。我が国に欲しいですね。」
「だろう?僕の最高のパートナーになると思うんだよね。ただ、まだ落ちてくれる迄には少し時間が必要みたいだね。」
天井から射すライトの光りに僕が作り出した魔石を指で摘んで当てる。まだ、彼女の血が混ざり合う途中で、マーブル模様が見える。
「早く混ざり合うと良いんだけどね。」
首から下げてある巾着袋に魔石を入れて心臓の側に持って来る。
「綺麗に混ざり合った時にまた会いに行こうかな。その時なら良い返事を貰えるだろうから。」
服の上から魔石に手を当てて、魔力を流し込む。
早く落ちておいで。エメラディア。
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