襲撃
今日も仕事を終えて店仕舞いをラルクアン様とエドに手伝って貰い漸く店から出て帰る為に店のドアに鍵を掛けていると、エドに腕を強く引かれてエドの胸に顔を埋めた。突然の事で驚いていると、鉄がぶつかり合うキーンと言う高音が響き渡る。
「エド!」
ラルクアン様がエドを呼ぶ。エドは私を抱えて
「大丈夫だ!」
と短く応える。エドの早鐘の様な心音が耳に響く。声からするとエドもラルクアン様にも余裕が無い事が感じられる。うっ。と言う低い呻き声の後エドの服を掴む手の甲に生暖かいものが飛んで来た。視線を遣ると血だった。誰のものなのか。襲いかかって来た人なのか。ラルクアン様のものなのか。エドのものなのか。
怖いが下手には動けない。身体をエドに押し付けた。
それに応える様に私を抱く腕に力を込めてくれた。
この二人がいるならきっと大丈夫。
「エディ。この前あげた魔道具は付けてくれている?」
お母さんとのデートの翌日エドはアクアマリンの様な石が付いたネックレスとピアスと真っ赤な石の付いた指輪をくれた。
『必ず毎日絶対に肌身離さず身に着ける事解った?絶対だよ。』
『私ピアスの穴開いてないわよ。』
エドはピアスを耳に近づけると、スッと穴がある様に着けてしまった。
その日からずっと身に着けていた。
エドに顔を向けずに頷いた。
「君が素直で良かったよ。」
エドは、今修羅だと言うのに私の髪にキスを落としてラルクアン様に叫んだ。
「準備は出来たぞ!」
次の瞬間私はエドに転移させられた。私だけを飛ばしたのだ。周りを見ると真っ暗で見えない。どうなっているのかと思っていたら、光が少しずつ入って来た。
蓋を開けられた様な感じ。私は箱に入れられた?
人の影が見えるが逆行だったのと、暗がりから目が慣れずに顔が見えない。
「やあ。無事だってみたいだね。良かったよ。」
ラルクアン様の声でもエドの声でも無い。だれ?
「この前は僕が助けて貰ったからね。」
慣れて来た瞳に映った顔は市場で会ったオムレット屋さんだった。
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