会議
市場の最奥にある治安が余り宜しくない場所の二階建ての小さな家にスイーツ店を閉めて、入って行く。
こじんまりした家の中に入ると、メイドが頭を下げる。彼女の頭に手を置き撫でてやると、頬を赤く染める。女は顔の良い男には弱い。と僕は思っている。右手奥の部屋のドアを開けると、12人の男達が立ち並んでいる。男達は庶民の服を着てはいるが、恭しく腰を折る姿は、品があり庶民では無い事が判る。
その男達に隠れて薄汚い服に無精髭を生やして頬をこけさせたヒョロヒョロの男が立っている。
「久しいな。。もっと堂々としたらどうだ?貴様は伯爵だろう。」
「グレッド・ステファン・フォン・アタナスタ殿下にお目にかかります。ハンス・エディウム・ド・ラングラムで御座います。先日殿下より賜りました人物の特定をお知らせに上がりました。」
恭しく頭は垂れるが、あの精霊王を裏切った奴だ。人間だって裏切るだろう。信用は出来ない。
「それで?」
ハンスは下卑た笑顔を浮かべて、頭を上げる。
不審者この上ない。
「背の高く身体ががっしりしていた男は、ラルクアン・アシアン・ド・イマジンと言って王宮騎士だった男で、命の危機をエメラディアに助けて貰ったそうです。ブラウンヘアの男はシエル・エドワード・ド・キースラインで魔法省の副長官だった男ですが、王太子のお供でサイノスに来てそのまま退団したそうです。
アッシュグリーンの男は、精霊王です。
残りの男は多分アレクサンダーでしょう。アレクサンダーは産まれてから見た事が無いので、容姿がわかりません。」
自分の息子と会った事が無いか。どれだけクズなんだ。だから娘を差し出せるのだろうが。
「エリーゼとハンスの婚姻はどうなっている?」
ハンスは、誇らしげにクズ発言をする
「籍を入れるか悩みましたが、ジェシカが妊娠したので、ジェシカと婚姻しました。エリーゼは未婚の母ですよ。だから子供達も籍はありません。」
エリーゼにしても子供達にしても精霊王の娘と孫だから、人の籍など無くても問題ない事位解りそうなものだが。ハンスは相当なバカの様だ。その位で無ければ、あの魔石を差し出したりはしないだろう。
「それから殿下。北の魔女ジェシカですが、先日他界した様です。息を引き取ると塵となり風に飛ばされて行きました。エリーゼ様が見送っていました。間違いはないかと。」
温厚な森の姫を怒らせた罰だろう。僕も気を付けなければ。出来ればエリーゼは味方にしなければ。
「ジェシカ!ジェシカが他界したと申されましたか!」
ハンスは取り乱してワンズの胸倉を掴むが、解っているのか?普通魔力があったとしても、死んだからと言って人は塵になんかならないだろう。なるにはそれだけの意味がある。
「ハンスはジェシカと籍を入れたと言っていたが、ジェシカの籍はまだ存在していたのか?齢124歳と記憶しているが?」
ハンスは呆けた顔をした。なんだ知らなかったのか。じゃなきゃエリーゼを袖にするなんてしないよな。
「北の魔女ジェシカは齢124歳南の魔女アテナは齢150歳だそうだか。」
「ひゃ、ひゃく…にじゅう…え?」
「知らない奴が居たとはな。驚きだ。ハンスを先に騎士団に紛れさせて入国させろ。ワンズ。」
「承知したしました。殿下。」
ワンズが腰を折りハンスを連れて部屋から出て行った。
「お前達には手分けしてやって貰う事がある。」
騎士達に指示を出して解散した。明日からが楽しみだな。エメラディア。
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