お迎え
市場からの帰り道私とお母さんは腕を組み私の空いた右側をアレクサンダーが並んで歩きお母さんの隣には精霊王が並んで前には、ラルクアン様が後ろはエドが護衛の様にピッタリと着いている。
行き交う人は此方を振り向く。要人護衛の様で居た堪れない。普通が良いな。普通って大事だよね。
「あのー。」
「ダメよ。」
「ダメだよ。」
「ダメですよ。」
「ダメだ。」
「ダメでしょ。」
要件まだ言っていません!話し聞いてよぉ。
「全く!エメラディアちゃんが逸れたのは、顔だけが良い貴方達が一緒に着いて来たから変な女性達に囲まれてエメラディアちゃんが弾かれちゃったじゃない!
護衛で着いて来たくせに!」
護衛?財布の間違いでは?
「エリーゼだって、男達に囲まれていただろう。お互い様だ。」
「私は違うわよ!親切な方々がエメラディアちゃんと行くのに良いお店連れて行ってくれるって言うから。」
「いや。あれはお母様デートに誘われていたんですよ。だから、此処にいる全員が反省すべきなんだと僕は思いますよ。」
「アレクサンダー生意気よ!ママに意見しないで!」
「私が悪かったんです。勝手に動いてごめんなさい。」
全員が私を見て頷いた。何故?理不尽!此処には味方が居ないの?
「あ奴には近づくな。お前なんか良いように操られて終わる。二度と会うな。必ずラルクアンかエドと一緒に行動しなさい。あ奴の前ではエリーゼも使えない。」
「大丈夫ですよ。後で僕が良いものプレゼントしますから。」
何も要らないんだけど。エドのプレゼントなんか高そうで金額考えると怖いわ。
「お父様。私疲れましたわ。連れて行って下さいませ。」
お母さんが、不貞腐れた様に言うと足元がぐらっと揺らぎ、次の瞬間にはアテナの家の前に居た。
この人数でテレポートは凄い。やっぱり持っている魔力の差が桁違いなんだろうな。
「大変お待ちしておりました。本日はご利用ありがとうございました。」
目に怒りを乗せて苦笑を浮かべたアテナがドアを勢い良く開けた。
「うちはペットホテルはやって居ないのよエリーゼ!」
お母さんは家の中へツカツカと入っていく。
ガラスの箱の前に来ると中を見つめている。
何が入っているのかと後ろから覗いたら半透明な老婆が居て後ろにはぐったりと横になる黒猫が居た。
「美しさは、正義でしたか?ジェシカ。でも貴女が若さや美貌を取り戻す事はなくってよ。」
えっ!このお婆さんジェシカ様なの?白髪で顔皺くちゃだけど。半日でこんなになる?お母さんは慣れた感じでキッチンへ向かい、桃やラズベリー、アプリコット、キウイ、葡萄等次々に魔法で出して洗って皮を剥いたりしてお皿に盛り付けて、皆んなに振舞った。精霊王と私とアテナ以外は皆んなが手を伸ばした。
口々に甘い。美味しい。とあっと言う間に無くなった。
ジェシカ様はガラスを拳で叩いて何かを叫んでいるが全く聞こえない。
「あの籠の蔓は森にあったものなの。その蔓や枝を使用したのよ。でね、ジェシカが魔法を使おうとするとその魔法はジェシカ自身に返っていくんだけど、その時の魔法の残滓をこの蔓や枝が吸い取って自分の元の木の栄養にする様に魔法を掛けて魔法を放つ度に力を失って、お婆さんになってしまった訳だけど、その果実を食べたら完全ではないけれど、元には戻れたけど、貴方達が果実食べちゃったから後は、魔法も使えずに、お婆さんの人生を終えるだけになったわ。」
アレクサンダーとエドとラルクアン様は喉を抑えながら青褪めていく。
「何てもの食べさせるのさ!悪い魔女の魔力なんて気持ち悪いじゃない!」
アレクサンダーはお母さんに食って掛かった。
嫌な予感したんだよねー。大体裏がない時には
『エメラディアちゃん。フルーツ食べる?』
って聞く人が何も言わずに用意するなんて。可笑しいじゃない。
「アレクサンダー。好き嫌いは良くないわよ。」
そう言う事じゃないと思う。
「んで、この婆さん?黒猫?後どれ位持つの?」
アテナが親指でガラス箱を指す。
「1ヶ月は持つかしら?」
残りの灯火僅かじゃないですか!
「良かったわね。ジェシカ。じゃあこの猫は引き取りますね。」
アテナはお母さんに手を差し出した。その手を見てお母さんは首を傾げる。
「何かしら?」
「何かしらじゃない!労働に対する対価を寄越せ!ジェシカなんか置いていくな!迷惑だわ。なんなら迷惑料も支払ってくれても良いけど。」
お母さんは、アテナの手にキスを落としてから舌で舐めた。
「何すんのよ!エリーゼ!」
「対価が欲しいって言うから。お金私今持って居ないのよ。市場にお買い物に行くと、お金が無いならキスや舐めるだけで対価だって聞いたから。」
「王様!エリーゼに常識教えなさいよ!こんな事していたらこの子その内拉致られるわよ!」
「あら。ダメだったのね。人間社会は難しいわね。嘘教えられてもね。でもこれからは大丈夫。理解。理解。」
精霊王は項垂れて、私とアレクサンダーは青褪めた。
この人今迄良くトラブルに合わなかったな。
考えたら寒気がして来た。
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