お母さんとデート5
人集りから弾かれて、ぼっちになってしまったので、久しぶりに1人で市場を歩く事にした。
だってあの人集りが直ぐに居なくなる感じがしない。
少しあるくと、オムレットを販売しているお店を見つけた。今迄、オムレットの店なんか無かった。店を覗くとフルーツを好きに選ぶ事が出来るらしい。
苺も惹かれるけど、オレンジも良いなあ。待って!マンゴーも!あーどうしよう。悩むわ。
「悩む姿可愛いね。だったらさ。もう材料切れで店閉めるから、入れたいフルーツ入れて作ってあげるよ。」
アッシュブラウンの髪に黒い瞳の整った小さな顔はイケメン度を上げている。
カッコいい!
見ているだけでも癒される香りだわ。
「あんまり見られると恥ずかしいんだけど。」
真っ赤な顔をして口元を隠しながら横を向く。
照れ顔は可愛い。
「失礼しました。えと、じゃぁ苺で作って下さい。」
焦って早口で注文してしまう。
「一人なの?もし一人なら、僕は最近此方に来たんだけど、まだ良く解らなくて。案内して貰えると助かるんだけど。ダメかな?」
多分本当に一人か周りを確認しながら問われる。
「そうですね。今は一人ですね。」
苦笑しながら答えると、
「じゃあ付き合ってよ。」
オムレットを片手に持っているともう一方の手を引っ張られた。笑顔に引き込まれてしまう。ずっと見ていたくなってしまう。
市場の主要なお店を案内して、何かあった時には力になってくれる人も紹介をした。
彼は、そこまでは期待していなかったらしく驚かれた。疲れて来たので、市場で人気のステラさんのカフェに入った。
彼はカフェ・オ・レを頼み、私はホットティーを頼んだ。
「いきなり頼んでごめんね。でも助かったよ。良くあんな人達を知っていたね。」
「私ファボさんの食堂で働いているんです。まだそんなに長くは無いんですけどね。」
「ああ。奥さんが出産後体調が悪くて、お店任せて奥さんの世話している人だよね。旦那さんの鑑だよね。」
「そうなんですよ。私もファボさんみたいな優しい人だったら結婚したいですよね。」
そう言うと、両手で私の手を包み込み、その手の上から唇を落とす。上目遣いで見られると、顔に熱が集中して心臓が早鐘打ち始める。
「僕、好きになった人は大切に、大切にするよ。」
し、心臓が苦しい。何これ。綺麗過ぎて目が逸せない!と思っていたら、視界がいきなり真っ暗になった。誰かに視界を遮られている。
「ダメです!私が目を離した隙に娘を口説くなんて!許しません!」
お母さんの声が隣から聞こえる。
「エディ。酷くない?僕じゃない男の人に真っ赤になるなんて。」
耳の側でエドの声がする。とすると、私の視界を遮っているのは、エドか。
「貴方もどさくさ紛れに何を触れているんですか!離しなさい!」
ペチンと叩く音がする。すると視界が広がった。後ろを向くとエドが立っていた。
「エメラディアちゃん!探したのよ。ダメでしょう。迷子になったら。」
抱きしめてくれるのは嬉しいけど。私迷子じゃないんだけど。そもそも、あなた方が囲まれた為に爪弾きにされたんですけど。声に出して言えないけどね。
「エメラディアちゃん。危ないから帰りますよ。」
お母さんは私の手を引いてぐんぐんとドアへと進んで行く。
「お茶代!」
と言うとラルクアン様がテーブルにお金を置いたのが視界に入った。
後でラルクアン様に返そう。私は彼に手を振った。彼も私に振り返してくれた。
店を出て暫く歩いていくと、お母さんがいきなり止まった。その反動でお母さんの背中低い鼻をぶつけてしまった。
「あの人は誰?」
「市場に新しく出来たオムレット屋さんのご主人で、まだ良く解らないと言うので、市場を案内していただけですよ。」
「なんだ。そうだったの。ごめんなさいね。エメラディアちゃん。ママ勘違いしちゃったわ。彼氏さん作っちゃったのかと思っちゃった。で、お名前はなんて仰るの?」
ここで初めて気がついた。
彼の名前知りません。
お互いに自己紹介していなかったー!
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