ペットシッター
アテナ視点になります。
黒猫ペットホテルにてアテナとジェシカのやり取りです。
黒猫に化けているジェシカを防護壁で二重にした透明な箱にぶっ込んだ。
エリーゼの魔法で作られた籠の威力は凄まじく、ジェシカが魔法を放つと、自身に返っていく様になっている。魔法をジェシカが使用した時の光の反射が強いので、籠のままぶっ込んだ。
箱の中で、猫から人間の姿を投影させた。
猫のまま私と相対はしたくは無いらしい。
変なプライドだけは無駄に高い奴。
私は自分とは真逆にいるコイツが大嫌い。
しかも、子供を虐待していた阿呆を許せる訳が無い。
自分の子供は猫可愛がりって。バカの言葉に尽きる。
「しっかし、酷い格好だわね。ジェシカもう外なんか歩けないんじゃない?」
頭の先からつま先迄、ゆっくりと視線を落としながら、ジェシカがイラつく様に見た。
案の定顔つきが変わった。
「なあに。私の美貌に嫉妬しているの?不細工なアテナ。善い魔女なんて偽善の謳い文句だっさいわよ。」
自分を知らないのは恐ろしわ。ジェシカは若い時から自分の美貌だけを頼りに生きて来た。だから、人の恋人だろうが夫だろうが、
コイツには負けられない。
と思うと奪いにいく。ただエリーゼの夫だったハンスの前までは、奪った後奪い取られた女性達にやり返されていた。バカだから。やる事成す事穴だからなので、高位貴族の旦那に手を出す時、夫人を煽りに煽るので、
夫はくれてやるが、財産はやるものか!
と旦那だけがジェシカに渡され邸の敷居は跨ぐ事が叶わない。恋人同士を引き裂いて、彼女の座に収まっても、借金だらけとか、彼女と相手の実家が結託して追い出されたりと、ジェシカの思う様にはいかなかった。エリーゼは、元々がお姫様育ちなので、
困っていらっしゃるなら、私がやってあげます。
精神が強いので、ハンスに捨てられたら可哀想なんて同情心を出してしまったのだろう。
出産直前迄こき使われて、産後の肥立ちが悪く寝込んでしまった。それでも子供達を自分で育てていたから幸せだったのだろう。
しかし、大切な子供を虐められるのだけは、許せなかったらしい。
自分よりも周りが大切なエリーゼらしい。
「あんたさあ。最近何時鏡見た?」
ジェシカは、睨み付けて来た。
美貌しか取り柄がない、性格ブスさん。そろそろ現実を見ましょうか。
日頃大人しい人を怒らせるとこうなるのよ。
ジェシカの前に魔法で姿見の大きな鏡を現した。
そこに映っている姿を見て首を傾げたり、手を上げたりと確認行動をしている。
どんなに否定しようとしたって映っているのはジェシカだけなのに。
やっと現実を受け止めたジェシカの濁声の悲鳴が箱の中で木霊する。
エリーゼの魔法で返り討ちにあったジェシカは、己が魔法を発する度に老いていき、今はミイラの様になっている。猫の姿なら解らなかったけど、人間になれば老いは映し出される。
美貌頼りのバカな魔女の哀れな姿。
「何で、何で、何で。」
両頬を抑えながらショックを隠し切れないジェシカ。
「喧嘩を売る相手を間違えたのよ!普通精霊王の娘にちょっかいなんか出さないでしょうよ!」
「精霊王の娘って…エリーゼが?」
そんな事も知らなかったのか。このバカは。
顳顬に手を当てた。
「洗礼名で気がつくでしょうが!」
「高位貴族で金に物を言わせたのかと思ってた。」
「精霊王が金で動くか!ど阿呆が!」
この状況にあっても、ジェシカはエリーゼの地位よりも、老いた自分の顔にしか興味がないらしく、鏡をじっと見つめていた。
早く引き取りに来てよ!
エリーゼ!
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