仕事
翌朝清々しい気持ちで迎えた。
何て素晴らしい朝なの。
何か良い事でも起こりそう。
そう1時間前の私はそう思っていた。
嵐の前の静けさ
なぁーんて言葉も存在するのにね。お母さんが精霊王の元へ帰った事で安心しきっていた。
バカなのよ。
だから5回もやり直すハメになったのよ。
学習機能をお母さんのお腹に忘れて来たのかも知れない。
明日は準備して帰ってくるからね。
この言葉忘れてはいけなかった。
ファボさんのお店へ行きドアの鍵を開けて中へ入ると人の気配がした。朝は一度顔を出すファボさんかと思い元気良く
「おはよう御座います。」
と挨拶をすると
「おはようエメラディアちゃん。良く眠れた?ママはエメラディアちゃんと離れて寂しかったわ。」
お母さんが駆け寄って抱きついて来た。床掃除もテーブル掃除も完璧だった。この人何時に来たの?
「お母さん何しているの?」
お母さんはキョトンとして首を傾げる。
「エメラディアちゃんのお手伝いよ。1人で大変でしょ?ママも伯爵家でメイドさんしていたから、ちゃんと働けるのよ。」
いやいや、貴女数年間寝たきりだったじゃないですか!筋肉落ちているでしょうよ。危ないじゃない。
「あのね。お母さん数年間寝たきりだったんでしょ?食べていないし、筋肉落ちていれば、内臓だって弱っているでしょ?寝ていて下さい。」
「数年間寝たきりだったのは、エメラディアちゃんがジェシカの娘に殺されたのを助ける為に魔力使い過ぎたからよ。だから寝てエネルギー貯めたから大丈夫だし、私人間じゃないから、内臓弱らないし、筋肉だって落ちないわよ。私森のお姫様だから。チートなのよ。ウフ」
ウフじゃありませんよ。何チートって。
「おはようエディ毎日悪いな。今日も頼むなっ!誰?」
ファボさんがお母さんを見て吃驚して三歩下がった。
「初めまして。エメ…エディの母のエリーゼです。この子を探してやっと見つけましたの。だからこれからはずっと一緒に暮らそうかと思っております。お店も無償でお手伝いさせて頂きますわ。今迄エ…ディがお世話になった恩返しですわ。ファボさんは奥様とお子様の側に居て、奥様を労って差し上げて下さい。2ヶ月はゆっくりと休ませて差し上げて下さい。お店はエ…ディと私で回しますわ。」
お母さんは淑女の礼を取る。その姿にうおさおするファボさん。庶民は淑女の礼は取りませんよ。お母さん。
「お母さんは貴族の方ですか?とても品がありますね。」
そう言うとファボさんはチラッと私を見た。その視線は心の声を発する
エディは品が無いのに。本当に親子?顔は似ているけど。
髪と瞳の色は変えてある。アッシュブラックに見える髪にお母さんと同じアメジストの瞳。解るよ。解るけどさ。ファボさん…。私傷付きますよ。その視線は…痛い。心に刺さるわぁ。
「正直シーナの体調良くないので、助かります。教会で洗練も受けさせたいけど。シーナが起き上がると目が回るらしくて。」
「まあ。それは大変。母乳をあげる為の三時間置きは出産の大仕事の後では辛ですわ。私も双子でしたから、大変でしたもの。」
ファボさんは
お兄さんいるの?
と声を出さずに口を動かす。
私は曖昧に苦笑して首を傾げる。
あれが兄とは言い難い。主に心が否定する。
ファボさんは私が記憶喪失だと思っているから、不思議には思わないらしい。
昨日ポッと出のお母さんとも心の距離はあるのが相鎚等で伝わるらしい。
ファボさんは在庫の確認をして、帰って行った。
店を開けるとお母さんは、給仕係になり、私が料理を作った。そして給仕の度にお客様にスマイルゼロ円を送り続ける母に男性のお客様の瞳はハートに代わる。
奥から見ていて何とも微妙な気持ちになった。
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