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シエル・エドワード・ド・キースライン

シエル視点です

シエル・エドワード・ド・キースライン。キースライン伯爵家の次男に産まれたがキースライン家は長男サイコーの家であった為に、存在を忘れていますか?位誕生日も国宗教グリンファスト教の生誕祭の子供へのプレゼントも用意された事がない。

食事は使用人が用意するので食べる事が出来るが、基本的教育は、伯爵家の面子の為に家庭教師がつく。他はシエルが何処で何をしようが全く興味がない。伯爵家の透明人間。


長男の誕生日前日から当日に掛けては、使用人達はパーティーの準備に多忙な為、シエルの食事は忘れられる。家で皆んなが走り回る様を見て居るのもバカバカしいので、本を持って森でゆっくりと読書をする。

森なら木の実を取って食べる事も出来る。

ただいつもよりも少ない食事にお腹は盛大に音を立てる。


「これ。良ければどうぞ。」


服は薄汚れて擦り切れそろそろ冬将軍がやって来ると言うのに半袖に外套も無い。手は荒れていて切れて血の痕がある。グレーの髪?違う。隠してる?

マジマジとその子を見ていると、何かに気が付いた様で、あっ。と声を漏らすと次の瞬間彼女を光りが包み込んで光りが消えるとプラチナシルバーの髪に変化して小綺麗な子に変わった。


「魔法?」


彼女は嬉しそうに微笑んだ。


「そうなの!私名無しだから教育も受けられなくて、魔法も上手く扱えなかったの。でもね南の魔女アテナが教えてくれて。沢山使える様になったの。貴方は貴族様?お腹空いているみたいだけど、良かったらパンどうぞ。」


彼女が渡してくれたパンは柔らかく食べ易かった。途中で水筒に入れているお茶を出してくれるので食べ易い。お茶を出すタイミングも絶妙だった。


「ありがとう。助かったよ。お腹ペコペコだったんだ。」


苦笑しながら伝えると、フルーツを差し出して来た。


「食べて。」


流石に彼女の食べ物をそこまで頂く事は憚られたのでやんわりと辞退すると、


「私は大丈夫よ。だって魔法で取れるもの。見ていて。」


彼女は目を閉じて両掌を何かを受け止める様に上に向けた。少しすると掌辺りに揺らぎが見えると木苺等が現れた。


「凄いね君!どうやったの?僕にも出来るかな?」


「アテナに教わったやり方で良いならお教え出来ますよ。」


その後は読書を辞めて、彼女から魔法を教わった。彼女の教え方が良いのか簡単な魔法は直ぐに使える様になった。自分の世界に色が出て来た。


その日から彼女とは良く森で会う様になった。

彼女は師匠に当る人であるアテナさんと会う日以外は森で魔法の練習をしているらしく、僕は彼女の綺麗な魔法陣を見ながらうっとりしたり、自分もやってみたくて真似をしたりとして過ごしていた。


僕は将来的に伯爵家を継ぐ訳じゃないし、親達も要らないと思っているんだから仕事を探して、職に就いて彼女と一緒に暮らしても良いんじゃ無いかな。

そう思う様になってから、勉強も意欲的になった。

特に魔法に関しては、貪欲だった。もし、魔法省へ奇跡的にも入れたら彼女を養えるし、神殿で洗礼を受けて貰って名前を貰う事も出来る。かなりの費用が必要だが、魔法省のお給料は何処よりも高い。それならば彼女に名前を貰う事も出来る。


彼女と会わない勉強の日は、家庭教師が来る迄部屋で魔法の勉強をした。彼女に教えて貰った術の復習を何度も行い完璧に使い熟せる様にしていた。

気が付くと家庭教師がドアを閉めて青い顔をして立っていた。


「シエル殿。貴方は魔法を何処で習得されたのですか!」


焦った様に早口で捲し立てる教師に引いてしまった。 知らない少女に教わったとは言えない。


「詠唱は?無詠唱で陣を作られているのですか?」


普通は詠唱をするのか?でも彼女は詠唱なんかしないし、そもそも詠唱のやり方が解らない。

困惑していると


「もし、シエル様がお嫌でなければ、魔法省には伝手がありますので、是非ともご紹介させて頂きますよ。」


魔法省入りは僕に取っては僥倖だった。


「もし、宜しければご紹介下さい。僕、魔法省に入りたいんです。」


数日後魔法省へ赴き、魔力判定を行い、かなり高い魔力を叩き出し一度帰宅して荷物を整えるとそのまま入省となった。彼女にはまた森で会えると思っていた。

しかし、彼女とはそれ以降会う事は出来なかった。

魔法省へ入ってからは忙しくて、自分の時間が取れず、気がつくと魔法省の副長官のポジションに居た。

そこ迄来ると空き時間が取れる様になった。彼女の名前取得の為にお金は極力使わないでいた為にかなりの額が貯まった。そして空いた時間を見つけては何度も森へ行っても彼女は来る事が無かった。


暫くして、聖女の噂を耳にした。見た目麗しく聖水を作り出す精霊王の孫。凄い肩書きだ。しかも見た目麗しくって、姿を現したのはほんの一瞬だったらしい。なら聖女と言う肩書きに釣られて想像された外見じゃないのか。人とは単純だから。そう思っていた。


王室から、消えた聖女捜索の手伝い依頼が来た。長官命令で僕が行く事になった。

姿形を変えて長時間そのままと言う彼女に興味が湧いた。どれだけの魔力保持者なのか。会って話しがしたい。


「私が様子見に行っても宜しいでしょうか?」


自然な流れだった。王太子は逃げられたくは無い。僕は会ってみたい。なら僕が行くべきだ。

会う事が楽しみになった。

そして王室の言う聖女に会った。


「いらっしゃいませ。お一人様ですか?此方のお席へどうぞ。」


自分の視界のみ姿形の認識齟齬魔法を解除した。見えた姿は彼女だった。数年ぶりに会う彼女は光り輝いていた。

読んで頂きありがとうございます。

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