王族嫌い
少しの間忙しくなるので、更新が不定期になります。
ごめんなさいm(_ _)m
ギルバート王太子視点になります
許可を出す前に退団届けを机に置いて、ラルクアンが消えたのは、十中八九エリーが関係しているのだろう。昨晩のエリーは現れた時からイライラしている様に見受けられた。そこにセラフィムが追い討ちを掛けた。珍しくセラフィムも高圧的だった。
しかし、俺のせいで、王族が嫌いなエリーには悪手だった。単なるツンデレなら、少しは反応したかも知れない。しかし、彼女を良く調べもしないで2回も殺しておいて、
『嫁に来て欲しい。』
とお前の兄がやらかした後で、高圧的になれば、怒りは爆発だろう。
真逆……居なくなったりしないよな?
もし、ラルクアンも知らない間に居なくなったら?
嫌な予感に冷たい汗が背を伝う、
追う事は出来ない。
王族だから、それなりには魔法は使える。嘗ては、精霊王の縁者を花嫁にした事があるからだ。
しかし、今は血も薄れて王族の魔力は少ない。
エリーの様に転移は出来ないし、姿形を丸切り変えるなんて不可能に近い。
髪色を変えたり、気配を消す位なら出来るが。
魔法の痕跡なんて解らない。
「少し出掛ける。」
護衛に声を掛け執務室を足早に出て行く。
愛馬に跨り、エリーの店まで向かうと、人気は無かった。
暫くお店を休みます。
店主
と張り紙がドアに貼り付けてある。
嫌な予感が当たってしまった。
ラルクアンはエリーが居なくなった事を聞き、探しに出る為に退団したのか。
迷いは全く無かった訳だ。
「南の善い魔女アテナ。助けて欲しい。」
ドアに向かって呟くと、ドアが開いた。一瞬の期待も粉々に砕け散った。
南の善い魔女アテナが出て来た。
「私も余り時間は無いのだけど、何?」
内に抱えている沸々とした怒りが感じられる。
エリーが居なくなった事を彼女も知らなかった事を悟った。
無理だと思うが、情報は欲しかったので訪ねた。
「エリーは居なくなったのか?」
アテナは俯いたまま頷いた。遠くから蹄の音が徐々に近づいて来る。今この場には絶対に来て欲しくはない。でもアイツ以外に来る奴は思い浮かばない。
すぐ側に馬から降りるブーツの音がした。
「兄上、ここが聖女の家ですか?流行っていたんじゃ無いんですか?お店人の気配しませんよ。」
バカ!喋るな!魔女を怒らせるな!空気を読め!
しかし、自由奔放に育ったセラフィムに空気を読む等と言う高等機能は搭載されて居なかった。
「人に聖水飲ませて助けている癖に寝込んでいるの?しょうがないなぁ。昨日のプロポーズの返事を聞きながら、様子を見て来てあげるよ。全くもう。今時ツンデレなんか流行らないのにね。」
終わった。試合終了のゴングが鳴り響いた。
エリーを娘の様に可愛がっている彼女に。エリーが嫌がっている事をしていた事がバレた。
最悪の状態で。
「待ちなさい。中には入れないわよ。バカ王子。エリーにプロポーズしたって?聖水を飲ませたって何?」
ドアの前に立ちはだかり、今迄に聞いた事が無い位低い声で威圧する。セラフィムを見ると肩を震わせている。
「兄上に聖水を飲ませて暗殺者から守ってくれて、色々と施してくれたお弁当で父上の病を全て完全に治してくれたよ。んで、父上から早く聖女を落として何方でも良いから聖女を王族に迎えろって言うから、プロポーズしたんだ。僕が。」
アテナはセラフィムと俺を睨む。
「何でそんな事になるのよ。ラルクアンはどうしたの?」
セラフィムは、俺の顔をガン見する。バカやめろ。頼むから空気を読んでくれ!
「ラルクアンって兄上が自分の護衛に格上げした騎士だよね?何聖女のカレシって本当だったの?嘘だと思ってた。でも、王族から言われたら断れないでしょう。森の精霊王の家族以外。」
ケラケラ笑うが、笑い事では無い。精霊王の孫だバカが!
「成る程ね。やらかしたヤツの今度は家族共がやらかしまくった訳かあ。そりゃぁ逃げるわ。
この国の奴等はバカしか居ないのか?」
声が更に低いなり、怒りのオーラが嫌と言う程に見える。セラフィムにも見えているかは謎だが。
「お前達は、二度とエリーに近づくな!」
アテナが叫ぶと同時に竜巻きの様な突風が吹き荒れる。突風が収まるとアテナの姿は無かった。
セラフィムがお店に入ろうとドアノブに手を伸ばすと、ドアノブから火が飛び出して来た。
あと、一瞬動くのが遅かったらセラフィムの手は火傷を負っていただろう。
俺達王族はもう二度とお店に入る事は出来ないだろう。何時迄も此処に居ても、何も進展はしない。
俺は、また愛馬に跨り王城へと引き返し、エリーを過去2回殺した事は話しても理解は難しいと考えて、エリーが
王族を心底嫌っている事。
精霊王の孫である事。
セラフィムの威圧的なプロポーズで逃げてしまった事。
を簡潔に父上に話した。
セラフィムは、話しを聞く毎に青褪めていき、
「教えて欲しかった。」
と呟いた。全て後の祭りだか。
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