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大げさなこと選手権!

 プール際でタオルをかぶりながら見学をする私たち。自由時間にめっちゃ楽しそうに水の中で泳ぐ男子たち。


「だんしね。のろいのろわれ」

「りょまる」


 繁子ちゃんが呪いの言葉を吐く中、わたしは°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°な水に飛び込むイズミを恨めしく眺めている。女子の9割が見学する中、イズミはそれこそ浮舟でプカァなおねーちゃんみたいにぐいぐい進む。


「背泳ぎは得意だったわ。オフィーリア和泉ちゃん」


 中学生だけどでかくなりたくてなったわけではない。

 その点、あっちはえぐれるほどちっちゃいから。


「……気持ちいいよ! ねーねー!」


 去年までは小学生で、男子とおはじきとってたのになぁ。



「おおげさなもの選手権!」


 おてんとうさまジリジリでおかしくなっちゃったわたし、パフパフと呟く。


「生活指導の説教」

「あんたの胸」


「げし!」


 ハリセンチョップ!

 でかくなりたくてなってない!


「胸よりもっと上背が欲しい」

「わかりみ」



「ヤバいの選手権!」

「あ、話かえた汚い流石NINZYAきたない!」


「いみわかんない。なにそれ」

「お父さんの友達がおしえてくれた」


 たまりかねて素足で°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°な水をチャパチャパしちゃうと男子の目つきが獣。こわあ?!



「やばいの。なんか急に禿にされる男子」

「……お陀仏だね」


 男子の一部がわたしのパンツ覗いた疑惑で後で坊主にして来いと先生に叱られてる。

 補助教員の源天子ちゃんがアイスをくれたのでみんなでいただきますまる。


「あいつブルマー履いてたから俺はパンツをのぞいてない!」

「あ」「あ」「あ」


 かたるにおちる?



「やばいの。ダイエット中に間食が多くなって、うっかり体重計を覗いた日」

「あ、わかるわかる!」


 天子ちゃんにダイエットあるのかしらと繁子ちゃん。見えない苦労はあるかも。


 天子ちゃん美魔女たん。たのしいし可愛いしスタイル抜群。UVカット万全。黄色い麦わら帽子つけて男子の目を一身に浴びる。すごいきれいな脚にわたしよりおおきなおっぱいとおしり。



「やばいの。生理でもないのにプール見学」

「わかりみ」


 目の前にキラッキラな露がついたコップ。


「あれはなにぞ」


 言葉がおかしいのはあついから。ぐだぐだ。



「みんな。ジュースも持ってきたよ。太るからレモン汁ね」

「天子ちゃんマジ卍天使」



「やばいの、なんか通ぶってこの建物がとか『俺の右腕がうずく!』ってふざけている男子」

「わかりみ」


 みなで(*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)ウンウン♪。

 その男子たちは飛び込み遊びでイズミに完敗。中学生になったばかりなのに2回転半宙返りとかスカウトくるよね。



「やばいの。理科教室とかある二号棟を夕方あるく」

「絶対でる奴!」



「……ずーんず」


 ブクブクと音がして。


「ウバぁ!」


 急に水の中から飛び出たイズミとタチバナ。


「びっくりさせんなし~~!」



 ⊂⌒~⊃。Д。)⊃⊂⌒~⊃。Д。)⊃⊂⌒~⊃。Д。)⊃



「という中学時代だった」

「なに語ってるし語ってるし」


 アイスの棒をおてんとうさまに照らす。


『あたり』


 飛行機雲とアイスの棒がキラキラ。



「……あいつがくる。やばし!」

「? アイスなら先ほどお召しになりましたよね。繁子さま」


 たぶんこの子わかっていない。定子ちゃん可愛い。

 彰子ちゃん達と渋谷でばったりエンカしたので一緒にいる。(※エンカ。エンカウント。出会う)


「孝子ちゃん覚えている?」

「……確か後輩にいたね」


 イズミが思い出したと繁子ちゃんに。そういえばグループ分けしたからあまり話さない。


「うちに入りたいって猛勉強中なう」


 どこがわるいのかわかんない。


「……あの子、わたしが『小説家になろう』に成績でこいつに」

「指さすなし! 目がめがぁ!」


 成績で負けた腹いせに70万字投稿したお話のファンになって丸暗記するまで読み込んだって。みんなで繁子のLINEみる。



『新作読みたい新作よみたいお願い先輩更新して!(( ;∀;)スタンプ)』


「こわぁ?!」

「ホラー」


「悪い子じゃない。可愛いよ。カルガモみたいで」

「お琴を習いにいったらいました。和歌教室の帰りだそうで」


 イズミと定子たん、てんでバラバラにしゃべってわけわかめ。



「というか」

「70万字も更新したら成績おちるっしょ」


「若気の至りよね」



 そもそも私たちは高校一年だし。

 渋谷の街は今日も太陽でキラッキラでテンション爆上げ。


『古琴物語全文ソラで読めるくらい受験勉強のついでによんでいます!』

『繁子先輩と一緒の学校に行けるよう毎日仏さまに祈ってます!』


 スタンプはなんかオリジナルっぽし。



「落ちるね」

「落ちてほしい」


「祈るより勉強しろ! 孝子! 間に合わなくなってもしらんぞ~~!」


 繁子。なんだかんだで面倒見よき。



「70万字更新の重みだ……」

「そもそも、テスト中にダウジングしている清子が学年一位というのがおかしい」


 かんけいなし! けっかよき!


「ねーねー。おねえさんたちアイドル?」

「いえ、ただの学生でして、たまたまお友達に本日ここで……」


 スカウトに真面目に受け答えしている定子たんをずりずりしながら私たちはデパチカにいくのだ。まる。

 藤原孝標女……孝子ちゃんのモデル。『更級日記』の作者。


 薬師寺如来フィギアを自作して『源氏物語読みたい源氏物語読みたい』とお祈りしていたり、全巻セットゲットで気力フルチャージされたり、なかなか訓練されたオタク娘さん。……だった若気の至りを悶絶している日記を残して……いないかもしれない。


 関連人物。

 道子ちゃん。モデルは藤原道綱母……文武両道のスーパーレディ。かつイズミと共に中学時代には学内ミスコンで甲乙つけがたしと呼ばれたが昨今の時世で『男子限定(男の娘限定)』だったので選外になる。超美人だが厨弐病。「私が彼氏に愛されないのは全部おまえらがわるい!」が口癖。学校が違うのでたまにしか遊べない。厨二病発病時は弟のミチツナくんや腹黒彼氏のカネイエくんがどこからともなく現れずりずり回収していく。

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