“美女”と、“『ショコラ』”。
そのときだった。今度こそ、玄関の扉が開く音は聴こえ、声も聴こえたのは。×××
「陽藍〜あがるよ〜」と。
×××××××
リビングへと来たひとは、なんと。まさかの「っ、………………。“結原 基”さん…………っ」
ーーーーーーだったのだ。
××××
「ん?」
まさかの結原さんは、軽い口調でそう言った。×××
××××
「…………。え〜と?」
俺を見た結原さんだったが、いぶかしんだ。不思議そうに、佐木を見てそして言ったのだ。「ん?」と。
「え?」
戸惑う佐木へ、結原さんは聞いた。「隼人? 友達?」と。×××俺のショックは図り知れなかった。結原さんは俺を知らなかったのだ。×××××
『海』君が、応えた。結原さんへと。彼は“おじさん”と言ってから、こう言った。「違うよ〜」と。
「え? ……………、誰?」
「あの………」
なんとか気力を振り絞った俺は、結原さんへとそう言ったのだが。ーーーーやはり言ったのは、海だった。×××××××
「もうっ!おじさんてば。専門外だからって。“仲村 叶”さんだよ。“ショコラティエ”の。」
海はそう言ったのだ。×××××××××
×××××××××××××
「……………ショコラティエ………? なかむら………………あ〜分かった。“マリージュア”ね。はは、ごめんね。“仲村”君ね。ーーーー。初めまして。“結原”と云います。其処の“華月 陽藍”の、友人です。
ーーーーで、陽藍ーーーー“魚”持って来たんだけどさ。ーーーー、どうする?出直そうか?
“煮魚”にどうかなと思って、さ。久々にパエリアも良いかなと多目に持って来た。と、いうか、買い過ぎちゃってさ。ついね。市場が楽し過ぎて。ん〜“明日”にする?」
そう言った結原さんは、俺をちらりと見たのだった。×××××そして俺は“はっ”とした。×××
「ああっ!すみません!挨拶もせずにっ!はじめましてっ結原“先生っ”。“仲村 叶”ですっ! あの、自分! “先生”の、ファンです! 料理学校! っ、自分田舎者でっ、先生の学園の存在も知らずに、ただ田舎から出て来ました!なのでーーーーっ知った時には“手遅れ”で。ーーーーっ、知っていれば絶対結原先生の経営している学園に、入学、希望しましたっ。ーーーー結原先生はーーーー」
興奮した俺に、結原先生はクールにこう言った。“ごめんね”と。
「ごめんね。“熱意”は、分かったから。“魚”鮮度落ちるから、ちょっと“後”でも構わないかな?悪いんだけど。」と。×××××××俺は、思わず恥ずかしさに、消えたい程謝ったのだ。×××××דプロにあるまじき”だよ、俺。ーーーーーーー何、やってんだよ。×××××××××××××。
×××××××××××××××
「悪いね、陽藍。台所借りて良い? 上使える?」
結原さんが、そう華月さんへと聞いたのだ。上?上にもキッチンがあるって、ことか?
「上、“和希”在るんだよね。」
華月さんは、そう答えた。ああーーーーさっきのひと? 結原さんが“そうなの?”と返した。
「和希君“使っても”良い? 陽藍ーーーー」
結原さんがそう言う。ーーーー、使う?華月さんが“駄目”だと言った。
「オレガノ達の勉強みてるみたいで。勘弁してやってーーーーと、いうよりさ。」と。
佐木を、見た。そして言った。「隼人居るんだけど? 基?」と。佐木をゆび指して。
××××
「ははは」
結原さんは、そう笑った。×××××
ん?どうゆうこと?? ××××××××××
「勘弁してーーーー陽藍ーーーーー。」
「何が?」
「“何が”?って、陽藍君ーーーーー。俺、今日“休み”なのね。楽しい“休日”なのよ。なのに何でーーーー
はあ。
………………………。どうして“隼人”君の“子守”を“しろ”と。“夏”に頼まれても断るよ。」
結原さんは、そう言ったのだった。××××××ד子守”………………とは? ………………………え?
「佐木………………、っ」
俺は言った。佐木は“え?”と、俺に返した。「佐木、“子持ち”なのか?」
「いつ、“結婚”したんだ?」俺はそう“聞いた”のだ。“佐木 隼人”に。×××彼の結婚話なんて誰もしてなかったが、だから“ない”とは、限らない。だからーーーーーーー、しかし。
なぜか“笑われ”た。×××××××××華月さんも、結原さんも、笑い出した。×××××××
「ちょっと、陽藍。ーーーーっ、笑い過ぎ。」 「嫌、だって。」 「たくっ」
彼等は言った。
「元はと云えば“基”が。」 「………何?」 「言い方紛らわしいから。」 「はいはい」
そして、
「ごめん隼人。苛めじゃ無いよ。止めなさいって、その顔。……………何だよ。未だ全然彼女出来ないのか?ーーーーはあ。たく。良い?隼人ーーーー御前ね。“パーツ”は“夏”に似て整ってるんだから。ーーーー。性格“直せ”ば、もてるよ。ーーーー。多分。さてと。」と。
結原さんは、言った。そして有無を言わさずキッチンを使い出した。×××××××慣れた手つきで。××××ד我が家”のごとく。××××××××ד海、今晩煮魚ねー”とか、なんとか。××××××ד我が家”の、ごとく。
×××××××××××××
俺の横の“佐木 隼人”は、なにやら“ぶつぶつ”言っていた。××××דヒドイ”。“子供あつかいだし”。“いや赤ん坊あつかいレベルーーーー”とか。“俺、料理人なのにーーーーなんで扱い、カズキ以下なの?”ーーーーとか。
なんとか。“色々”と。×××××××ぶつぶつ言ってた。×××××××
そして。「あっ、“和希”君。いいとこ来た。そこのお魚君で、上でパエリアを“宜しく”っ。俺煮魚作るからさ〜あ、後余裕有ったら、ついでに“クラムチャウダー”も宜しく〜あさり余るじゃん?」
そう、結原さんが、言ったのだ。“カズキ”というひとに。彼は答えた。
「基さん。……………………、其れどう見ても、“アクアパッツァ”。“煮魚”違う。」と。
「ん? “洋風”煮魚じゃん?此れ。大丈夫。“和風”は陽藍君担当だから。」
“勉強見ながら楽勝でしょ?”「和希君、ならさ。ーーーー宜しくね。さてと」
結原さんは、そう言って。にこやかに“カズキ”というひとを、上に追いやった。×××× ××××××××
『あ、鰆も、あったんだった。しまった、“カルパッチョ”も頼めば良かったな。っ』と、結原さんは、言ったのだった。×××××××××
『良い鯛だな。』と言った、華月さんの言葉が、聴こえた。俺の耳にも。
「ごめん、仲村君。慌ただしい家で、さ。それでーーーー」
華月さんはそう、俺に向き直ったのだが、
「ただいま戻りました〜」と。
また“誰か”、“帰って”来たのだった。本当だ。“慌ただしい”ね。×××××××
そして“天使”、いやーーーーーーーっ。“美女”がやって“来た”のだ。リビングへと。×××××××
目を白黒させた、俺が居たのだ。今“此処”に。
「ただいま戻りました〜あら? 和希様ーーーーーっ、失礼致しました。今晩は。“お客様”でしたか。ーーーー」
そう。“天使”のように“華麗”な女性が、言ったのだ。残念ながら、“横”には似合いな感じの“イケメン”が、いたが。ーーーーーーっ、“好み”だった。“俺”の、な。ーーーーーーっ。しかしっ、
「ああっ、っ。はじめましてっ。“仲村”と、いいます。えっと、“あなた”はーーーー」
俺は“負けじ”と、そう言ったのだ。だってまだ、“二人”の“関係性”を、聞いていない。“チャンス”あるかもだろ?
天使は、答えた。一度ためらったが。すぐに“ふわり”と、笑ったのだ。お嬢さま、ーーーーみたいな、なんてレベルでは、ない。ーーーーーいうならば『お姫様が居たら』、『こうなんじゃないか?』みたいな『笑顔』で。だ。ーーーーーー俺は、『創作意欲』が、掻き立てられた。×××××××××『嘘』みたいに、『情熱』だった。ーーーーーー
熱くて、堪え切れず、耐え難き程の。熱が湧き起こった。沸騰だった。いつかの情熱『みたい』な。『それ』だった。ーーーーーーーーー
「御挨拶遅れまして、誠に申し訳ありません。“叔父”の、“御客様”で、いらしたでしょうか?
私は、“橋本”絵理撫と、申します。『仲村』様、
それではどうぞ、ごゆっくり。お邪魔致してしまいまして、申し訳ありませんでした。私外しますね。ーーーー失礼いたします。ーーーー“敦之”様? “和希”さま、“上”でしょうか?」
「ーーーー。多分、ね。ーーーー“伯父”サン。上、“上がる”ぜ? 和希上に居るだろ?」
“美女”の横の“イケメン”が、そう言った。くそっ、本当“イイ男”だなっ。………………“勝てる気”が、しない。ーーーーーーーーっ!でもしかし。ーーーー“ああなるほど”とも、思った。先程来た“カズキ”というひとは、つまりこの“イケメン”さんの、“知り合い”なのね。
俺は“目的”を忘れて、エリナ“サン”を、眺めすぎたのだった。見る程に、可愛かった。×××××××
「敦、和希は上だけど、さ。“友理奈”と“憂莓”はどうしたんだ?」
華月さんが、そう言ったのだった。問われた“彼”は答えた。「ちょい寄り道してる。」と。
「二人一緒だから、問題無いだろ?」と。
そして、そこで結原さんが、言ったのだ。“彼”にだ。
「敦、其処の“鰆”和希君に渡して、“カルパッチョ”って、言って?」と。彼は答えた。“カズキは”
「ーーーー。“何”やらされてんの?」と。
答えたのは、『海』だった。『敦兄ちゃん』ーーーーと、海は言った。
「和希先生、オレガノ達の勉強見る“ついで”で、『基おじさん』のーーーー『お手伝い』、頼まれ、中。」と。“イケメン”の“お兄さん”は、だから“言った”のだ。ーーーー「は?」と。
「基さん。ーーーー其処の“暇人”の方、扱き使って下さいよ。」ーーーーと。
“佐木”を、見て。あ、知り合いなんだな。佐木は“はっ?!”と、返していた。××××××
そして、“海”が、言ったのだ。“絵理撫さん”と。
「絵理撫さん、早く“手洗うがい”して来たら?“チョコ”有るよ?“オレンジピール”が美味しい奴。絵理撫さん“好き”でしょ?“此れ”。“敦兄ちゃん”も、食べる?」と。
“敦兄ちゃん”は「ん?」と言っていたが、ーーーー“エリナサン”は、はっ!として、走り出した。“華月さん”に、注意されながら。××××××××そして戻って来たのだ。“リビング”へと。
「こら、絵理撫、家の中を走るな、お前はーーーー全く。“子供”なのか?違うだろ? “淑やか”に、しろよ。ーーーーはあ。」
華月さんの溜め息は盛大だったが、彼女は聴かなかった。
“華月 海”が、“開けた箱”の、中身を見て、歓喜していた。彼女はショコラ好きらしいーーーー。ショコラよりも彼女の方が、溶けそうな、『笑顔』だった。ーーーーーーーー『俺』の胸は、高鳴り“過ぎ”た。『彼女』に。彼女はひと粒、ショコラを摘んだのだ。その細いゆびは、『宝物』のように、『ショコラ』を。
本当に、『好き』なのだと、俺は思ったのだ。彼女の為に、俺自身が『最高のショコラ』を、作ろうーーーーーと、そう思った。優雅な“ゆび先”が、芸術作品みたいだった。




