『ベニバナ』さんは、ーー“勘違い”をしてーー『飛び出』す。
事の起こりは『妙な気配』だった。橋本 和希は『もしや』と思った。気配に『覚え』が有る様な気がしたのだ。ーーが、今は『もうひとつの』警戒すべき気配に『集中』すべきで在った。ーーが、
嫌な胸騒ぎがした。
『気配』が“何か”ーーを、狙って『在』るーーと。
× _ ×
滝の『シークレット』ライブの本日、『和希』の『管轄』は、“タウン・タウン”全域でーー在った。
ミッションーー華月 陽藍ーーボスからの“依頼”で在る。ーー本日タウン・タウン『内部』で何か『問題事』がーー発生すれば、橋本 和希の“失態”とーー成るのだ。
具体的に、怪我人出さなきゃ“セーフ”ーーで、ある。それで晴れて“子守り”任務“御役御免”で在った。姫が“何と言おう”と、ーー和希はそのつもりで在った。
それは“滝 蓮”にも伝え“済み”ーーで在った。つまり滝は“知っていた”ーーのだ。今日で和希の“任務”がーー終了する事を。
姫は何も『知らな』かった。
× _ ×
和希の様子が可怪しいと、ジニアは思った。何やら考え込んでいたからだ。ジニアは未だ『気配』に気付いていなかった。そしてふと、顔をあげた和希が言った。ジニアを見て。『少し“離れる”』と。
《“妙”な気配を見付けた。気に生るから直接確認して来る。『結界』を張るから『部屋』からーー》
「“出るな”よ。」ーーと。
和希が気に『生った』のはーー表れた『気配』がーー存在感を『増』すスピードだった。
タウン・タウンは事前に『結界』が施された『空間』で、害なるモノの『侵入』は不可だった。つまり『気配』は、『内部』から突如としてーー生まれた“事”となるのだ。
何が切っ掛けで『発生』した“何”なのかをーー確認する必要が在った。本来なら警備は『華月 陸』、及び『佐木 直夏』の管轄だったがーー本日イベントの為、和希に回って来たオハチだった。
華月 陽藍は人使い為らぬ『和希使い』がーー特に粗い。仲間内では有名である。
陽藍は可愛がる『部下』程人使いが粗いーーのだ。一番『粗く』使われるのはーー当然息子“達”でーー在った。
次が恐らく『和希』と『三馬鹿』烏達でーー在る。“馬鹿”の内は羽で無く「ーー匹だなーー御前等はーー」
と、陽藍に言われる程、陽藍に忠誠が過ぎる『部下』達、耕一と翔平ともう一人、本日やはりタウン・タウンにて永遠ケーキ作りに順次している楠 『成一』ーーで在った。
和希が『気配』を警戒して動き始めた頃、厨房の三馬鹿達も気配を伺っていた。だが動かなかった。未だミッションが熟せていなかったからでーーあった。
《和希(君)が動き出したみたいだからーー大丈夫。》ーーと言った彼等は何か『あって』から動こうーーと言う事で、取り敢えず黙々とケーキ作りに勤しんだ。
のだった。
ジニアにだけ『待つ』様に釘を差した和希は、ベニバナには『直ぐ戻る』と言って部屋を出たのだが、待っても待っても帰って来ない和希を心配してーー正確には、『和希の決心が鈍って、』
『迎え』に『来ない』かもしれないーーと言う緊張と不安にかられた。時間にして『五分』程で、要はベニバナは“寂しく”なってしまったーーのだ。
甘えん坊さんめ。此の御姫様め。温室育ちめ。ベタ惚れめ。ーーと、言う訳で。
ベニバナはジニアを騙して“飛び出して”しまった。ジニアがーー悪い。ベニバナに『化粧直し』だと言われて、行かせてしまったのだから。十分経っても戻って来ないーージニアが青褪めた頃合いで、『問題解決』した和希がーー戻って来た。部屋にベニバナが居ないーージニアを問い詰める迄もなかった。
《結界》の『中』だと思い、ベニバナの事は『安心』して居たのが仇だった。ーー走り出した訳だ。ジニアが追えない速さで。ジニアの様な足で纏いを『指導』している場合では無いーーと。全力でベニバナの『気配』へとーー駆けた。
何故なら今彼女は、魔法が使いたくとも『発動』しないのだ。和希の『力』で、『封印』して居るのだから。封印しないと『連れて』来られなかった訳でーー在る。
“移動中”は『白神』の担当だった。『此の星』では和希の担当ーー役割りだった。常に『ベニバナ』の側にいて『保護』ーー護っていたのだ。『結界』を張って。
此の星の中で本来『存在しない存在』のベニバナが加減せずに『力』を示せーーば、エネルギーの『反作用』で《消滅》するのだ。つまり《排除》されるのだ。此の『星』というーー《エネルギー》から。《不要なモノ》ーーとして。
ベニバナが『此の星の住人』に生るには『中和剤』がーー要る。
お察しの通りそれは橋本 『和希』だった。既に彼は『中和剤』で在る。或の晩から。そうーー意図的に。誰の『策略』かはーー敢えて語らないでおこうーー謂わずとも察しれるだろうーー
松葉 良治への『苦情』は以前から聴こえていた。新任の女性教師への『ギリ(アウト気味)』セクハラーーや、大人しい女生徒へのーーセクハラ・パワハラ紛い。相手の弱味を見付ける付け込むのが上手かった。
それに気付いた和希も、報告を受けた陽藍も、中々『尻尾』を踏み付けられなかった。
陽藍が暴挙に出る。「和希、『海(達)』ーー使ってーー良いぞ。」ーーーーーーーーーー
と。それが先日の『あれ』ーーである。『職員室とかいう目立つ場所でちと派手目なパフォーマンスして松葉を揺さぶってみようーー和希くん』ーー作戦である。
「ーーそんな《都合》良くーー行きますかね?」
そんな馬鹿なーーと和希は言ったが、陽藍は海から『松葉』の言動について密告を受けていたので、『大丈夫だろ』とけろりと言ったので在った。ーー上手くはーーいった。『一応』だったが。
『和希』の『存在』にーー気付かす事はーー出来た。後は自粛を覚えて欲しかったーーーーのだが。
『学校』で無い処でならーーーー
松葉 良治は『愚か』だった。予想よりも。
彼は、『ターゲット』を探して彷徨いて居たのだ。此処『タウン・タウン』を。何かあれば警備が動くからと、和希は放っておいた。自分がベニバナから離れなければ問題無いのだから当然だった。一応『警備』には、『不審人物』の通達は『済み』だった。問題無い『筈』だった。
問題は『ベニバナ』だった。流石は『異世界』産の“御姫様”ーーと言うべきなのかーー
磁場がーー発生した。ベニバナの『エネルギー』に依って。『防犯システム』がーーベニバナを映さなかった。映像にノイズが生じたのだ。ベニバナ移動付近の防犯システムが、一時『不能』ーーと為った。警備班今回最大の『失態』だった。『機材』に頼り過ぎて。後にしっかりと陽藍から小言頂戴だった。ーー切なかった。
ついでに陸の『稽古』が厳しく為った。ーーのだった。ーー切なかった。
和希が『側』に『居ない』だけで“此れ”ーーで在る。今後とも頭の痛い課題だが、陽藍としては勿論、和希に丸投げ(※予定と言う名の決定事項。拒否不可)で在る。
獅子の『あれ』とでも思ってくれ。サドで在る。間違い無く。和希が可愛くて可愛くて仕方無いので在る。『息子』同然だった。三馬鹿達は『弟』の様なものーーだったが。
さておき。
『問題』は和希が『問題無く』片付けた様だったーーので、華月 陽藍は其の刻、悪巧みーーもとい、
仕事しながらーーPCに向かい、ニヤついていた。
「“結婚式”はーー拒否権無いぜ、和希君ーー」と。ニヤついていた。イケメン・笑顔で。
本来本日『無事』に、ベニバナ『姫』の『護衛』任務『完了』に依り『自由』に成る筈のーー橋本 和希は、ベニバナが正式に滝からの求婚を辞退する事に依り、『権利』を手にして、姫に『正式』に、『申し込み』がーー出来る『筈』だった。
『結婚』の。今のままだとベニバナが形式上『二股』の不名誉に為るので、和希は姫の両親達へ『問題』が片付いてからーーと、申し込こんだのだ。提案を。
王妃に全力で却下された。『周りクドい』から「(直ぐ)連れて」行きなさいーーと。
「後から(ベニバナには)説明すれば良いわ」と。
母は娘へ言ったーーーー「ゆくからには、『ハナ』の血に賭けて『惚れて』いただきなさいーーーー」と。要は頑張って頑張ってそれから頑張って『和希』に好きに成って貰いなさいーーと。
『同情』で優しさを『得』てる程度では「ぬるい」ですよーーと。母は厳しかった。娘の為にもだが。行き遅れの三女姫で在る。『過保護』にも為った。
娘が『和希』に惚れたのを『好機』と、和希にも娘に『惚れて』貰う事をーー企んーーーーーー、『策略』……………………嫌『企て』…………………………どれでも変わらない。
『滝』でも良かったが、母は『和希』がやはり好きだった。『恩人』だからである。
夫は『獣』から助けられたが、自分自身は『暗殺者』から救われた。代わりに暗殺者ーーの命はーー途絶えた。和希が殺めたのだ。当時、ーー『加減』がーー利かなかった。
当時の『橋本 和希』はーー自分が強いと未だ知らなかった。ーーーーーーーーー未だに『其れ』は、和希の心の『闇』でーー在る。
命を奪ったという『嫌悪感』は、何度生まれて来てもーー其処に在った。二度と。ーー繰り返さない為に。
在るのだとーー彼は自分を《其れ》に依り戒めた。友と陽藍は『緩和剤』だった。
『《俺》の緩んだ《ネジ》を締めれるのは陽藍さんだけだしーー』
手綱を『握って』るのもーー彼だけだーーと。
《全くーー御前は一種の『暴走車』だな。或る意味ーー友『以上』だそ。》
切れたら何やらかすのかーー理解らん。なーー転移したーー和希を迎えに『来た』陽藍はーー
そう言ったのだった。
危なっかしくて目が離せないーーたがら、「いっそ『部下』に成れ。」面倒なら『一生』みてやるからーーと。
「どうせお前、『友』の腐れ縁だろ。此の先もずっとな。ーー」
だったら『直接』護ってやるーーだから、「成長しろよ、和希ーー」と。
華月家一番の『問題児』友と、ガチバトルが可能レベル・ポテンシャルだった和希は、そうして陽藍の『元』でーー今に至る迄にーー成長を続けた。『友』と『共』に。ーー弱音も吐かずに。
和希は文字通り陽藍に『逆らえ』なかった。頭が上がらないのだ。和希が『泣いた』のは、後にも先にも『その日』だけで在った。《人をーーーー》
「殺したーーーーーーー」と。迎えに来た陽藍を前に糸が切れた様に泣いたのだ。
悔しくて。中途半端な自分の『力』をーー呪ったのだ。二度と誤らない“強さ”がーー欲しいのだと。
“同じ”経験が在る陽藍は、和希に自分をみた。彼は過去の自分だった。硝子細工が壊れてしまうのは忍びなかった。《硝子細工》には。
救けたかったのは、いつかの自分自身だったのかもしれない。それを和希は思い出させてくれたのだ。陽藍にとっても息子の友人は『恩人』だった。手放せない位の。
決してそうは言わないが。
✼ ✼ ✼
昔の『忘れ得ぬ』あの光景を、和希は思い出しながらーーベニバナに言った。
「又《無茶》を《させないで》」ーーと。ベニバナは本当の《意味》をーー理解出来なかった。
未だ息はある松葉 良治はーー転がって在た。松葉は、『姫』を見付けてーー後をつけたのだ。
和希が『以前』羽澄高校に連れて『来た』あの『美人』だと。
松葉は愚か過ぎて忘れてしまった。あの日帰りがけの陽藍に視線で牽制された事等。
陽藍と和希のミステイクは、松葉が『其処まで』の馬鹿だと見抜けなかった事だ。“採用”を“否定”しなかったのだからーー。教員の採用は、陽藍と和希の管轄ではない。事務長に任せていたが、彼とてそこ迄見抜く事は、酷だろうとーー思われる。何より真っ先に『事態』に気付き『報告』を上げたのが、彼なのだから。
和希は『違う事態』を収集する為『離れた』事を、後悔した。有無を言わさず『其の場』から横着すれば良かったーーと。
あの日の『母』そっくりに、姫様は和希の腕の中で未だ震えて居た。
✾ ✾ ✾
『和希』がーー来てくれた。ベニバナは彼にしがみついた。母の『教え』の通りに。『離して』は駄目だと。
今日、『和希』にーーーー振られない様に。とーーーー
ジニアがうっかり『言った』のだ。自分達の『護衛』任務ーー「『カルミア』の奴『出番』無かったですね。ーー」と。
「『和希』先生も今日で肩の荷がーー降りますね。」と。
ジニアの『勘違い』だった。姫の想い人は、『蓮』だと。ジニアは思っていた。今日ベニバナは滝の申込れを承諾するのだと。
聞いた姫はジニアの勘違いを引き継いだ。器用な『勘違い』だと和希は思った。
疲れから珍しく苛立ち表れた和希は、言った。
『ベニバナ』さんーーと。
「『蓮』君の件を、きちんとされてから、僕の『気持ち』を受け入れて下さいね。」
「『手順』は踏まないといけませんよ。誇り高き“王族”の『血』なのですからーー。『順序』良くですよ。」
「『階段』を飛ばされる様で、品格が御座いませんね、『姫様』ーー」と。和希は勿論怒っていた。
過保護姫様にも、それだけは理解った。ーーーーーー自分の『失態』だと。彼の腕の中で、頷いたのだった。
そう、傍からみれば、ただの『過保護』ラブラブカップルで在る。放っておけば、『松葉 良治』為る存在が、《消滅》する筈だっただけの些細な出来事だった。闇を持つ和希には、ベニバナに同じ闇を持たせたく無かっただけの。
救けなくとも『ベニバナに害を生すモノ』として、和希が施した結界に依り、排除されたのだ。ベニバナの力が強過ぎて、やや可怪しなノイズは発生したが、誤差の範囲だったのだから。発動時間がーーーーやや遅れた“位”の。




