『バイト』。
「なあ〜敦〜アルバイト紹介してよ。」
「はあ?」
× ÷ ×
「ーーちっ、敦之め。」ーー役立たねーなと、瀬野尾 紹は独りごちた。
÷ − ÷
『どうしよっかな〜』と、紹は校舎の窓から空に言った。「やっぱ『オジさん』かね。」と。
問題は陽藍が『捉まるかどうか』だ。「捉まれば、簡単だけどな。」
独り言だった。
÷ + ÷
「あっ」
「ん?」
「ラッキー。『オジさん』めっけ。」
「どうした?紹? 俺を探してたのか? 連絡すれば良かったろ? 携帯失くしたのか?」
「はは」
「ーー何? ーー用事は何だ。小遣いか?」
「や、『バイト』したい。ーー何か無い? 日雇いでさ。」
「ーーお前受験ーー、嫌。いい。『小遣い』やるよ。 何が欲しいんだ?」
「『紺』ちゃんに『ちょっと』。『例』のあれを。ーーね。俺からも何かーーさ。だから『バイト』が良ーな。お願いオジさん。」
「そうゆう事か。ーーーー」
「へへ」
不意に延びた手が、子供にする様に紹の頭を撫でたので、紹はやはり子供の様に喜んだ。
「何かーー無い? 『敦』に頼んだら断られた。ーー使えねーの、敦。あ、親父に内緒でさ。お願いします。」
苦笑した陽藍は『篝に「内緒」は厳しいな。』ーーと言ったのだった。
− ÷ −
「あ」
「ん?」
「………………………………よう。『紹』君。」
「気持ち悪っ!」
校舎の廊下で鉢合わせた『眞角』達は、愛想笑い虚しく紹に不気味がられて、柄にも無く『落ち込ん』だ。ーーのだった。
「やっぱ『瀬野尾』、『ひでえ』………な。」
「『ムカつく』〜」
端田と嘉木幡が続いて言った。本音だった。ーー彼等は態度が『“あれ”』過ぎて、女子に一切『もてナイ』のだーー逆恨みだった。もてる『紹』への。
「「っ〜、この『キチク』ヤロウッ!」」
すっかり『紹』にびびっている眞角 稔と違い、端田と嘉木幡は紹の『ヤバさ』にーー気付いていないらしい。『ーーコイツ等阿呆だなーー』と、眞角は友人ふたりを思った。
紹が面倒くさそうに『はあ?』と言った処で、その声はーーした。
「『紹』ちゃ〜ん? どうしたの〜?」
と。紹が『ん?』と思うと、海が居た。友人達を、引き連れて。きょとんとした間抜け面だった。
× × ×
「『海』の『間抜けた面』って、さ〜。或る『意味』、“天使”だよな〜此の『エンジジェル・フェイス』ーーめ。ーー羨ましい『面』しやがって。今日も『可愛い』なーー〜おまえは。どした海? 何してんだ?」
そう言った紹の言葉に、一同は呆気に取られたのだった。
÷ × ÷
「ん〜? 三年の『瀬野尾』先輩だよね〜? 『瀬野尾 紹』さん。海君は何で『知って』んの?」
原 理が、海に聞いた。
「へ? 『従兄弟』だよ? 『太一』兄ちゃんの『弟』だもん。紹兄ちゃん。」
「ふへ!?」
原 理だった。
「へ〜そうなんだ。『知らなかった』な。
すみません『先輩』、ーー『僕等』、海君の『友達』ーーです。海君の『お父さん』には、いつもお世話になっています。
俺『仲嶺』って言います。 『仲嶺 深織』です。よろしくお願いします。『他』の奴等も紹介しときますか?」
「ど〜も『先輩』、『原』って言います。海君の『親友』です。」
原が割り込んだ。
「あれ? 原が『変な事』言ってるな。」
相瀬良 広陽が言った。
「原、『変な物』食った?」
加野 なつめがーー聞く。
「ーーーー『海』君。『コイツ等』、『酷い』ね。ーーもう海君は『友達』は『俺だけ』にーーしない? うん、良い意見だな。」
「おいーー」
深織が突っ込む。
「俺『何も』言って『無い』のにか? 理ーーーー」
『お前こそ「酷い」だろ』ーーと、傍観していた『鹿島 悠緋』が、突っ込んだのだった。
『海』との『直接対決』が初めてだったーー『眞角』達は、ーー狼狽したのだった。
「やっぱり『三年』と『一年』だとあんまり『学校』で会わないね〜」
「………………そうだな。」
「あ、紹ちゃん、今度の『日曜』暇?」
「悪い『忙しい』。ーー用事入れちまった。ごめんな海。」
「良いよ分かった。急に言ったし。大丈夫。ん〜じゃね。僕等行くね『移動教室』なんだ。紹ちゃんは? さぼり?」
「海君『失礼』ですね。ーーさぼんないよ、受験生だしさ。」
「なら『良いけど』さ。ーーーー。『友達』は『選んで』ね。」
海はちらりと『眞角』達をーー『一瞥した』ーーのだった。紹はひやりとする。
『ーー変な《とこ》が、オジさんに「そっくり」だなーー海はーー』と。
「大丈夫だ、海。此の人達、『友達』じゃ無いから。」紹はーーほほ笑んだ。
海が『あ』と言う。紹が『ん?』と返した。
「『日曜日』の『用事』の内容って聞いて良いの?」と。海に言われて紹は答えた。
「あ〜『バイト』なんだ。一日だけね。ちょっと『入用』でね。」と、
紹が微笑んだ。海の友人達は其れを『見』て、『もて笑顔』ーーと再認識した。紹の『モテ振り』は、校内で有名だった。『鬼畜モテ』と言われて在た。
校内の『モテ』グラフーーは、『海』派。『悠緋』派。他に『加野』派。深織、広陽派はーーやや少数ーーそしてやはり不動の『瀬野尾 紹』派だった。原“調べ”でーー在る。
『俺派が居ない』ーーと、原が落胆した話だ。原は良く居る『もてない』タイプの、グッド・フェイスだった。ーー可哀想に。『彼女』持ちなのでーーそうでも無いか。
さておき、意外な『一言』は、そちらからーー来た。端田 大聖が言ったのだ。
『瀬野尾、「その日雇い」、俺達も入れねえかな?』と。
『ん?』とーー、一同に視線を向けられながらーー「頼む『金』要るんだわ」ーー
「今迄の『態度』謝るからーーさ。毛嫌いして『ごめん』な。すみません僻んでました!」
「……………………………………………………………いや、良ーけど。……………………僻まれてたの…………俺は?」
紹は答えたのだった。
海は『ふ〜ん』と言った。『紹ちゃんも「バイト」なんだ』と。紹は思わず『え?』と返した。
海は答えた。
「『僕等も』なんだ。あ、行かなくちゃ。じゃ〜ね紹ちゃん。ごめん行こ〜」
「えっちょ海っ! ーーーーーーえ? 嘘でしょ?」
海の背中が見えなくなる頃、紹は言った。「……………『過保護』の『オジさん』が………………」
『海』に『バイト』「させんの?」ーーーーと。
「阿呆な『金額』の『小遣い』貰える『癖』に、『バイト』?ーーー海に『出来』んの?」ーーーーと。
独り言だったが眞角達に聴こえていた。ーーーーーー
× × ×
「ふ〜ん。『太一』さんの『弟』だとはーー思わなかったよ。」
「似てないーーからね。」
海は答えた。『確かに』ーーと彼等は思った。
「ま、『バイト代』で『例のあれ』買えそうで良かったよな。」
「海君『選んで』来てね。」
「え? 皆は?」
「『なつの』ちゃんと行ってきなよ。『元』飼い主だしさ。ーーと、」
「お前等ーー勿論『弓削』にはーー」
「みなまで言うな。大丈夫だ。」
「今回ばかりはな〜。」
「そっか。僕『音』に頼もうと思ってた。《木ノ下》さんと行けば良いのか。」
「「「「ん?音って?」」」誰?」
「え?」
「あれ?お前等会った事ない?」
「ーーなんで悠緋だけーー」
「偶然? あ、そか。じゃあ『音』ちゃんて海君ーー」
「うん。そう。音は従姉妹。『紹』兄ちゃんの『妹』だよ。」
「ーーだよね。『瀬野尾』だもんね。」
「悠緋と海君だけで会話するのやめて下さい。」
「原が『又』始まったぞ。」
「察しろ、原。」
「あ〜友理奈さんに『会いたい』な〜」
「加野、それ今『関係』無いから。」
「お前等〜ッッ!い〜加減にしろーーーーーーっ、授業始めてんだよ!此方は!聞け!答えろ華月!」
と、化学教師が叫んだが、海は『正解』をーー答えたので、空気が白くなったので在った。
「ーーーーでも『私語』はーーーー慎んで。ーーーー(泣)」と、辛うじて言ったのだった。海は素直にごめんなさいと謝った。
勿論悠緋達もとても素直に謝罪した。悪い事は悪いのだ。陽藍の教えだった。
が、
職員室で此の教師の愚痴を耳にした橋本 和希に、彼等は『呼び』出され、
其の教師に『聴こえる』場所で『たっぷり』と『説教』されたのでーー在った。
「ーー何してんの?『君等』はーー。」
「学校は『授業』受けに来る『人達』の『場』です。」
「『海』は『特に』な。『お父さん』に『恥』かかせない。全く。」
「『君』の『お父さん』の『作った』学校だよ? 息子が其の父の『教育方針』否定するのかーー海は? 意味理解るか?」
「ごっごめんなさいーーっ。ーー」
「俺は『意味理解るか』とーー聞いたんだ。 理解らないのか?」
「えっとーー」
「いや、『橋本』先生、ーーその辺でーー」
其の化学教師だった。がーー、
「『どの辺』でしょうか、『松葉』先生。ーー『指導』に、この辺も『どの辺』も有りますか? 『理解』させないのは『教えない』と同意義ですよ。でしたら『教師』は『要りません』よね? 彼等は『授業』が何たるかをーー理解していないからーー私語が絶えないんですよ。他の先生方からも、御指摘が有りますしね。 成績だけ修めれば『まあ良い』と御考えですか? 松葉先生は。 そうでは無いから『指導』して下さったのでは?」
教師松葉は応えられなかった。
「『鹿島』もだぞ、鹿島。お前は『バイト』もしてるしな。お前の『バイト』は、『商品の良さ』ーーを伝える『仕事』だぞ? そのお前がそういう『態度』で『授業』受けてて『良い』のか? 『授業』を商品に例えてみろ。そんなふざけた授業の受け方で、誰かに授業の『良さ』はーー伝えられるか? それとも『授業』は下らないか? なら学校来なくて良いな?」
「すみませんでしたーー先生。ーー『改め』ます。松葉『先生』、申し訳ありませんでした。」
悠緋が『素直』に教師松葉へと頭を下げたので、一同続いた。
松葉は青褪め、『大丈夫、大丈夫だから!っ』とーー狼狽していた。
「ま、後『加野』にもーー言おうと思ったんだけどーーまあ、『今日はこの辺』かな?ーーーー
おまえら。分かってると『思う』けど、『次』が『在る』と『思う』なよ?
松葉『先生』が『寛大』で『良かった』な。ーーーーね、『先生』。」
松葉 良治はこの日初めて、『橋本』を《こわい》ーーと感じた。汗が伝う程に。
× × ×
「ごめんね〜先生、『面倒』掛けちゃって。」
海は和希にそう言った。
「海は『役者』に成れるね。ありがとな。」
「『松葉』って『そういう』奴なんだ?知らんかったな。」
理がつまらなそうに言った。
「でもあれで『和希』先生に大分『びびった』みたいだから、もう『大丈夫』な感じ?」
深織がそう言った。和希は苦笑した。
『油断出来ないがな』〜と。
「ま、俺達も『注意』しては『みてる』けどさ。ーー万全な訳にはーー」
なつめが言うーー
『大丈夫』と和希が言った。
悠緋と広陽は『バイト』に向かい、居なかった。
+ ✝ +
「ーー『教師』ってーー大変だなーー……………つうかそいつ、『気持ち悪い』ね。」
「まあ、仕事は『何でも』大変だとは思うよ。滝君だって『大変』でしょ。」
「はは、つか『これ』さんきゅ〜。あ〜今『食べる』かな?いい?」
「え?あ、うん。」
和希は滝に会いに来ていた。『差し入れ』持参で。
「で、その『生徒サン』は、大丈夫なの?」
滝は差し入れのケーキを食べながら聞いたのだった。『えっ?美味っ!』と。
「『お茶』………………淹れるよ……………良い?」
滝は答えた。
「あ、俺『珈琲』がいーな。」と。
コーヒーメーカーを見つけると、後ろから『橋本君完璧。嫁行けるじゃん。あ、』
「ん?」
「俺に嫁ぐ?」ーーと言ったのだった。意外に真剣そうだったので、
「ーーーー『御断り』しますーーーー」と、言っておいた。
なんだ残念ーーーーと背中で聞こえた。陽藍から聞いたのだが、『滝の元妻』が、再婚するらしい。
『滝がーー意外に「衝撃」受けてたらしいからーー』
「お前ーー様子見に行けない?」かーーと、陽藍に『聞かれた』のだ。
確かに『少し』元気が無かった。ーーそう思えた。×××××××××××××××××××××××××××××××
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