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51話 戦闘と和解

俺とドラゴンの戦いが始まる。


相手が相手なので手加減する余裕はない。もちろんのこと逃げる余裕はないし、逃げるつもりもない。ジークの治療が終わったところで確認したが、やはり”覚醒”が発動していた。”覚醒”の効果でステータス自体はほとんど差がない所まで追いついていたが、差がないというのはこちらにも余裕がないということだ。殺す気で、行く!



かばんから剣を抜き、首めがけて振り切る。相手は俺を見失うことなく反応していた。牙を俺の剣めがけて振り切ってくる。


キンッ


「ガアアアアアアア」


相手の牙を切り取り、口内を傷つけた。血がだらだらと口からこぼれている。ずたぼろになった相手に比べてこっちの剣に刃こぼれは・・・ないようだ。


「自慢の牙が折れて残念だったな。次は爪か?腕か?どこでも好きなところを切り裂いてやるぞ!」


攻撃が通じることを確かめられた俺は、躊躇なく突っ込んでいく。ドラゴンの真価は空を飛んでこそだ。地を這っている以上そのステータスを生かしきれない。だからまずは翼をもごう。あちこちにフェイントをかけた後で、背中に乗る。


「ハッ」


ズバッという音だけ残して両方の翼が根から切り裂かれた。俺は高速を維持したままドラゴンの体を切りつけていく。ドラゴンは俺がどれだけ早く動いても一応反応はしているようで体を動かして対処しようとしてくる。だがどうしてもその巨体が邪魔になっており、俺の攻撃を防げない。しばらく攻撃を続け左右の手足を切り裂いて動けなくさせた。頭は無事だから油断は出来ないが、とりあえずこれで抵抗は出来ないだろう。


「グググッ卑怯な人間族め。この我ですらもまた我らにしか効かない武器に敗れようとは・・・」


「・・・」


「我が子の分まで合わせて呪ってくれる。死に絶えるがいい!!」


本当に呪えそうな目でこちらを睨んでそう吼えてくる。


「おい、お前の息子は死んじゃいないし、俺に操られてもいない」


「嘘をつくなああああ!ならばなぜ我の攻撃の前に我が子が入ってくるというのだ!お前達が操ったに決まっている!」


「俺たちが森の中で困っていたジークを助けたからだよ。卵泥棒の件は俺じゃないし、ジークはハイゴブリンに殺されそうになってたぞ」


「そ、そのようなこと信じられるか!人間の言うことなぞ!」


「そのようなことも何も俺の言うことをそもそも信じる気ないだろうが。後でジークが起きたら聞け。お前ならジークとも会話できるんだろう?」


ため息をつきながらそう勧めてみる。ぼこぼこにしたので俺は一応落ち着いたし、今のこいつじゃ下手なことは出来ないだろう。


「我を殺さぬというのか!?」


「そういってんだろ。俺たちはそもそもジークの親を探しに着たんだよ。お前を殺してどうする」


まあアイラがもしも死んでたなら問答無用で殺してたけどね。本当に無事でよかった。



そのあともぎゃーぎゃー言っていたが無視。とりあえずジークが起きるのをまとう。

俺はジークを置いてから戻ってきたアイラと一緒に、オリヴィアとジークがいる野営地に戻った。



「おかえりなさい。無事で本当によかったです」


「ただいま。ジークはどうだ?」


「呼吸も安定していますし大丈夫だと思います。アイラさんから治る前を聞いた時は平静ではいられませんでしたが・・・」


「ああ、ジークがドラゴンじゃなければ即死だったろうな」


ステータスを見てみるがひとまずのところは問題はなさそうだ。HPも全快しているし、さっきと変わった様子もない。とりあえず起きた時のために食べ物を用意しておこうか。HP的には全快だが、血とかまで全部再生しているんだろうか?その辺が良く分からないな。ゲームならHPさえ全快していれば安心なのだが、現実では油断できない。


HPといえば親ドラゴンの方は出血で継続的にダメージを受けている状態だ。そのうち再生能力で勝手に止まるだろうがHP的にはかなり減っていってる。20万もありドラゴンという強力な種族だからこその放置だな。そうじゃなければ早々に出血多量で死んでいるだろう。




適当な魔物を狩り、食事の支度をする。またいつ戦闘になるか分からないからと言って二人にも無理やり食べさせた。

俺たちの食事を終えしばらく経った頃、ようやくジークが目を覚ます。


「ジーク、体におかしなところはないか?」


ジークはこくこくと首を振っている。ちなみにアイラはジークが起きた瞬間に抱きついて泣いている。


「アイラを守ってくれてありがとう。お前のおかげでアイラに怪我はなかったよ」


「ギュア」


ジークがなんて言っているかは分からないが鳴き声からして喜んでくれているのだろう。


「お前のことを守ってやれなくてすまなかった。さぞかし痛かったろう」


「ギュアアア」


否定しているようだから気にするなとかだとは思うのだが、正確には分からない。普段なら解読を頑張るところだが、ひとまず親のところへ連れて行こうか。



「ジーク、さっきのドラゴンはお前の親で間違いないのか?」


「ギュア、ギュア」


なんだか嬉しそうだ。親で間違いないらしい。


「お前には悪いんだが、俺たちがお前を操っていると言って俺たちの言うことをぜんぜん聞かないし、襲ってくるから殺さない程度にぼこぼこにした。ちょっと説得してくれないか?」


「ギュア!」


ジークはすくっと立ち上がると親のほうへ走り出した。



俺が表に出るとまた面倒になるかなと思い遠目から見るに留める。すると二人でギュアギュア、グアグアと言い合っているようだ。

しばらくするとなんかジークの勢いがだんだん激しくなってる気がする。あ、尻尾でひっぱたいた。地団太まで踏んでずいぶん怒ってんな。この分からず屋!とかかな?親のほうがジークに攻撃する様子はないけど、なかなかスムーズにはいかなそうだ。


「おい、ジークとの話は済んだか?」


「ぬ、人間よ。早く我が子を解放するの、ぶふっ」


あくまでも操られていると言うところから離れられないようだ。めんどくせえやつ・・・。

ちなみに最後のはジークに尻尾でひっぱたかれたからです(本日二度目)


「俺たちは操っていないし、嘘もついてない。お前の竜眼なら見えているだろう?いい加減意地を張っていないで前に進んでくれ。これじゃジークが可愛そうだ」


「ぐぬぬぬ・・・そもそも何だそのジークと言うのは。我の子に勝手に名前をつけたのか!?」


「名前がなかったんだからしょうがないだろうが。ドラゴンの子どもとでも呼べってか?それともおい、とかこらとか呼べばいいのか?」


「ぐうぬぬぬううう!」


「グルルルル、ギュアギュアー!」


「なに?いきなり攻撃したことを詫びろだと?竜族たる我が、人間なんかに!?」


「ギュア、ギュアア」


「悪いことしたら謝るのは当たり前?いや、しかしだな・・・」


「ギュアギュア、ギュアギュアーア、ギュアギュアギュア!」


「そもそもこの人たちは恩人?死にそうな僕を助けてくれたんだから、攻撃するなんておかしいって?うむむむ・・・」


子どもに正論をぶつけられる親の図。親の旗色はなかなか悪そうだ。

それからしばらくぐぬぬぬとか言ってたけどやっと観念したようで、


「に、人間よ。なにやら行き違いがあったようだな!我に攻撃したことは許してやぶほっ」


「グルルルルル、グルア!」


「なんだと!?いい加減にしないと絶縁!?わ、分かったからそんなこと言わないでくれ!」


うむ、完全に情けない親父だな。


「あー、そ、そのす、すまなかった。・・・うるさい!言われんでも分かっておる!今言うところだったのだ!あー我が子を助けてくれてその、か、感謝する」


やっと折れてくれたようだ。ジークに頼んでよかった。


「謝罪と感謝の言葉は受け取った。仲直りの印に傷を治そうと思うが如何か?」


向こうが折れたので俺も言葉遣いを改めよう。ちょっと情けないけど一応目上(3325歳)だからな。ちなみに途中のはジークの尻尾ビンタ(3回目)と頭突きで急かされたからです。


「む、そうしてくれるとその、助かる。」


ドラゴンの傷は大部分がふさがり始めていた。さすがと言ったところだろうか。だが動けぬように筋を攻撃したのでそこはさすがに治っていなかった。光魔法で治癒してやるとすぐに動けるようになる。物理的に動けなかっただけでHPはまだまだあり、やはり格の違う存在だと言えよう。


「ジークのために取ったものだが、昼食を一緒にどうです?」


「おお、それはありがたい。ぜひぜひいただこう。それと汝は我に勝ったのだ。先ほどまでの言葉遣いでいいぞ」


なんだか一気に素直になったな。プライドは高いけど一度認めればって所なのかな?そしてよだれをたらすのはやめて欲しい。ただでさえ崩壊しているイメージが・・・。


「じゃあ、遠慮なく崩させてもらう。ご飯は今出すよ」


なんとか和解出来てよかった。ジークの前で親を切り殺すってのはやりたくなかったからな。

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