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27話 インフレ

俺たちは今50層のボス部屋の前にいる。

あれから7日、休みにした3日以外は毎回5階層ずつ進んできている。

30層の敵のステータスは1000を少々超えた程度。正直俺たちの敵じゃない。


30層の宝箱はやっぱり枯れたままだったが、他の層は普通に生きていた。

40層のボスはでかいトカゲで、希少ドロップの条件がよく分からなかったため普通に倒した。竜族とは関係ないらしく、竜の因子などはなかった。


「竜の因子がないからこいつらは竜族じゃなさそうだな」


「こんな蜥蜴と一緒にしたらたぶん怒りますよ?」


「むう。人間とチンパンジーみたいなものか」


「チンパンジー?」


「近くて遠い存在かな」


「??」


自分の世界の常識を改めてちゃんと説明するのって難しいね。染色体の数がどうとか覚えてないしなぁ。




あふれそうなドロップ品や、宝箱の中身はついにできるようになった異次元バッグの中にはいっている。すでに金稼ぎは十分だと判断しこれらを売ることはひとまず考えていない。素材は放っておくと腐ってしまうので時魔法で時間を1/10にしてある。本当は時を止めたいところだけどまだ無理なようだ。


これらの使えなかった魔法の習熟にはギルドに置いてあった本が非常に役に立った。

過去の名残で魔法関連の希少な本が一揃い揃っていたのだ。非常にありがたかった。

時魔法の練習方法などものっていたので、それに沿って練習した結果使えるようになった。


時魔法の練習方法はかなり地味だった。まず砂時計を二つ用意する。

そして片方の砂時計をひたすら見つめて、もう片方よりゆっくり落ちるようにするのだ。

辛かった。非常に辛かった。休みの内丸2日をかけてこの練習をしたのだが、砂時計が夢に出てきたぐらいだ。今では片方だけ早く進めたりすることもできるが、コツを掴むまでがなかなか大変だった。適正AでこれなのだからCとかだったら何ヶ月かかるのだろうか。

俺は挫折する自信があるぞ。


異次元バッグは今までのバッグの中を空間拡張しているのとは違い、バッグの口を入り口に見立て異次元にある空間に物を放り込んでいる。そしてその空間全体を時魔法で時間が遅くなるようにしている。これは自分で作った空間だからこそできることで、他の動物や物にはもっと小規模でしか干渉できない。例えば小鳥なんかの時間を遅くすることはできるが、中型犬サイズの動物にはまだ無理だ。当然他の人間にかけることも出来ない。自分には出来るので、擬似瞬間移動が可能になった。

まだ5秒程度しか加速できないし、加速も2倍程度だ。それでも元々の俺のスピードが異常なので非常に強くなったのだが。ただこれ肉体が2倍の速度で年を取っているのと同義だと思うので乱用は避けたいところだ。



31-39階は荒野エリアとでも言えばいいのかな?砂漠でこそなかったが、不毛な大地が続いていた。蛇とか蜥蜴とか蝙蝠とかが主力の寂しい世界が続いた。ここは常に暴風が吹いており、視界が非常に悪かった。10mぐらいしか先が見えないような環境だった。その代わり魔物も少なかったので顔の前に風魔法で暴風壁を張りながら、全力疾走して駆け抜けた。

時たま崖だと気づかずに飛び降りてしまって、死にかけたのも楽しい思い出だ。

空間魔法で足場作らなかったらぐちゃってたな。アイラが先行じゃなくて良かった。


そうそう、今までは空間魔法で物理的に干渉することがほとんど出来なかったが、LvUPによりそれも出来るようになった。最近やっとチーターとして開花してきた気がする。今まではステータス馬鹿だったからな。俺の異世界テンプレはこれからだぜ!


地図がないので散々迷子になったが、スピードでごまかした。アイラが方向感覚にすぐれていたので助かったよ。


「ご主人様、そっちに進むと先ほど通ったところへ行きそうです」


「なんでこの暴風の中でわかんの?竜人だから?」


「たぶん・・・?なんとなくとしか」


とかなんとか。アイラも大概だね!




40階の宝箱の中身は最高でミスリルでオリハルコンは出なかった。これまでの傾向的に、希少ドロップの条件が分かればオリハルコンも出せるのかもしれないがとりあえず先に進むことにした。


41階から先は火山地帯だ。砂漠で鍛えた熱耐性スキルがあっても汗がだらだら出てきた。

さすがのアイラでも暑がっていた。特にマグマの道みたいなところは溶けたマグマが流れていて暑いというより熱い。触りでもしようものなら一瞬で溶けそうだ。


41階に出てくる魔物はファイヤーバッファローとマグマボアだ。

名前を見てわかるように両方とも突進系の魔物だ。こいつら自体の攻撃は角がでかいわけでもないので、正直たいしたことはない。ただ火属性への耐性が高く、それを武器にこの暑いフロアでも機敏に動き回り、マグマに押し込んでくる。完全に嫌がらせである。マグマに押し込んでくる魔物とか趣味悪すぎだろ。このダンジョン作った奴にもし会う事があったら殴ってやりたい。それとバッファローとボアとかなんで熱いところに毛玉が出てくるのかと!


45階までに出てくる魔物たちもフィールドの強みを生かしたものばかりだった。マグマ泳いでるトカゲとか、道の両端をマグマで囲っておいて真ん中の道を転がってくる岩の魔物とか。どんどん趣味が悪くなるというかなんというか・・・。まともに攻略させる気はなさそうだ。


蜥蜴はきゅえーとか言いながら出てくるので着地前に首をはねたし、岩の奴はマグマに蹴りこんでやった。そのまま抵抗できずに沈んでいったね。ざまあ。



45階のワープゾーンを越えるとそこは吹雪が吹き荒れるマップだった。環境変わりすぎだろ。っていうか寒すぎるし、またしても視界が悪い。

寒さの耐性がつくまで二人してがたがた震えるはめに。あまりの変化にダンジョンに入ってすぐにもかかわらず、一度上着を取りにいったぐらいだ。今までが火山ゾーンだったから薄着で着てたんだよね。この寒さで薄着とかとてもじゃないが死にそうだ。暑さには強いアイラも寒さには弱いらしく、耐性がつくまでは俺と一緒だった。


「ご、ご主人様。帰りましょう。この寒さは私には無理です」


「耐性がじきつくから頑張ろうよ!」


「私火竜人ですよ!こんな吹雪の中で生きていけるわけないじゃないですか!」


「成せば成るよ。神様の加護がついてるんだし!」


「早く耐性がつくようにしてください。さもなければ私だけでも帰らせてください!」


一緒にご飯は食べられないとか言ってたぐらいのアイラが、強くなったものだ。




環境への適用力が高いのか、アイラのほうが先に耐性スキルがつく。

遅れること10分ぐらい?やっと俺にもスキルが付いてから、攻略が開始できた。


出てくる魔物は兎とか、狼とか、熊とか冬山にいそうな魔物ばっかりだった。

しかしそんな魔物たちだがステータスがかなり高めになってきており、俺達以外が攻略するのには少し厳しそうだ。熊の力なんかは2000を超えている。30層の敵との差がひどい。


49階は氷のゴーレムが出てきており、29階のパクリのようだった。

コンセプトは別物で、ただひたすら硬いようだ。核はまる見えだし、きり飛ばしたりしたら再生はしない。その代わり生半可な攻撃は通らず、鈍重さもない。

硬さを生かした攻撃は人間などまともに食らえばばらばらになるだろう。

俺の剣も切りつけたらかけてしまった。鋼鉄じゃ役不足だったようだ。


しょうがないので殴ってぶっ飛ばした。こいつの体より、魔力で強化した俺の拳(壊砂装備)のほうが硬いようだ。


ん?ってことはあれだ。俺、身体強化してれば鋼鉄武器当たっても傷負わないってことじゃね?だんだん人間離れが進んできたな。



さていよいよ50層のボスだ。流れでいくと氷のゴーレムの巨大版かな?


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