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19話 門出

あれから15日ほど経った。毎日のように狩りに行き、レベル上げと資金稼ぎを繰り返していた。

というのも、最初の予定ではこの町に家でも買おうかと思っていた。

風呂のない生活に耐えられなくなっているし、それが獣人形態であるアイラが一番気兼ねない暮らしができると思ったからだ。


だがその予定を変更して別の町に移動する必要が出てきたため、今はその準備をしている。

理由は簡単で俺達の要求を満たせる武器がこの町にはないのだ。

前に行った装備屋では鋼鉄の装備以上のものがほとんどなく、あっても大して変わらなかった。


アイラなどは最近の魔物狩りでは素手で倒してしまうことが多い。

自分の膂力の上がり具合に驚いていた彼女はどこか遠くへ行ってしまった。

今ではもう立派な脳筋だ。・・・失言だった。謝るから睨まないで欲しい。


それとアイラは常人ならざる膂力を持っているのだからということで、重量系の武器に換える事にした。槍からの派生ということで斧槍を主に使っている。この武器も鋼鉄でできており、この近辺で出てくる魔物を相手取るには十分な性能をしている。だが、より強い魔物が出てきたときには心もとない。


そこで武器屋のおじさん(10回ぐらい通って始めて見た)に聞いてみたところ、ダンジョン都市:ガーレンに行くことを勧められた。そこでは多種多様な魔物が生まれる関係で高性能な武器も作られているらしい。中にはアダマンタイトやオリハルコンなどの希少金属を使った装備もあるそうだ。というわけで・・・旅行の支度中だ。


「着替えとテントと調味料と洗濯道具、あとは・・・タオルぐらいかな?」


「とりあえずそれだけあれば十分かと・・・」


調理道具は持っていかない。というか持っていない。

アイラと話して判明したのだが、彼女ほとんど料理をしたことがなかった。

母親の手伝いはしたことがあったそうだが、竜人はわりと大雑把な料理だったらしく、焼く、いためる、ゆでる程度だそうだ。俺と変わらないじゃないか!

料理当番の人が欲しいデス。


ちなみにこの15日の間にかばんをマジックバックにすることに成功している。

空間魔法がLv3にあがったため試してみたらできたのだ。ただし2倍がせいぜいで重量はそのまま。つまり入れすぎるととても重い。俺達二人には関係のないことだがバッグの紐のほうが千切れる。なので軽くてかさばるものには最適だが、重いものを持ち運ぶのには向かないのだった。めざせLv4・・・。



準備を終え町を出発する時が来た。お世話になった人への挨拶は昨日のうちにすませている。みんなにも元気に過ごして欲しいものだ。


「じゃあ隊長さん、お世話になりました。」


「おう、気をつけてな」


「はい、隊長さんも」


一番親しかったのが衛兵の人たちというのはいいのか悪いのか・・・。

ガーレンまでの道のりは馬車で15日ほどとのこと。

馬車の時速を知らないのでどのくらいかわからなかった。

我ながらもう少しいろいろな知識を身につけておくんだったと毎日のように嘆いている。

まあ俺達が走るほうが馬車より速いのは確実なので10日もあればつくだろう。


こうしてアイラとの二人旅は幕を開けた。ガーレンまで・・・ひたすらダッシュ!




結論から言おう。次の日の内についた。10日という目算は甘かったようだ(逆の意味で)。

全力疾走ではなかったので二日かかったが、たぶん本気で走ればその日の内に着けたな。

一泊は大きめな町で宿を取って泊まった。夕方について食事して寝て、朝出発したので特に何も見ていない。我ながら観光に向かない性格だな。


二日目のお昼ごろにガーレンの町にたどり着いた。

町に入るための渋滞はかなり長く、1時間は待たされた。

そのわりにやったことといえば犯罪歴の確認ぐらいだったが。


ガーレンの町並みは円形だった。というのもダンジョンへの入り口を中心において町を造って行ったらしく、東が装備や薬などの商店、西が住居といった感じだ。そしてダンジョンの入り口の正面にギルドがある。


カラン


お昼過ぎだというのにギルドの中にはそこそこの人がいた。

ペルラの町では昼時は人がほとんどいないので意外だ。

しょうがないので列に並び順番を待つ。


奴隷モードのアイラはこういう場所では話し相手になってくれないので暇だ。

じろじろ中を見ていると自分の番がやってきた。


「こんにちは、御用は何でしょう?」


「この町に初めてきたのですが、ダンジョンの説明を聞かせてもらえないかなと」


「かしこまりました。このダンジョンは・・・」


話が長かったのでダンジョンの説明をまとめると・・・


・このダンジョンは元々魔族の訓練施設だった。

・全部で100層あり、5層ごとにワープポイントがあり、10層ごとにボスがいる。

・今の最高階は29階で、ボスが強くて撤退した。

・奥に進むと魔力が濃くなり環境が苛酷になる代わりにいいものが手に入る。


とのことだ。それとギルドの役割が他とは違うそうだ。


「このギルドは他の町のギルドと違って情報共有の場としての側面が強いです。依頼はほとんどが素材を募集するものです。またダンジョンの情報には報奨金をだしています。そしてギルドが買い取った情報は閲覧自由となっています。ぜひご活用ください」


「へーその情報はどこへ行けば見られますか?」


「2階にございます。知りたい情報が決まっておりましたらそこにいる職員にお声掛けください」


というわけでひとまず2階に上がり情報を得ようとしたんだが・・・。混んでた。

なんでも新しい階層に入ったところということでその情報を求める人が殺到しているとのこと。しょうがないので低階層の地図だけメモをして、今日はでることにした。

・・・低階層の地図はメモできなかった。森とか平原らしい。


ひとまず宿を取って、昼食を食べよう。


今回はギルドでお勧めの宿を聞き泊まることにした。

ギルドの裏手にあった。近くていいね。


遅めの昼食を併設の酒場兼食堂で食べることにした。


「ダンジョンには罠とかあるんですか?」


「いや、罠はないって話しだねぇ。代わりに魔物がうじゃうじゃいるらしいよ」


「へー中は広いんで?」


「そりゃーもう。次の階でワープだからって無理すると、消耗品が切れて死にかけたってのは割りと聞く話だねぇ」


「迷子になることも想定しておかないとですね」


さすがギルドお勧めの宿のおかみさんだ。ダンジョンの話に詳しかった。


「とりあえず今日は10階を目指そうか?」


「そのぐらいでいいかと思います」


「んでは気軽にごー」


1階は森にいたウサギとかスライムとかがいる平原だった。

このダンジョンでは紫色の変なエフェクトといっしょに渦が生じてそこから魔物が出てくるようだ。ゲームじゃあるまいに本当に不思議な施設だ・・・。

死体はしばらく放っておくとダンジョンに吸収されていった。



これ実はでっかい生物の胃の中じゃないだろうか・・・?怖いんだが。

奥へ誘い込んでおいしくいただく。ここ自体がトラップな気がしてならない。

鑑定してみて分かったのだが、傷薬とかの材料がたくさん生えていた。

森で見かけなかった草はこれぐらいか。


>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

止血草


血を凝固させる成分が含まれている

抽出すると傷薬になる

誤って大量に食べると死ぬ可能性あり

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>


うーむ。毒と薬は紙一重といったところか。蛇の毒とかと同じ感じかな。


まあそんな感じで一階はお散歩気分だった。

2階もほとんど同じ。時たまファングヴァイパーという牙の長い蛇が奇襲をしてきたぐらいだ。


空間魔法を使っている俺には関係のない相手だった。


「アイラ、左後方に蛇だよー」


と言えばアイラがずばっとやっつけてくれる。ふふふ。

なんか自分が漫画の中のキャラクターになったようだ。

さしずめ気配察知にすぐれた忍者系だな。テンションあがってきたぜ!


すたすたと5階まで順調に上ったが一階ずつが広いため予想以上に時間がかかり、おなかが減ってきた。

今日は初日だしということでここまでに。

出てくる魔物はせいぜいDランクまでの魔物でぶっちゃけ弱かった。というか俺ほとんど戦闘してない。

アイラに指示出してただけだ。

明日はペースを上げて20階位まで行きたいな。



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