12話 試験
今日もぐっすり寝れてすっきり起床!
慣れないことをいろいろしているからか夜がとても早い。
まあ地球と違って夜は暗いし、明かりをつけっぱなしにしてまでやることもない。
なにせゲームもないし、本も、漫画もない。
お酒でも飲めばもっと遅くまで過ごすんだろうけど・・・飲めないしな。
そういえばアルコールにスキルで耐性ついたりするんだろうか。
ついたらついたでなんだな・・・。みんなして耐性ついたら誰も飲まないか。
閑話休題
おかみさんに聞いたところ、ちょっと前に一つ目の鐘が鳴ったそうだ。
まだ約束の時間にはかなり早いので、朝食を食べてから少し体を動かすことにする。
せっかく予備の剣も手に入れたということで二刀流に挑戦することにした。
実用性とか細かいことは気にするな。格好よければいいのだ!
右手と左手に違う動きをさせる。片方がガードするときには片方で攻撃だ!
・・・
無理だろこれ。そういえば俺、右手と左手で別々のもの書けない人だったわ。
器用さのステータスのおかげか手はなんとなくで勝手に動く。
しかしながら頭が回らない。パニックを起こしている・・・。
相手が技量的にかなりの格下ならこのままでも勝てそうだが、考えて戦わないといけないときにはこれは使い物にならない。フェイントかなんかに引っかかって即終了だ。
うーん。練習あるのみだな。あと剣の練習も全部右手だけで練習してきたせいか、左手の動きが圧倒的に鈍い。これからは左手でも練習するべきだな、左手で食べるとか!
しばらく練習をしていたがそろそろ時間が気になりだしてきたのでいったん終わりにすることにした。準備運動としては十分に動いたのでこれでいいだろう。
汗をぬぐって装備を再度確認し、冒険者ギルドに行くことにした。
昨日よりは遅い時間なので少しは減っているが、カウンターにはまだ人が並んでいる。
依頼表を眺めて時間をつぶすことにしよう。
なんとかの素材が欲しいという類の依頼もそこそこあるが、どっちかというと魔物由来の事件解決が主のようだ。
畑を荒らす魔物を倒して欲しいとか、安心して作業できないから護衛が欲しいとか。
当たり前だがこの近辺の依頼しかない。ちょっと遠くて隣の村?のようだ。
どっかに行くとなると、別の町への護衛依頼や荷物を受け取ってくるなんてのもある。
地球と違って町の外を移動するとなると、かなりの危険があるから冒険者が活躍するんだろうな。
町の外の便利屋さんって感じだ。
どの依頼ならお金が稼げるかなと見て回ってるとアンガスさんに声をかけられる。
「よう、早いな。準備は万端か?」
「おはようございます。はい、いつでも」
「じゃあ、行くか」
「よろしくお願いします」
アンガスさんと一緒に訓練場に行くとそこには一人の冒険者が待っていた。
「今回お前さんの試験を担当してくれるBランク冒険者のノバスだ」
「ノバスだ。よろしくな」
強そうなおじさんだった。
武器は俺と同じ片手剣。左手に丸い盾を装備したオーソドックスなスタイルだ。
ってなんでBランク何だろう?俺はCランク試験をお願いしたはずだが・・・。
「ケンと申します。お手数おかけしますが、よろしくお願いします」
意外そうな顔をした後ニカッっと笑われ右手を差し出してきた。
応じようと右手を出したらその右手が跳ね上がってくる!
首をひょいとまげてかわした。
「もう始まってるんです?」
今度はニヤッと笑って
「いいや、挨拶さ。今のもよけれんような腑抜けじゃ困るからな」
「では、試験を始めてもらっていいですか?」
「ああ、そうしよう」
お互いにはなれて武器を構えたところでアンガスさんが声をかけてくる。
「ではケンの試験を開始する。お互いに試験だということを忘れず、大きな怪我はさせないこと。
では、はじめ!」
ランクを認定するための試験をはいえ、今回は練習のつもりでもある。
対人経験は昨日相手をしてくれた人が初めてだしね。
なので普通に正面から近づいて打ち合うことにする。
相手は基本的に盾で捌いてくる。すっとすべらされると体が流れてしまってやばい。
もちろんカウンターの剣も飛んでくるし、こっちの体は変な体勢だし・・・。
ちなみに相手の武器は左手の手甲ではじいているからこっちにも怪我はない。
だがお粗末な俺の防御と向こうの鉄壁の盾では話にならない。
どうやってくずせばいいのかわからない。
うーん。しばらくやってみたが結果が変わらない。
軽く打ちつけて体勢を崩さないようにしてみると、シールドバッシュがくる。
力を強めると体勢を崩される。盾強いな!
盾を蹴ってみたり、足払いをかけてみたりといろいろやってみる。相手の盾を目隠しに指をかけて引っ張ってみたりもした。だがひとつひとつの攻撃はすでに慣れているようで、すぐに対策・反撃をされてしまう。やはり崩すにはいろいろなことを続けてやらないとだめみたいだ。なんだか格闘ゲームのようだ・・・。逆か。
さて、ステータス的な意味で本気を出すか、と思ったところで
「やめろ!終わりだ!」
とアンガスさんからストップがかかり、はっとした。
「それ以上はやめろ。これはあくまでも試験であり殺し合いじゃない」
「はい・・・。失礼しました」
ぺこりと頭を下げる一方でやり過ぎるところだったと反省する。
「試験の結果は合格だ。Cランクとして認めよう。書類を発行するから酒場で少し時間をつぶしていろ」
「はい、では失礼します。ノバスさんありがとうございました」
やってしまうところだったという思いから逃げるように酒場に移動した。
☆
「止めてくれて助かったぜ」
「ああ、いきなり殺気が噴出したときには焦ったよ」
「Cランク試験になんでBランクの俺がと思ったけど万が一を考えたなら正解だったな」
「いあ、逆に手ごわいお前さんだからこそ本気にさせてしまったかも知れん。
無理言ってすまなかったな」
「その可能性もないではないな。だがまあ、練習と本番で豹変するタイプのようだからあれの予想はできんだろう」
「そうだな。あの若さで受け答えも丁寧だし腰も低いから、ちょっと心配だったんだが・・・無事やっていけそうで良かったよ」
「それに太刀筋はよかったが盾との戦い方は知らないような感じだったし、俺との戦いはあいつにとってもいい経験だったろう」
「そうだな。言うまでもなく対人能力も冒険者には欠かせんし、お前さんの盾捌きは一流といっていいからな」
「しかしあれだな、強いんだか弱いんだかいまいち分からん奴だった。
魔物とだけ戦い続けてきたタイプかな?」
「そうかもしれないな。人とやり慣れていないというのは良くも悪くも心配だな。
暴走しないように釘を刺して、少し注視しておこう」
などと本人の知らないうちに監視対象になっているのであった。




