13話 初依頼
酒場のはじっこにあるいすに座って落ち込んでいるとアンガスさんに呼ばれた。
気持ちを切り替えて、ギルドカウンターに向かう。
「おい、坊主。一丁前に落ち込んでんじゃねえ」
「すみません」
バレバレだった。
「確かに最初俺が言ったことを忘れて、本気になったのはよくなかった」
「・・・はい」
「だが戦闘に熱が入れば他が見えなくなるのは若いうちはしょうがないことだ。
これから視野を広げていけばいい」
「はい・・・」
「落ち込む暇があったら先に生かす努力をしろ!なによりお前より技術的に上の相手としっかりやりあったんだ。それを忘れるな」
「はい!」
我ながら非常に単純だと思う。
しかし誰にも怪我をさせずにすんだのだ。これを教訓に頑張ろう。
「よし!ではこれがギルド証だ」
「ありがとうございます!」
「冒険者ギルドの一員として研鑽を怠らないように。
なによりそれがお前の命を守ることになるからな」
「頑張ります」
「早速依頼受けるか?」
「そうします。依頼表見てきますね」
残っている依頼はあんまり多くなかった。特にDランクより下の依頼は大工の手伝い?みたいな依頼ぐらいだった。朝並んでた人数を考えてもこのギルドは活発に動いてるらしい。
仕事がたくさんあっていいと考えるべきか、それとも危険なことがたくさんあって困ると考えるべきか・・・。
結局Cランクのビッグホーンという牛の魔物を倒し、肉屋さんに引き渡すという依頼にした。ちなみに報酬は時価と書いてある。時価って高そうだよね!
牛なんてどうやって運ぶのかと聞いたら、店から荷車を借りてそれに載せて集団で押すとのこと。荷車に乗るってことはそこまででかくないのかな?
俺の力ならいけるだろうと思って、店まで借りに行くと拒否された・・・。
「おめーみてーな餓鬼に大事な荷車つぶされてたまるか!せめてもっと強そうな仲間連れてからこい!」
だそうです。まあそうだよね。俺の見た目14歳の子どもだし・・・。
ということで諦めた。
いや、依頼は諦めていない。違約金取られちゃうからね!
あーでも向こうから拒否した場合はどうなるんだろう。そこまではわかんないな。
とりあえずビッグホーンがいるという近くの平原に出てみる。
普通に目に映る範囲にいた。というか集団でいるんだが・・・。
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大角牛
集団で生活する牛。角の大きさで群れの中の順位が決まる
基本的に温厚。戦闘になるとかなりの凶暴さを見せる
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うーむ。一頭でいいんだけどな。それ以上は運べないし。
っていうかこいつ魔物じゃなくね?ランクかいてないし。
うーんこいつらじゃないのか?名前も・・・一緒だけど微妙に違うし・・・
不思議に思って集団を眺めながらしばらくうろうろしてみる。
そしたら一際角のでかいのがいましたよ。体も一回りでかい。
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ビッグホーン Bランク
レベル:25
大角牛とは別物の魔獣
体躯が一回り大きく群れのボス
角での一撃は大抵の生物を即死させるだけの威力がある
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こいつかーなにこれ?サル山の大将してる人間みたいなものかな?
一撃で即死ってえらい火力に振ってるな。
まあ当たらなければいいってことだな。
あとBランクって書いてあるんだけど、・・・本当にこいつだよね?
とりあえず石ころをなげつけて挑発してみる。
「えいっ」
ごんっという硬い音がして頭に当たる。あ、怒った。
こっちに向けてすっごい勢いで突進してくる牛。町に向かって逃げる俺。
ずだだだーと一定の距離を保って走り続ける。周りの連中はボスが戦ってるからか、本当に関係ないのか無視している。全員脅す必要がなくてありがたい。
町に大分近づいたし、群れからも離れた。さて倒すか。
足を止め突進してくるビッグホーンと相対する。
ぶつかるちょっと前で真上にジャンプ!体をひねって背中に乗り、首を切りつける。
ロデオみたいに暴れたけど、持ちやすい角があったので大丈夫だった。
そのうち血を流しすぎたのかふらふらし始めたので首を落として終わりにした。
平和に暮らしていたところ悪いけど全部食べるから許してくれ。
かかえようとしたが横周りがでかすぎて手が回らない。
もてないことはないけど傷つけてしまいそうだ。
結果片手に首を持ち片手で体を持ち上げて運ぶことにした。
うん、力が意味の分からないことになっている。まあ気にしたら負けだ。
平原はいい。なにがいいって移動を邪魔するものがない。
走るとさすがに落としそうだけど今回は町もすぐそこだ。
軽い散歩程度の時間でついたが・・・また詰め所に呼ばれた。あれ?
「なあ、町に魔物を近づけていいと思ってるのか?」
しまった。自分が楽することしか考えてなかった。
「すいません・・・」
「お前は勝てる目算があったんだろうから?いいよ?」
「・・・」
「こっちは砂煙とともにビッグホーンが・・・
おい、おまえの狩ってきたこいつ・・・なんかでかくないか?」
「えっと、大きいほうがいい値段かなと・・・」
「そ、そうか、まあいいや。でこれはどうするんだ?」
「あ、肉屋さんに納品です」
「じゃあ・・・おいお前ひとっ走り呼んで来い。
おおよそのサイズを伝えるのを忘れるなよ」
隊長さんはなぜか警備の一人に呼びに行かせようとする。
「え?自分で持って行きますよ」
「なにを言ってるんだ?」
やばい。隊長さんの笑顔に怒気がこもってる。
「お前は詰め所で説教の続きだよ?」
「あ、はい。すみませんでした」
結局30分ぐらい叱られた・・・。
ついには警備隊の愚痴まで聞かされた。酔っ払いとかは俺のせいじゃないです!
隊長のありがたいお説教を終え、肉屋に行くと店主に謝罪された。
言われるのが理解できる見た目だから、怒ってるわけでもないし謝罪を受け入れた。
あっさり受け入れたのが意外だったのか、何度も謝られた。
ちょっと怯えている様だったのは気のせいだと思いたい。・・・気のせいだよね?
サイズが大きいので角意外を金貨1枚と銀貨50枚で買い取ってもらった。
解体費用は荷車を貸さなかったことの詫びだといって無料にしてくれた。
お説教以外はたいした苦労でもなかったから結果的に得したと言えよう。
角はギルドで売ろう。
ついでに大角牛とビッグホーンについてごまかしつつ聞いてみるが
「ビッグホーンはビッグホーンだろ?」
とのことだった。大角牛が魔物認定されてるのか、ビッグホーンが認定されてないのかよく分からないままだった。まあ鑑定がなきゃどう見ても同じ生き物だしな。
とりあえずいずれ調べることにして、角をギルドに持って帰る。
銀貨50枚で買い取ってくれた。税金引かれて銀貨40枚だって!
・・・
なんかこの国滅ぼしたくなってきた。ここの領主をつぶしてくるか、
それとも国王脅して税金なしにするか、はたまた王城平らにしてやろうか・・・。
ハッ
闇に落ちるところだった。
まあいいや、とりあえずしばらくの生活はこまらないだろう。
ついでにギルドカードへの入金を進められた。
なんでも帝国にある冒険者ギルドならどこでも引き落とせるらしい。
うん、銀行だな。
「他の国ではだめなんですか?」
「そりゃ無理に決まってんだろ。他国の冒険者ギルドとも一応つながりはあるが、全然別の組織だぞ。冒険者ギルドって国営だし」
!?
いつのまにか公務員だった俺。この世界の冒険者ギルドは独立組織じゃなかったらしい。
お昼食べてまた訓練して、今日は終わりかな?
こういう風に稼げるならお風呂に入ったり家買ったりもすぐだな。
安定収入生活万歳!




