即バレしました
にゃはは
大阪魔法大学附属高等学校。
それが僕が現在通っている高校の名前だ。
魔法大学は日本に6つ存在し、そのいずれも国立の大学ではあるが魔法政府の管轄として扱われている。
それでも一般にはエリート校として知られており、またその大学の附属高校もそれに準じて優秀とされている。
一般公募は当然やってはいるが附属高校において各学科の上位50名はそのままエスカレーター式に大学に入学でき、また仮にも優秀とされる学校であるだけあって一般公募においても合格者の約半数以上は附属高校出身の学生である。
また、魔法大学、そしてその附属高校には三つの学科が存在する。
一つ目が魔法科。魔法科に所属する学生は特異能力が魔法である、もしくは魔法適性が高いなどの生徒が多い。そして授業なども当然魔法学主体となっている。
二つ目は生産科。こちらは特異能力が魔道具生産に特化している生徒や将来生産職に就きたいという生徒が集まっている。
そして3つ目が僕の所属する戦闘科。こちらは特異能力が戦闘に特化している、または将来討伐者、若しくは軍人系統の職に就きたいといった生徒が多い。
それぞれの学科では6割の授業内容は共通しているが、残りの4割はそれぞれの学科の特徴に沿った授業が行われる。
うちの学科の場合は、実技や戦闘における陣形、敵が使って来る可能性のある魔法の対処などだ。
「それで、この高校を出たいと?」
「はい。両親が遺してくれた遺産はあるものの、日々の生活が苦しくなって行くことに変わりはありませんから」
僕の目の前に座っているのは鈴原彩香という女性で齢三十にして僕の通う高校の校長を務める人物である。
その他、若くして既に魔法学における第一人者として魔法大学五つの栄誉職である『賢者』を所持している上、日本で有数の序列五桁の席に座すほどの実力も兼ね備えており日本の『断絶』として世界にも認知されている。
何の連絡もなしに校長に訪問し、直ぐに通れたのはラッキーだった。
「でもね、葉月真尋君。将来を思うなら余計にこの学校は出るべきだと思いますよ?」
葉月、という部分を強調して続ける。
「実際、君は戦闘科に所属はしてはいますが、他の学科の生徒よりも座学ならば優れています。それこそ貴方の実家が貴方を戦闘科に押し込まなければ他の学科でトップの成績を誇ったでしょうに」
まあ、この人の言う通り座学のみなら僕はこの学校でもトップの成績を誇っている。
しかし僕のいる戦闘科においては実技が成績の殆どであり、実力主義という一種の独立国家を形成している為に落ちこぼれというレッテルも貼られたのだが。
「それでも、です」
「ふむ。貴方の実家が何か言ってくると思いますが」
「あの人たちとは戦闘科に入り、卒業することを条件にそれ以上の関与は禁ずると言う内容の契約を結んだのは知っているでしょう?」
「その契約書をもう一度見せて貰ってもいいですか?」
魔法鞄から差し出した契約書を校長に手渡す。
しばらく契約書を読み解いていた彼女は「ふむ、」と時折呟き僕の方に返してきた。
「なるほど。確かにそのように契約が成されているようです。ですがそれで退学などすればそれこそ口を出してくると思いますが」
「……もうその辺で辞めてもらえませんか師匠」
師匠、と読んだ瞬間緊迫した空気が霧散した。
彼女は真面目な顔を微かに緩ませながら、ふふっと笑う。
「久しぶりに弟子と話すのです。これぐらいの会話はいいでしょう?」
そう、僕と鈴原校長は三年前から師弟の関係にある。
と言っても名義登録などはされていないため世間一般に弟子は居ないとされているが。
「師匠なら分かりましたよね、僕の魔力が増えていることに」
そう言うと師匠は視線を僕の右手に向け、
「その右手の指に付けている指輪には魔力感知を妨害する効果が付いていますね。私ならいざ知らず、大抵の者なら誤魔化せるでしょう」
と言い切った。
「やっぱり気付いてたんですね。師匠は僕がレベルアップできない理由を知っている筈です。なら、僕がここにきた理由は」
「夏休み明けで行われる身体検査は出られない、と言うことですね」
「話が早くて助かります」
師匠にはこの後言うことも全て分かっているのだろう。
「ですので、師匠には卒業試験をして欲しいんです」
今の日本には飛び級、と言う制度が存在する。
実力主義の世の中において戦力となり得る存在を無駄にすることは出来ないということだ。
「やはりですか。確かにそれならば葉月との契約を守ることも出来ますし私の身分があれば卒業試験を行うことは容易でしょう。それに真尋の今の実力なら戦闘も行えるでしょうし、合格も容易いと思います」
「はい、なので」
「しかしです」
僕の言葉を遮って師匠は続けた。
「私名義で卒業試験を行うのは構いません。それくらい可愛い可愛い私の弟子のためならば行いましょう。このご時世飛び級はさして珍しくない。しかし君は大阪魔法大学附属高校一年の、戦闘科です。戦闘科における成績は実技が7割。つまり飛び級、卒業を認定されると言うことは実力の証明になります。そして飛び級で卒業試験を合格した場合世間で公表されることにもなります」
「分かっています」
「いいえ、分かっていません。ここ十年で戦闘科における飛び級生は301人、飛び級状態で卒業試験を合格した生徒は36名です。しかしそのどの子たちも高校二年での受験です。それでさえ大学ではかなり生徒の取り合いになりました。魔法政府にも当然耳に入ることになります。それが高校一年の段階で行われたら、君はさらに世間で騒がれるでしょう」
飛び級の弊害もあったということだ。
確かにそれを聞いたらかなり面倒なことになるとは思う。
それでも、だ。
「僕は卒業した後、暫くの間は姿を消す予定です。その間のことを師匠に任せたいんです」
「……つまり、君は私の弟子であると公表しても良い。そう言ってるんですね?」
世間に公表していない師弟関係。その理由は僕が断っていたからだった。
もともと三年前の正月、年始の会に参加していた時。理由は知らないが師匠が葉月の家に来た時僕を弟子にと頼み込んだのが始まりだ。
しかし、自分に実力が上がる見込みはなく。
既にその時世間でも認められた『賢者』『断絶』の弟子になることはできないと思い公表は断った。
しかし、今そんな理由は存在しない。
「なるほど、それなら卒業試験をすることも許可できます。ついでに外で待っている女性のことも教えてもらえますよね?」
外にいたヒルデのこともバレてるみたいだ。
魔力感知を阻害する指輪を僕と同じようにつけてるし、ここから何キロあると思ってるんだよ……
僕は苦笑いしながら頷いた。
御堂はるか、大阪在住。
関東、東京のこと何もわからにゃい、いいにゃ?
次の投稿は火曜日にゃ




