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一度地球に戻ります

にゃははは……



ジャックさんと別れた僕達はご飯を食べてから、3階の4人部屋に案内された。

中は15畳ほどで四つのベッドが置いてある他には服を掛ける用のタンス、壁際には机などが設置されている。


「トイレは1階にあるからそれを使いな。ほれ、鍵だよ。出かける時に鍵は受付であたしに渡しておくれ。いない間に掃除しておくからね」


カミさんから鍵を受け取り、部屋は静かになった。

僕はとりあえず木枠の窓を開ける。

目の前の通りは静かなものだが少し離れた南通の喧騒が微かに聞こえてきた。


「取り敢えず今日の目標は全部達成したわけだけど。これからどうしようか?」


みんなそれぞれにベッドに腰掛けたのを見計らって声を出す。

街の中には一悶着あったものの入れたし、他の目的もだいたい果たせた。

いや、宿を提供してもらえたことを考えたらむしろジャックさんには感謝したほうがいいかもしれない。


「そうですね。まだ昼ですが今後の予定も考えておいた方がいいと思います」

「今後の予定?」

「はい。マヒロお兄さまは後20日ほどで元の世界に戻る必要があるのですよね?」

「うん。夏休みが終わるからね」


今が大体8月の中旬に入ったぐらいで、9月の初めに始業式があることを考えるとあと20日あるかないかだ。

というか学校が始まったらどうしたらいいんだろうか。

所詮毎日抵抗のないゴブリンを倒しているだけの同級生などレベルは高くないだろう。

僕の今のレベルが17で、本気を出さなくても普段虐めてきた奴なんか相手にならないレベルだ。


だが、問題はそこじゃない。

今の地球は魔物を倒す機会が限られている。

この世界みたいに魔物が氾濫するほどに生息しておらず、魔物が生息する地域は魔法政府の管理下に置かれており一般人が立ち入ることは出来ない。

普段の授業でゴブリンが輸送されてくるのも、そういったことが原因だ。


一応世界には迷宮と呼ばれる場所も存在する。

そこでは魔物が際限なく生まれてくる。

でも、魔物が倒れてから再び出現する、再湧出(リポップ)もそこまでの頻度じゃない。

それに未開の地でまだ発見されていないものでもない限り国が管理しているので魔物生息地域と同様一般人は立ち入れない。


そんな環境の中夏休みというたかが一、二ヶ月の間に20以上もレベルアップをした僕の存在は明らかに異端であり、確実に捕縛された後僕がレベルアップした理由諸々を吐かせに掛かってくるだろう。


二学期が始まって最初にステータスを開示するのは、身体測定の時だ。

そこを休んでも次に学校に行った時保健室なんかでどうせする事になる。

つまりどうにかして逃げ切る、というのは無理な可能性が非常に高い。


「うーん……」


僕は自分でもわかるくらい唸り声をあげた。

いっそのこと学校を辞めることもありかもしれない。

けど、その場合辞める理由がない。


学校でのイジメがあったと校長にでも告白したらどうだろうか。

その場合は葉月の名に傷が付くと言って本家から断りが入るだろうし。

引っ越しなんかの理由も、家は変われないから使うことが出来ない。


じゃあ、学費が無くなり働かなくては行けなくなったという理由はどうだろう。

これでも高校生ではあるし、義務教育の期間は過ぎ去っている。

両親が他界し一人暮らしをしている僕に遺産はあれども生活面での余裕はない、という事を理由にすれば案外いけるかもしれない。


……うん、行けるなこれ。

我ながら実にいい案だろう。

よくよく考えてみたら高校課程での勉強や魔法式の知識は全てもう習得済みだし、学校でのレベルアップにも参加していなかったし、イジメられている。

よく不登校にならずに学校に行っていたな、と思った。


でも、これを理由にするならもう一つ上の考えが通るかもしれないと思う。

話す相手はあの校長だから、僕の魔力がバレるのはほぼ確定だろう。

なら次の提案も練っておく必要があるな。


そう案がまとまると、かなり気分が楽になった。

学校から解放されるということはこの世界にも時間関係なく来れるということだからだ。


そこまで考えてサーシャを放ったらかしにしていたのに気付く。


「あ、ごめんね。頭の中で考えてたんだけど、期間は考えなくても良くなるかも知れない」

「そうなのですか?」


みんなに今考えていた事を説明する。


「だから、僕はこれから地球で校長先生に会ってくるよ。手続きとかも必要だろうしなるべく早くした方がいいだろうから」

「これからですか?」

「ヒルデに乗って行けば一時間かからずに森の家に行けるからね。ヒルデ、さっき着いたばかりですまないんだけどもう一度飛んでもらってもいいかな?」

「別に構わんよ」


ヒルデに了承をもらった僕はベッドから降りる。


「じゃ、ルドルとサーシャは今日はゆっくり休んでくれるかな。ご飯代とか、出かけた時の買い物用にお金は置いておくからさ」

「わかったぜ」

「分かりました。あ、門は午後9時に閉まりますので気をつけて行って来てください」

「門限があるんだね。ついでに食料品やら何やらも買ってくるつもりだから今日は帰ってこれないと思う。明日は微妙かな。でもなるべくはやく帰ってくるから待っててね」


机の上にトランプや将棋なんかの玩具と部屋の鍵、金貨1枚に銀貨を20枚ほど置いてからヒルデと一緒に部屋を出た。


「カミさん。僕とヒルデは外出してくるよ」

「はいよ!行ってきな!」


軽く挨拶をして宿を出る。


「じゃあ門に行こうか」

「うむ」


先程はジャックさんに止められたが、門で身分証を見せたらあっさりと通らせてもらえた。

特にヒルデを注視する事もなかったからやっぱりジャックさんが特別だったんだろう。

ある程度歩いて人目が無くなってからヒルデに竜の姿に戻ってもらい、僕達は家の所まで飛んで行った。







次の投稿は火曜日にゃ

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