六話 四日目
四日目の朝、寝っ転がった2m近いギガンテス娘がその巨躯を躍動させドタンバタンと両手足をブン回した。キンコが満面の笑顔で暴れている。どうやら本人としては喜びのあまり小躍りしているつもりらしい。
目覚めとともに魔法使い呪文レベル1【ブラーヌ】を習得した事を悟った。昨日はジェラートに酒場で算数の授業も受け二桁の足し算がマスターしたし、キンコは順風満帆に運ぶ最近の人生に怖くなるほど幸福を覚えた。
それらの感情が自然と体から表出し上記の大踊りとなった訳だが早朝の狭い雑魚寝宿屋の片隅でやったのでは周りの者達にとって無差別テロ以外の何ものでもなかった。
半分寝ぼけまなこだったこともあり、リミッター完全解除フルパワーで行われた暴力は左右にいた連中を残らず叩きのめした。特に災難だったのはキンコの足にしがみついていたムーニャで軽々と吹っ飛ばれたあげく他の客達の集まりに突っ込み続々と被害者を増やした。
宿屋は騒然となり客達全員の安眠を中断させた。幸運な事に軽傷者を出すだけですんだが、宿を追い出され出禁になった。今HDクラッシャーズの面々は朝焼けに照らされたアリガミンをトボトボと歩いている。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいフェ~ん」
「もう怒ってないから謝るのいいニャア。迷宮行く前に喉が枯れちゃうし」
さきほどからずっとキンコが謝り倒している。涙と鼻水でひどい顔だ。幸せはどこかにいってしまった。いい加減怒りの持続も切れムーニャは許しをだした。仲直りの印にムーニャはその長い尻尾をクルンと固く握られたキンコの手に絡ませる。それを見てジェラートがフォローを入れ、ブラウスがちゃちゃを入れる。
「朝から災難だったが、何事もいい方に考えようじゃないか。あそこを出禁になったことだし、ちょうどいい宿を変えよう。今度は金に余裕があるから簡易寝台でも大丈夫だぞ」
「うっへっへ。おいおいジェラートちゃんよー。内心は雑魚寝宿引き払えてラッキーとか思ってるでしょ。あの宿に最初入った時いっやそうな顔してたからねぇ~」
ジェラートはプンスカと怒った。
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全員のレベルが2になった。一番でかいのはキンコが【ブラーヌ】を覚えたことだ。MP増加分も換算して一度の冒険で可能な戦闘回数が3倍程になった。
また全員の最大HPが上がった。前衛三人の伸びは特に凄い。一気に20を超えた。BPを振りまくったかいがあるというもの。
残念なのはブラウスだ。また回復呪文ホミィを覚えなかった。BPを最低限しか振らなかったせいか、それともこいつの信心深さが底をわっているのか。
そろそろ本格的に探索を始めてもいいだろう。原作ゲーだともう1レベル上げてからが定石なのだが定石通りにしても詰まらんしな。




