二話
アッティラ大通りは今日も賑わっていた。都市一番の歓楽街は金を払ってくれる者ならば心良く娯楽を提供してくれる。拳にいくらかの小銭を握りしめる前衛三人もその端っこをつまむ権利を持っている。
お目当ては大通りの東にある屋台街だ。まだ昼下がりの午後、屋台に群がる人で通りはごった返している。屋台と客以外にも呼び子やら行商人、前方を一切見ないで走る子供で進むのに苦労する。
三人はおもいおもいバラバラに屋台で好きな食い物を購入し用意された飲食スペースに集まった。
ブラウスは牛肉特有の強い香りを放つ肉団子四個入りだ。ニコニコ笑顔で一つ目を頬張った、がすぐに顔色が青く染まった。
「ぐぼふっ、こ、これは……」
かろうじてそれを飲み込みブラウスは感想を述べた。
「まじぃまずいこれ。肉質がとんでもない。鼠かなんかか。くっそ、匂いは牛脂をねりこんであるだけじゃん」
どうやらハズレだったようだ。屋台の醍醐味を存分に堪能しているブラウスを横で利明が肉の串を口に入れている。
「うーん。まずくはないが……」
それは雀の焼き鳥だった。時間をかけて炙った雀は程よく焼けており、口の中でパリパリと音をたている。しかし小骨がやたら多く、身が少ない。店頭で見たときは丸々と肥えていたように見えたのだが空腹が見せた目の錯覚であったようだ。
どうやら酒のツマミの類らしい。もっとがっつり腹にたまる食い気を期待していた肉体労働者たる利明にとって物足りない食い物である。これもイマイチのようだ。
最後は真守だ。大口でパンをパクついている。それはスライスした玉ねぎと山羊のローストの切り身を挟んだ黒パンだった。
山羊のローストをがぶりと噛むと肉汁がどっと出て玉ねぎとパンに合わさりうまい。真守は満面の笑みだ。他二人が微妙な面をしているので優越感もあって二倍うまい。真守はたからかに教示をたれた。
「ガッハッハ。物を知らんなあお前ら。こういうのは経験が物をいうのさ。売り子のやつらはあの手この手で客の胃袋をだまそうとしてくっからな。ふふん。まあコツを俺がおいおい教えてやろう。シットットガルトの港町の屋台はそりゃあひどくてな。なにかひどいって色んな混ぜ物が……」
真守のありがたい講義を右から左に聞き流しつつ、ブラウスは残りの肉団子をなんとか食えないかと思案したが結局諦め、後衛三人のみやげにしてひと笑い取ろうと懐にしまいこんだ。




