閑話2前編 ~化け物染みた兄
色々あり遅れました
すみません
ひとまず前編は、冷が今どうしているかです
ところどころ訂正しました
side望月 冷
「えっ? 冷君、お姉さんがいるの?」
それはある日の放課後のこと。
僕は、クラスメイトの黒髪美少女ーー姫野輝夜さんといつものように喫茶店に来ていた。
そう、いつものように……だ。
僕ボッチだったはずだよね?
どうしてこんなことに……
「う~ん、いると言いますか……正確にはいた、ですかね? 大分前に兄と一緒にとある事件に巻き込まれたらしくてそのまま……」
「……っ……!!……ごめんなさい、余計なことを聞いてしまったわ」
話を聞いた途端に、彼女の顔が急激にシュンと曇ったものになってしまう。
無理もない、気軽に死んだ身内について尋ねられるなんて、人によっては地雷でしかないだろうし。
輝夜さんもそんな風に考えたんだろう。
今にも泣き出しそうな雰囲気の彼女に慌てた僕は、急いで気にしていないことを伝える。
「だっ、大丈夫ですって! 15年も前のことなんで、まず僕、姉について記憶が全然ないんです。だから未練なんてこれっぽっちもないですよ、アハハ」
学年一、いや、下手したら学校一の人気者である彼女を泣かそうものなら……うん、刺されるね。
それはもう見事なくらい余すとこなく、非公式ファンクラブに串刺しにされるだろう。
そうならないためにも必死にフォローする。
「そっ、そう? …………あれ? というか、それはそれで駄目だと思うのだけど……」
気にしない、気にしない!
「んんっ!ええっとそれなら今はご両親と三人で暮らしてるのかしら?」
話を切り替えるためか少々わざとらしい咳ばらいをする輝夜さん。
そんなちょっとした仕草でさえ可愛いのだからほんとマジ天使。
よっ、カグヤエル!
「あっ、いえ両親は今家にいないんですよ」
「ご旅行かしら?」
「あ~、旅行といえば旅行……………………ですよね?」
「いやいや、私に聞かれましても」
「そっ、そうですよね……。ええっと、うちの両親って一般から大分ずれた感性してましてですね」
「ふむふむ」
「兄の死体が消えた次の日に、『聖夜はきっと異世界転生したに違いない! あの子だけずるい! 私達も行きたい! ケモミミ、ドワーフ、エルフに魔法! ビバ異世界へっ!!ってことで異世界繋がってそうなとこ探してくるから、恋歌ちゃんとお留守番よろしく~』……とか言って二人仲良く、今は海外を飛び回ってるんですよ」
「な、なかなかぶっ飛ん、いえ、アグレッシブなご両親ね……」
うん、その反応はもう慣れたよ。
というかむしろ、苦笑いですませられる輝夜さんに僕は驚いてます。
「まあそういうわけで滅多に帰ってこないんです」
「へ~、そうなの。…………………ところで冷君?」
「はい? なんですか?」
「恋歌ちゃんって…………一体どこの馬、じゃなかった、どちら様かしら? というか同じ家に女の子と二人だけで同居してる理由について今すぐ吐いてください」
あっ、これ絶対めんどくさいやつだ…………
だって兄がたまに増産してたストーK、兄さんを見守る会の方々と目が一緒なんだもん、輝夜さん。
間違いなくカグヤエルから堕天しちゃってるよ……
「あの、心配しなくても恋歌は妹なので」
「前に家族アルバムを見せてもらった時には妹さんなんていなかったじゃないですか!」
「ああ、あれは僕が小さい頃の写真ですから。恋歌は4年前に兄がイタリアのマフィアからひょんなことから助け出した後、連れ帰ってきて以来の義理の妹です。あと恋歌なんて名前ですけどイタリア人のハーフなんで結構かわいいですよ? 自慢の妹です!」
「出ましたね、例の冷君の化け物超人系お兄さん! 色々突っ込みたいことはありますが、ひとまず突っ込む前に一度深呼吸させていただきます」
「あ、どうぞ……」
深呼吸しなきゃいけないレベルなんだ……
「スーハー、スーハー……よし。では姫野輝夜、いっきまーす!!」
「あ、はい」
あなたはガ○ダムな感じのア○ロですか?
「先ずは冷君のお兄さんへ……とりあえずマフィアから助けだすとか、あなたはそれでも人間かと言いたい! それにマフィアと関わることをひょんなこととかですまさないで欲しい! 絶対ドンパチやりましたよね、それ!? あと、どれだけ人助けすれば気がすむんですか! しかも今まで冷君から聞いた話通りなら、助けているのはなぜか可愛い女の子ばかり! 冷君もたまに巻き込んでたみたいだし! そんなんだから、根っからのボッチであるはずの冷君の目が肥えてなかなか私のことを! もうっ!!」
なんか想像以上にめっちゃ怒ってらっしゃる……!?
あと何気に僕ディスられてない……?
「大体自分で言うのもなんですが、私だってこれでも姫野財閥の令嬢、成績は学年トップクラス、スポーツ万能と、結構キャラが濃いはずなんですよ?!」
「ほんとに自分で言うのもなんですね」
「うるさいです、冷君!」
なぜか怒られた。
まあでも確かに輝夜さんの場合、ほんとのことを言ってるから自分で言うのもぎりぎり許されると思うけど……
「ごほんっ! まあ、そんなわけで私も相当キャラは立っているはずなんです。でもね? あなたのお兄さんが助けた人のお話を聞くと自分がとても平凡に感じるの」
「そ、そうですか……?」
「ええ、そうよ。だって貴族令嬢から始まり、王女に、皇女に、聖女に果ては、昔滅んだとか言う古代都市から見つけてきたメイド型アンドロイドよ? はっきり言ってキャラの濃さが半端じゃない! どれだけロイヤルな方々を集めれば気がすむの? というか古代都市ってなに? アンドロイドってなに?!」
「ちょっ! 落ち着いてください輝夜さん、キャラ崩壊しかけてますよ?」
輝夜さんは忘れているようだが、ここは喫茶店だ。
喫茶店で大声で会話するのはいささか問題があると思う。
そう……例え店内ががら空きで、僕たち以外にお客がいなくて、ついでにマスターも近くの椅子に腰かけてぐっすり眠ってしまっていたとしても、だ。
……………なんでこの店やってけるんだろう?
「(カァァァァッ!)ご、ごめんなさいね? 私としたことが、ちょっとあなたのお兄さんの理不尽さに理性を失っていたみたいだわ」
赤面する輝夜さん。
うん、その気持ちはよ~くわかる。
今でこそ僕はもう慣れたけど、昔は輝夜さんと同じ様に、兄の主人公っぽさに突っ込んでいたものだ。
懐かしいなぁ~……。
「あはは……。まあ慣れてくださいとしか」
「がっ、頑張ってみます……」
◇◇◇
しばらくして、輝夜さんとの楽しいお茶の時間は終わりをつげる。
「今日もありがとうございました、冷君。楽しかったわ」
「こちらこそ、ありがとうございました! 僕も楽しかったです」
「それじゃあまた明日学校で」
「はい、また明日。さようなら」
去っていく輝夜さんを見送りながら、久々に姉の話が出たからだろうか? ふと、兄のとある言葉を思い出す。
『冷、お前もいつかお兄ちゃんみたいに人生の決断を迫られる時が来るかもしれない。
望月の家系は代々厄持ちだしな。
そんな時に冷が、理不尽さに負けて、大切な者を奪われるようなことがないように、俺は今お前に様々なことを叩き込み色々な経験をさせているんだ。
……つっても小さい冷にはなに言ってるかわかんないだろうし、その内大きくなってから、俺のこの言葉を思い出してくれればいい。
ただこれだけは覚えとけ。
いいか、俺みたいにはなるなよ? 無力だったばかりに、理不尽ごときに小夜姉を奪われてしまった、俺のようには……………な』
この言葉はまだ僕が小さな頃、偶然押し入れの奥のアルバムを見つけ、そこに写っていた銀髪の小さな女の子について兄に尋ねた時に聞いた言葉だった。
兄弟仲が良く、兄とはずっと一緒にいたが、その時だけだったように思う……
普段不敵な笑みを浮かべてばかりいる兄の、本当に悲しそうな顔をみたのは………………
15年前、兄は姉を亡くしたことを境に変わり始めたという。
一分一秒を惜しみ、体を鍛え、知識をつめ込み、社交性を磨く。
興味があることは宗教や、オカルトだろうと手を出し、そこから学んだ事を、ことごとく吸収していった。
なぜ兄はそんなにも急激な変化を求め、そして遂げたのか?
それは全て、理不尽に打ち勝つため。
自身の姉を奪い去った理不尽に、もう二度と何も奪わせないため。
そう、ただそれだけのために兄は………………自他共に認める怪物となったのだ。
「姉の存在はそこまで兄に……聖夜兄さんにとってでかいものだったってことか。なんだろ、そう考えると気になってきたなぁ……。帰ったら電話で父さん達に聞いてみるか、小夜姉さんについて」
そうと決まれば早く帰ろう。
恋歌だって待ってくれてるだろうし。
こうして僕は家路を急いだ。
本当に遅れてしまいごめんなさい
受験生ということで相変わらず更新が安定しませんがご容赦いただければ幸いです
あと余談ですがゲー○ーズが面白くて書くのが遅れたという事情もあったりなかったり……
はい、すみません。
言い訳です




