4対1と完全勝利
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ガイモン先生の合図と共に、一斉に四人が走り出す。
あー、とりあえずさっきの技を繰り返せばいいんだよな?
一先ず俺は先程と同じように抜刀の構えに入る。
最初に俺の下にたどり着いたのはルサルカだった。
ルサルカは剣を構える。
構えからして横に一閃する感じか……?
「ではいくぞ! 水剣流壱式、水閃!!!!」
ルサルカの声と共に、剣が水を纏う。
水剣流の基本技ってやつだろうか?
壱式っつうぐらいだし多分そうなんだろう。
んじゃこちらも、
「飛天……じゃなかった!」
危ねえ危ねえ!!
過去の失敗を反省する! それが魔王なんです!
……ちなみに後悔は一切しないよ?
「負けん流壱式……」
色々考えたけど流派の名前とか簡単に思い付くもんじゃないよね?
ってことで、負けないぞという意味を込めて負けん流にしました。
「抜刀一閃!!」
キーンッッ!!
俺の刀とルサルカの剣がぶつかり合い……
パキンッ……
「くっ……!!」
ルサルカの剣が切れ、砕けた。
と、それを予期していたのかすぐに腰から短剣を抜き、切りかかってくる。
「1度でだめなら二度きりつけるまでだ!!」
速いっ!!
刀を振り抜いた状態の俺はどうしても刀の返しが遅くなる。
俺の驚いた顔が見えたのだろう、ルサルカが勝ち誇った顔で言う。
「これで止めだっ!」
そして短剣は俺の腹に刺さり……そうだったので刀を上に放り投げ、両手を使用して迫り来るルサルカの手をそらし剣の軌道を変える。
「なっ!!!!」
ルサルカが驚愕した顔で呆けているので投げさせてもらおう。
えいっ!
「きゃっ!」
うっし! うまいこと投げれたな。
一人目終わり!
と、後ろからイフリートが来た!
「すきあり!」
「そんなもんないよっと!」
縦に振り抜かれた剣を避け足を引っ掛ける。
「うわっ!……痛てっ!」
二人目も終わり!
イフリートをこけさせてから一応残心する。
そこをすかさず襲ってくるカインズ君とエマ(?)さん。
「カインズ、いきますね!」
「おうっ!」
「「風剣流壱式派生……両刀風閃ッッ!!」」
風を纏った一閃が両側から放たれた。
それを俺はジャンプして避ける。
「なにっ?!」
「そんなっ!」
そりゃそんな速さの横切りを避けられたらそうなるよな。
でもさ、そんなに呆けてていいのかな?
俺がジャンプした時にちょうど、先程投げた刀が降ってくる。
パシッ!
うっし! 刀の回収完了!
「あとは……」
俺は剣を振り抜いた状態で呆然としているカインズ君とエマさんの前に着地し、
「負けん流壱式……抜刀一閃!!」
パキンッ、パキンッ!!!!
2つの剣が無残に砕ける……。
「「「「……………………。」」」」
ガイモン先生! 呆けてないで終了の合図して!
この沈黙はちょっと辛いよ!!
俺の思いが通じたのかガイモン先生が動き出す。
「しゅ、終了だ……。ルサルカ他3名、武器破壊によりベルの勝利!!」
キーンコーンカーンコーン……
先生の合図と共に授業終了の鐘が鳴る。
ナイスタイミングッ!
「ベル、今日は良いものを見させて貰った! 次からも頑張れ! 他の者もベルに追い付けるよう頑張りなさい。では解散!」
そう言ってガイモン先生は出口へと去っていった……
超気まずい……
「みっ、皆ならすぐに追い付けるよ! じゃあお先に~!」
こういう時は逃げるが勝ちさ!
俺は闘技場から急いで走り去る。
四人の、
「「「「出来るかーッッッッ!!!!!!」」」」
という魂の叫びを無視して……
sideガイモン
俺の名はガイモン、ここオクタグラム学園の教師をしている。
ここに勤めて数年、俺は様々な生徒を見てきた。
そのお陰で俺は、どんなに変わった生徒が来てもあまり動揺しない自信があった。
だが今日俺が授業を持った生徒……ベルには、間違いなく今まで見てきた生徒の中でもトップクラスの驚きを与えられただろう。
初回授業の時、俺についてきた生徒5人の中で一番弱そうに思えたのは何を隠そうあいつだ。
他の4人は、竜族のルサルカとイフリートが組めば俺と対等、カインズとエマが組めばルサルカに勝てるだろうという評価だった。
まあルサルカの兄、水剣帝クリスタ=サファイアドと言えば、竜族きっての水剣流の使い手だ。
またイフリートの姉ガーネット=ルビードも、クリスタ=サファイアドには及ばないものの、火剣流6段の使い手だったはず……
この二人は別格だろうなと俺は考えていた。
ベルの剣筋を見るまでは……
二人ずつ組ませて、余ったベルを相手することになった俺は剣を構えた。
打ち込んでこいと言うと真剣な表情で構えにはいったが、ふとなにかいいことを思い付いた! というような顔つきに変わる。
どうしたのか尋ねると刀を使いたいと言い出した。
昔勇者の国にあったという武器で何代も前の勇者が使用していたという話をおぼろげに思いだしつつ、俺は許可する。
やがてベルは刀を携えて戻ってきたので、俺たちは再度構えに入る。
そして次の瞬間……俺の剣は砕けていた。
何が起きたんだっ?!
混乱した俺だがわかったことが一つあった。
今の一瞬で俺の刀を切り、砕いたのはベルの剣によるものだと……
俺は久々の剣士としての興奮を感じながらもベルに今の技はなにかと問う。
聞くと一子相伝の技で教えることは出来ないが、目で見て盗むぶんにはいいらしい。
そうとわかれば話は早いと、俺は稽古をしている四人を集めベルと戦ってもらうことにした。
そこからのベルは圧倒的だった…………
四人掛りで襲い来る猛者をすべて簡単にいなし、最後にはチャイムと同時に倒しきるという離れ業を見せてくれた、と言えば少しは伝わるだろうか?
この日から授業の度にベルに修業をつけてもらい始め(教師としてはやってはいけないことなのだが……)、いつしか俺は剣帝に迫る実力を身に付けるのだがそれはまだ数年後のお話。
今の俺には知るよしもなかった……
sideルサルカ
私はルサルカ、ルサルカ=サファイアド。
姫様の護衛としてこの学園へとやってきた。
突然だが私は剣が得意である。
水剣帝の兄、クリスタには遠く及ばないながら水剣流の5段位の強さはあると自負している。(水剣流の流派に入っているわけでなく兄に稽古をつけてもらっていただけなので5段というわけではない)
そのせいだろうか? 剣での勝負なら同年代で負けなしだった私は、このクラスでもきっと一番剣の腕が良いだろうと軽く天狗になっていた。
剣なら、入試をトップで合格なさった姫様にも負けたことがなかったというのも理由のひとつではあるが……
だが私は今日、本当の天才というものを知った。
その名はベル……。
彼は私達四人掛りの攻撃を全て避けきり、無傷で全員の武器を破壊するという離れ業をこなして見せた。
私なんてまだまだということを身をもって思い知らされた。
「それに剣を構えた時のベルは少しかっこよ……」
ふと私の頭にありえない思いが表れる。
いかん! 雑念を払わねば……
確かに竜族は強い者を好む習性はあるけども! 私は決して! ない! 絶対にありえない!
ゴホンッ! ……まあとりあえず、これからの当分の目標はベルに一撃いれられるようになることとしよう。
そう決意し、私はイフリートに声をかけた後、次の授業へと向かった。
おまけ
「イフリート! 次の授業へ急ごう。姫様を待たせてはいけない」
「あっ、ああ……。待たせてはいけないというのは賛成なのだが……ルサルカ、次は休み時間だぞ?」
「はっ……!」
この日イフリートは、初めて彼のクールな幼馴染、ルサルカの赤面姿を見たという。
気絶しそうなほどの顔面パンチを代償として……
「ぼ、僕がいったい何をしたっていうん……だ……ガクッ……」
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