7段と抜刀術
またも遅くなりました
ごめんなさい
魔法と武術のどっちを受けるか悩んだ俺は、最終的にレインの父である剣聖の流派、風剣流を習うためガイモン先生のいる闘技場を訪れていた。
闘技場にはイフリートとルサルカ、それにカインズ君が来ている。
あと一人なんか茶髪の女の子がいた。
美少女というわけではないがとっても優しそうな顔をしてるな……名前なんだっけ?
時々ポンコツになる魔王のスペックをフル稼働させ必死に思い出そうとしているとガイモン先生が話始めた。
「来たのは五人か。やはり魔法の方が人気があるな……わかっていたことではあるが……」
ガイモン先生が頬を掻きながらぽつりと呟く。
なんか哀愁漂ってんな……
だがすぐに切り替えたようで、授業を始めた。
「まぁいい。改めて……俺は元A級冒険者のガイモンだ。ここでは主に剣術を中心とした戦い方を教えたいと思う。俺が使う流派は風剣流、段は7段だな」
「「「「!!!」」」」
7段?
周りは驚いているようだが、よくわからなかったので隣にいたイフリートに聞いてみる。
「なあイフリート、段ってどうなってんの?」
「はっ? ベル、貴様流派の段位制について知らないのか? 竜族の僕でも知っているのに人族のお前が知らんとは……」
人じゃないです、魔王です。
「段位制というのはだな、人族の剣士達が定めた「いや、そこは大体予想がつく。じゃなくて何段から何段まであって、どこが一番強いかってことだよ」……段は初段から8段まであり8段が剣帝達の段位だ。つまりガイモン先生は剣帝達を除くと最高位の段位を持っているということだ、理解したか?」
まじか! めっちゃすごいじゃん!
けど何でA級なんだ? さすがにそのレベルの剣士がA級程度とは思えないんだが……
聞いてみよ。
「先生~」
「ん? どうしたベル、質問か?」
「先生って7段なのに何でA級冒険者なんですか?」
「ああ、そんなことか。一応S級冒険者昇格の話は何度も来ていたんだが、ちょうどその頃に子供が生まれてな。妻と危険を伴う冒険者の活動はしばらくやめておこうという話をしていた時に、ちょうど学園長にスカウトされたんで良い機会だと思い、冒険者を辞めて教師になったのさ」
なるほど、確かに家族は大事だよな。
「分かりました。ありがとうございます」
「他に質問のあるやつはいるか?ーーーよし、いないみたいだから授業を始めるとするか。まず君達の戦い方、主に剣の技量と格闘技術を見たい。二人ずつ組んで全力で戦いあってくれ。闘技場の上だから手加減はしなくて良い……では始め!」
カインズ君と茶髪の子、そしてイフリートとルサルカが組み、余った俺はガイモン先生と組むことになった。
先生が相手か……
どれだけ俺が強いといっても剣技を駆使して来る相手には手こずるはず。
実際、負荷をかけた状態だったとはいえアルスラ王国での稽古でノエルとレイモンドの剣は俺を何度も掠めていた。
気を引き締めなければ!!
「ベル、準備はいいか? では皆、いけ!」
ガイモン先生の号令のもと、四人は俺に向かって走り出した。
んんんんっ?! ……どうしてこうなった?
さかのぼること10分前ーーー
お互いに挨拶を交わした後ガイモン先生が剣を構える。
「よし、そちらから打ち込んでこい」
そう言われたので俺も闘技場で貸し出しされた剣を構え、打ち込みの体制にはい……ろうとしてやめた。
いいこと考えた! せっかく速さが自慢の風剣流とやるんだ、日本の剣士特有のすごわざってやつをやってみよう。
「ん? どうしたベル、打ち込んでこないのか?」
「すいません、ちょっといいですか? 武器を剣から刀に代えたいのですが……」
「刀? 勇者の国で使われてたとか言うあの……それぐらい別に構わんぞ。用意ができるまで他の生徒の試合を見ておくから用意が出来たら呼んでくれ」
「ありがとうございます!」
ってことで俺は貸し出し所に向かう。
さて成功するかなあ?
やり方はなんとなくわかるけど実際できるかは本番のお楽しみってとこだな。
そうして刀を借りた俺はガイモン先生の下へ向かう。
「先生~! 準備出来ました~!」
「おう来たか。しかしそんな扱い辛そうな得物を使うとは変わってるな。どんな業を見せてくれるのか楽しみだ! では来いっ!」
期待したような声でガイモン先生は先手を譲ってくれる。
では先生のお言葉に甘えましてーーーー
『飛天○○流奥義! 天○け○龍○閃き!!!!!!』
「ハァァァァァァァァァァ!!!!!!」
パキンッ!!
ガイモン先生の剣が俺の抜刀術によって綺麗に切れ、その神速ともいえる速さによって発生した衝撃波により刀身が無惨に砕け散る……。
ふっ……決まった……
他のメンバーも試合に夢中でこちらを見てなかったし目立たずにすんだだろう。
ところで今の技、刀で抜刀術といえば皆さんご存じ、あの人斬りさんの流派である。
……けっこうはっちゃけてしまったので〔なにか〕に俺達の存在を消されないことを祈ろう……
「おっ、おい!!!! ベル! 今のはなんだ?! 7段の俺でも見えないレベルの剣速だったじゃねえか。あんな速度で剣を振れる奴、今代の剣聖くらいしか俺は見たことねえぞ……」
驚いてくれて何よりだが、それに負けないくらい俺もけっこう驚いてる。
えっ? 今の速度で剣振れちゃうの?
てかレインのお父さんそんな強いの?
衝撃の事実である。
「今の……確か天「ストーップ!!!! この技は抜刀一閃とでも呼んでください。間違っても先程の技名は言わないで!! 消される!!」 おっ、おう……すまない……」
わかれば良いのです。
「それでその……抜刀一閃? だったか? 何をどうしたらそんな速度で剣を振れるんだ?」
「あー……それはですね……」
やばい……
言い訳考えてなかった……
俺の頬を冷たい汗が伝う。
しょうがない、こうしよう……
「一子相伝門外不出です!」 ニッコリ!!
「あっ、ああ分かった。なんでそんなに笑顔なのかについては分からないが。まあそれだけの技だ、簡単に教えられないのもしょうがないか……」
分かってくれたようでよかったです、はい。
「だが剣士として今のを見てしまったからには簡単に逃せないな。見て盗みたいんだがそれはありか?」
「? それくらいお安いご用ですけど……」
するとガイモン先生は、よしわかった! と笑顔になり試合中の四人に声をかける。
「イフリート、カインズ、エマ、ルサルカ! 全員集まってくれ! 急遽内容を変更する。四人掛りで授業終了、つまりあと20分以内にベルを倒せ。なにか質問はあるか?」
「ええっと……状況が読めないんだが。ベルがSクラス3位の実力者だとはいっても私達四人が相手だと厳しいんじゃないですか……?」
「心配するな、ルサルカ。ベルは強いぞ、少なくともさっき俺は一撃で負けた」
「「「「……はっ?!」」」」
おおぅ……謎の沈黙と唖然とした顔がマッチしてるぜ……
「……ベル、すまないが僕は正直信じられていない。よければ手合わせをお願いしていいか?」
と、イフリートが聞いてきた。
「おっ、おう……分かった」
それを皮切りに他の3人も勝負を挑んでくる。
「よし、決まったようだし始めるか」
ガイモン先生が満足そうに言う。
そうしてあれよあれよという間に4対1という構図に……
「ベル、準備はいいか? では皆、いけ!」
そんな感じで冒頭に戻る。
さて現状を把握してもらえたところで、再度言わせてもらおう。
……どうしてこうなった?
=======================
オマケ
「なあ、レイン」
「なにかしらベルゼ?」
「ガイモン先生の7段がすごいのは分かったんだけど、ノエルってなんか段位とってんのか? 一国の騎士団長なのにガイモン先生とそんなに強さに違いはないと思うんだが……」
「ああ、その事なら姉さんは風剣流の6段ね。まあ実際は7段になるだけの実力はあるんだけど……。それと姉さんの場合は、戦闘力以上に指揮能力の高さが決め手なの。あんな脳筋集団操れるのあの人くらいよ?」
「確かに稽古の時手こずったのって連携の良さもおおいに関係してたからな……あいつの指揮のお陰ってことか」
「そういうことね。だから姉さんはすごいのよ」
「ところでお前がお姉様、とかじゃなくて姉さんっ呼ぶのって……男っぽいから?」
「うっ……」
「図星か。まあ、あいつ男っぽいもんなぁ……体つき以外」
「それ本人の前で言わないでよ? あなたに男っぽいとか言われたら絶対にすねちゃうから……」
終
消されなければ良いのですが……
次は出来るだけ早く更新したいと思っています。思っています。大事なことなので二度言わせていただきました。
更新速度が遅いですができれば見捨てないでくださると光栄です。




