レインと修業(後編)
遅くなってすみません
「さて、では次のステップにいこうか」
無事第一段階をクリアしたレインを誉めたあと、俺達は修業の第二段階に入ることにした。
「だがその前にレインに聞いておきたいことがある。お前の父親の魔法適性についてなんだが……この話はしても大丈夫か?」
そういえば彼女は両親の話を嫌っていた。
嫌なことを思い出させるのではないだろうか……
心配になり尋ねる俺にレインは躊躇いながらもはっきりと答えた。
「……ええ、大丈夫。私これでも一応両親のことは『剣聖』と『煉獄の魔女』としてなら尊敬してるのよ? だから元SS級冒険者の時の二人の戦闘スタイルの話なら問題ないわ。それに私が強くなるためだもの、わがままは言ってられないわよ」
そうか……
レインも一応両親のことを尊敬してはいるんだな。
意外なところでレインの気持ちを聞けたのは思わぬ収穫だったが今は修業中、俺も気持ちを切り替え質問を続行する。
「じゃあ改めて……お前の父親、つまり剣聖だな。剣聖って風の魔法が得意だったんじゃないか?」
「えっ? まあそうね、わりと有名な話だし。剣聖の名を引き継ぐ前は風の剣帝とか言われてたらしいわ。なんでも風を纏って戦う剣帝だ、とかなんとか……実際は遠距離系の風魔法は使えなくて、自己強化系の風魔法だけが得意だったらしいけど」
ほうほう、だからか……
剣聖って名は引き継ぐものなのか? とか剣帝って何だ? とか色々疑問はわくが、ひとまず納得したことがある。
「お前の風魔法に対する適性が高いのはそれが理由か……」
そう、レインは恐らく気付いてないようだが彼女の風魔法に対する適性は火魔法と同じくらいに高い。
称号に風と火の申し子とかいう物を見つけたからこそわかったことだが。
だが剣聖の血はしっかり受け継いじゃっているようだ……
「私の風魔法に対する適性が高い……? そんなわけないじゃない! 私風魔法が上手く使えたことなんてないのよ? できてウインドボールとかぐらいだわ」
あっ、違った。剣聖と違って遠距離技も一応使えるんだ……
じゃなくて!
「そりゃ威力が出るわけないだろうな……お前の風魔法に対する適性ってのは剣聖と一緒で近距離系特化だ」
「あっ、そういうことねっ! そういえば近距離系の魔法は試したことなかったわ。確かにそれならつじつまが合うわけだし」
どうやら納得してくれたようだ。
「で、だ。お前体に風とか纏える?」
まだやったことがないから恐らく出来ないだろうが一応聞いてみる。
「無理よ、やったことがないもの。でも確か姉さんがよく使ってたはず……風よ、我が身に宿り我を守りし鎧となれ! 風鎧! あっ、出来ちゃった」
いけんのかいっ!!
レインが詠唱を終えたとたん、彼女の体を守るように殆ど見えない風の鎧が現れた。
まさか一発で完成させるとは……
突然のことに少々驚いてしまったが、気を取り直して俺はレインにさらなる注文を加える。
「……それじゃあ才能という名の理不尽さに呆けてばかりもいられないので次に行くぞ」
「理不尽が服着て歩いてるようなあんたにだけは言われたくない」
「うぐっ! ……鋭い突っこみなことで」
それについてはごめんなさい。
魔王だから大体なんでもできちゃうの、うん。
「手と足だけに纏うことってできるか? あっ、使用魔力量はかえないでくれ」
「う~ん、出来るかしら? ちょっと練習させて」
そう言ってレインは手と足だけに風を纏う練習を始める。
「くっ……難しいわね。手と足に魔力を集めようとしても分散しちゃって集まらないし、かといって力わざで使えるようになっても魔力の減りが早いんじゃ意味ないし……」
うむうむ、悩め悩め若人よ。若い内は悩むのが仕事じゃ。(俺も充分若いが……)
俺はレインを温かい目で見つめながら風を手と足に交互に纏う。
「ねえベルゼ? あなたわざとよね? さっきから私が出来ずに苦労しているのを見ていてあえてあっさり手足に風を纏っているのよね?! しかもその若いのう、みたいな目やめてくれる?! 腹立つわ!」
「アハハ、そんなことで怒るなよ~。栄養足りてないんじゃないか? 主に胸らへ……ちょいまち、何で急に手に纏えるようになってんの?! というか無言で近づいてくるな、まてまて話し合えばわかる! 俺が悪かったからその手に纏ってる風を一回無くそう? なっ? あっ、まっ、ちょい」
「デス・サイクロン!!!!」
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
弟子ってのは、師匠の予想を越えて強くなっていくんだな……
上級魔法レベルの強風を纏ったレインのパンチを顔面にくらいながら俺はふと思う。
格闘技もいけんのかい……
「はい、じゃあね、レインさんも無事手に風を纏えるようになったということで! 第三ステップいきましょうか!」
あれだけ苦労していたのに、俺に対して使用してからレインはきっかけをつかんだようで、もう完璧に纏うことができるようになっていた。
「はーい! でも……次おかしなこといったらコロシマスヨ、師匠?」
「わかりましたっ!!!! 全力で指導させていただきたいと思います!!!!」
恐い……ほんと洒落になってない。
しっかり師匠呼びして笑顔になっているレインだが、俺にはわかる。
こいつ……目が笑ってねぇ……
あまりふざけていると修業が終わる頃には殺されていそうなので気を引き締め直す。
「じゃっ、じゃあ次のステップだ。レイン、風を纏った状態で今から作る火の球に触れてみてくれ。燃えたらやばいから、全力で纏っておけよ?」
「ゴクッ……わかった……風よ、我が手に宿り我を守りし籠手となれ! 風籠手! ……用意できたわ、いつでもいいわよ?」
レインの準備が整ったようなので俺も火の球を用意しますか。
あっそうだ! ちょうどいい。
「レイン、どうせだから俺もお前の真似をしてやろうー!! お前も自分の魔法が完成したらどうなるか見たいだろうし……」
「へっ? それってどういう……」
「まあ見てろ。詠唱は恥ずかしいから流石に勘弁してもらって「全魔法使いに謝りなさい!!」 まあまあ、怒りなさんな。そんなことより出来たぞ……深紅之太陽爆発!」
魔法名を唱えた途端、俺の右手に野球ボール並みの大きさの球が現れる。
深紅としか言い様のない色あいで、なかなか良くできたんじゃないかと思う。
「なっ!!!!!!! ……嘘でしょ。これだけ小さいのに、私の大陽爆発の何十倍もの魔力が含まれてる……これが魔王の力……」
おぉ~! 結構驚いてくれているようでなによりだ。
けど……
「レイン? 俺は お前の魔法が完成したらどうなるか? って言ったんだぜ? お前に出来ないわけないだろ? この魔法に含まれてる魔力量はお前の大陽爆発と一緒さ。圧縮を続けて、さらに俺の言う通りにしておけば……わかるだろ?(ニヤッ!)」
「っ!!!! ……ってことはこの修業を耐えきれば……?」
「ご明察~! 使えるようになるよ?」
「ベルゼ! 早く次にすることを言ってちょうだい。ぼさっとしてる暇はないわ!」
さらにやる気が出てきたみたいだな。
でもなレイン周りを見てみろ?
「レイン、夢中になってるとこ悪いんだがもう夜だぞ? 明日も学園に行かなきゃいけないんだからまた今度の休みにな」
「うわっ! ほんとだ! 帰らないと! ……絶対休みの日になったら教えてよ?」
「わかったわかった。教えてやるから今日はこれでおしまい。さっ、帰るぞ?」
「はぁ……わかったわ、帰りましょ」
こうして俺達は修業を終え家路につく。
明日は始めての授業……楽しみだな~
こうして長かった修業の一日は終わった。
深紅之太陽爆発・・・ベルゼが大陽爆発を完成させた(魔改造とも言う)結果出来た魔法。その名の通り深紅に輝いており、特級魔法のなかでも上位の威力を持つ。
剣帝・・・火、水、風、闇、光の属性を持つ各剣士のトップ達。剣聖はこの中から自分の後継者を選ぶ。ただし剣聖と決闘し勝利した場合、その剣帝が剣聖となる。
作成した文章がとんでしまい遅れてしまいました。
すみません
次から本格的に学園編に入りたいなと思います。
あと大陽と太陽は誤字ではありません。ご了承ください。




