レインと修業(前編)
「さて、まず最初に言っとくが、今から教える魔法は危険度が高い。だから完成しないうちは俺が見張っているところで練習するように! さもないと最悪の場合お前の体が ドンッ だからな?」
「わっ、わかったわ……」
今俺は、新しい魔法を知りたいというレインの要望に答えるべく、町の外で彼女が新魔法を習得するための修業に付き合っていた。
「それでベルゼ、どんな魔法を「おいっ!!」 わっ! びっくりした……何よ?」
「俺は今からお前に修業をつけるんだぞ? いわば師匠だ! 師匠とよべ!」
「はぁー? なによ、あんたさっきまで 修業つけるだなんて面倒な約束するんじゃなかったー! って叫びまわってたじゃない」
ギクッ!!!!
「なぜそれを……!」
「あんたあれでばれてないと思ってたの……? 家の部屋の中とはいえあんなに大声で叫んでたんだから聞こえるに決まってるじゃない……」
「うっ……うるさいっ! いいから師匠って呼べよー! 呼んでくれなきゃ教えないもん!」
「うわっ、めんどくさっ! あんたは子供か! はぁ、全く……師匠、私に修業をつけてください。はい、これでいい?」
なんか渋々感が物凄いが、まあいい。
あこがれの師匠呼び!! 師匠……いい響きだ……
それじゃあ修業、始めていきますか!
「んじゃあまずお前の大陽爆発の欠点から探していこうか。どんな点がおかしいか、分かる人手を上げてー!!」
「私しかいないじゃない、なんの茶番よ……はい」
「はい、じゃあレインさん!」
「詠唱の長さ、は実力をあげれば短くなるからいいとして……サイズが大きすぎるから狙われやすくなること、大きすぎることで味方に気を配らなくちゃいけないこと、同じ理由で自分に気を配るためにどうしても遠距離技になっちゃうこと、あと失敗したとき自分も被害を受ける可能性があること、くらいかしら」
おっ、おう……
「よくわかってんじゃないか……なんで直さないんだ?」
「えっ? 昔から受け継がれてきた魔法を下手に直そうとしたら失敗して暴走するかもしれないじゃない」
「……そうか」
どうやらこの世界には、科学技術を発展させた地球の学者達とは違い、これまでの魔法を発展させたり新しい魔法を開発したりしようという魔術師は少ないようだ。
ここら辺が、漫画・ラノベやアニメで想像力が鍛えられた転生者や転移者(勇者他)が有利と言われる由縁だろう。
これは意識改革が必要なようだな……
「レイン、まずはその疑問点のある部分を片っ端から全部直せ」
「簡単に言わないでよ! 下手に直そうとしたら失敗して「大丈夫だ」……なんでよ?」
「暴走したとしても俺がカバーする。まずはその大陽爆発を完成させろ」
「でも大陽爆発レベルの魔法が暴走してしまったら、あっ!……あんたそんなちゃらんぽらんな性格でも魔王だったわね」
「おいっ! ちゃらんぽらんは余計だ! 大体お前ら王家はレイラさんを除いて、皆ことあるごとに俺にたいする態度が軽すぎるぞ……もうちょい敬えよ!」
「それならそれなりに魔王っぽくしてくれなきゃ。でも出来ないんでしょ?」
うっ……論破された。
そして黙りこむ俺にレインは容赦なく追撃を加えてくる。
「大体あんた魔王としての自覚が足りてないんじゃない?」
うぐっ!
「行動は子供っぽいし」
あべしっ!
「いちいちめんどくさいこと言うし」
ひでぶっ!
「おまけに問題ごとに自ら首を突っ込んでいっちゃうし」
やめてっ! ベルゼのライフはもうゼロよ!
「わかった! よ~くわかった! わかったからとりあえず魔法完成を目指そう、うん!」
「あっ、逃げた……まあいいわ。私としては早く新しい魔法を教えて欲しいし。でもなんでまず大陽爆発を完成させる必要があるの?」
その疑問はごもっとも。
……あと逃げてない、戦略的撤退だ。
「それはだな、俺が考えた魔法ってのは完成した大陽爆発ができること前提で使えるものだからだ」
「なるほど、そういうことね。ならわかったわ、大陽爆発をとっとと完成させるわよ!」
意気込みは充分。
あとはこの世界の人間であるレインがどこまで頭を柔軟にして大陽爆発を完成に近づけることが出来るか……面白くなってきた!
ワクワクした気持ちを胸に、俺はレインの修行を本格的に開始した。
レインside
「まず一つ目の欠点であるサイズについてだが……ぶっちゃけ圧縮できるようになるまで頑張れ! としか言えないな、うん」
「おいっ!」
私は、いきなり適当なことを抜かすベルゼに突っ込みをいれてしまった。
王女らしからぬ物言いだったのは反省しなきゃ……
でもベルゼもベルゼよ! ちゃんと修業をつけてくれるんじゃなかったの?!
大体どうしてこんなことになっているのかといえば、試合で味方のことを考えず魔法を使用して、周りの人を危険なめに合わせてしまい、落ち込んでいた私にベルゼが修業をつけてくれると言ったからだ。
魔王に見てもらいながらの修業……それもベルゼにつけてもらえる、それだけで私の心はワクワクで一杯だった。
だが今はどうだろう……
「おーい、レイン! やらないのか~? 圧縮だぞ、圧縮!!」
わかってるわよっ!! あんたもうちょい具体的なアドバイスとかないの!
心の中でつい文句を言ってしまう。
ベルゼは魔法が暴走しそうになったときこそ止めてくれてはいるが、他はひたすら圧縮しろとしか言わない。
さすがに我慢できなくなり、
「もっと具体的に説明しなさいよバカ!」
と怒鳴ってみたのだが……
「おっ、おう……わかった。そうだな~……こうグワッとやってギュッとしてバーンだ!」
というありがたみ皆無のお言葉をいただいた。
それではなにも伝わらないとベルゼに文句を言うも、
「そうか……ジュエルとセシルを鍛えるときはこれで通じるんだけどな~……」
こんなことを言われてしまっては、女としては負けられない。
まああんな天然&脳筋コンビと一緒にしないでよ! と言いたいのだが……まっ、まあそれでも女としては負けられない……はずだ……多分。
そうして四苦八苦しながらも二時間後……
「ーーーー大陽爆発!!!!」
「ほいっ!」
「はぁはぁはぁ……やったわ……私やったわ!! ついに半分くらいの大きさにまでなったわよ!! どうよベルゼ! 私だって出来るんだから!!」
ついに半分の大きさにまで圧縮することに成功した私は、喜びのあまり師匠呼びも忘れ、飛びはねながらもベルゼに尋ねる。
「ああ……俺もまさかこの短時間でここまでの大きさにまで仕上げられるとは思ってなかった。天才同士の子供ってのは伊達じゃないようだ……。だがこれなら充分次の修業に移れるな! よくやった、レイン!」
そう言ってベルゼは私の頭を撫でてくれた。
恥ずかしい……けどとっても暖かいな~
ぼんやりとした頭ながらにそんなことを考える。
「だけどこれで調子に乗っちゃダメだからな? まだまだ強化魔法無しじゃドレイクさんには勝てないぜ?」
そうベルゼが戒めてきた……がこの修業をしている間、私が調子に乗ることはないだろう……
何て言ったってアリアさんでも到底叶わない、世界最強候補である魔王様は、私の渾身の魔法を言葉通り ほいっ と消してしまっているのだから……
そんなのを見てしまっては慢心のしようがない。
けれど……こんな人に教えてもらえてるんだ! もっと頑張らなきゃ!!
私は決意を新たにした。
学校行事で旅行に行っていたので更新がだいぶ遅くなりました。ごめんなさい
これからもスライム君のダンジョン戦記?を読んでいただけたら幸いです。(ダンジョン抜けちゃいましたが……)
なにもなければ3日後更新予定です。




