スカウトと暗躍
「…………………………………………………はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!!!!!!!!!!」
うおっ! びっくりした……いくらなんでも声大きすぎだろ。
俺はジンに文句を言う。
「おい、ジンだっけ? いくら驚いたっつっても声でかすぎるだろ!」
「いや……だって……えっ? 魔王? ベルゼブブ? いやまさかそんな……魔王なんて王族と同じ扱いだぞ……てことは敬語のほうが……」
「コホンッ!」
「うおっ!!」
一人言が止まらないようなので、咳払いして止めた。
「まあお前がそうなるのも無理はないよ。だが俺は最近生まれたばかりで、十年と生きていない。あと堅苦しいのは苦手でね、だから敬語は無しで大丈夫だ。それよりお前達は?」
「あっはい……じゃねえ、敬語は無しでいいんだよな?」
「ああ」
「そうか。んじゃあらためて……俺はグリード帝国を拠点に活動しているカミヤ=ジンだ。隣で寝てるこいつはフラン、まあ俺の義理の娘だ。ここに来たのは、まあ決闘のために雇われたって奴だな」
なるほど、ジンにフランか。
しかしカミヤ……か。
「お前日本人か?」
「に、にんじん? どう言うことだ?」
どうやら違うみたいだな。
「んじゃあ質問を変えよう。どこ出身なんだ? 多分だけどお前グリード帝国生まれじゃないだろ?」
「おう、よくわかったな? おれは東にあるジャポーネ国っつう島国出身なんだ。なんでも昔召喚された勇者様がこっそり作られた国らしくてな、ほとんどの人に知られてないんだ。最近まで鎖国しててここ2、3年で開国しはじめたんだよ、すげえだろ?」
「そうか、そういうことなら分かった」
おそらくだが日本人が作った国なのだ、それなら名前が日本風でもへんなことじゃない。
「ん? ……てことは王族にあたるのは天皇か?」
「?! なんで知ってるんだ? ジャポーネのことは今知ったんだろ……?」
おっと、まずった!
言い訳しなきゃな……
「魔王の力をなめるなよ? (ニヤッ)」
これでどうだ!
「そっ、それもそうか……いや、すまねえ。あんたの言う通りだな。魔王だしなんでもありか……」
あら素直! というか魔王のイメージ像がすごいな……
「ところでジン達はなんでAランクなんだ? さっきの実力を見る限りSランクくらいの実力はあるだろ? フランちゃんもさっきそんなこと言ってたみたいだし……」
「ああその事か。それはな、お国柄ってのが関連してんだ。Sランク冒険者になるには依頼をこなしまくり、目立つことによって王族の目にとまって許可をもらう……ってのが普通なんだがグリード帝国では違う。一年に一度、王族主催でSランク昇進をかけた武闘会があって、その大会の優勝者と準優勝者がSランクになれる。だからグリード帝国のSランク冒険者はレベルが高いって言われてんだ」
「へー! 知らなかった。だけど優勝者と準優勝者の景品が同じじゃあ文句が出ないか?」
同じ景品なら準優勝のほうが得なわけだしな……
「大丈夫だ、景品なら他にもある。準優勝者はグリード帝国の二人しかいないSSランク冒険者の一人に1日稽古をつけてもらう権利が与えられるし、優勝者は現在人類最強候補って言われてる皇帝マモー様に取り立ててもらえるっていう権利が与えられるんだ。これならどこからも文句なんか出ねえからな」
そうか、マモンは人間に化けてるんだっけ……
まあだがこれだけの実力者なら仲良くしておきたいな。
「なあジン、ちょっと耳よりな相談があるんだが……」
「ん? なんだ?」
「俺はお前達がSランク並みの実力があると思ってる」
「おっ、おう……魔王のお前に言われるとなんか照れるな」
「そこでものは相談なんだが……アルスラ王国お抱えの冒険者にならないか?」
「はっ?! できんのかそんなこと?!」
「ああ、問題ない。俺が掛け合ったら一発だろう。……そうだよな、レイン?」
「ええ、そうね。さっきの戦いを見る限りいけるだろうし、何より仮にも魔王様直々の推薦なわけだし……」
おい、レイン……仮にもってなんだ仮にもって!
「ゴホンッ! まあそういうわけでアルスラ王国のSランク冒険者、やってみないか?」
「あっ、ありがてぇ……是非やらせてくれ!!!!」
こうして話を練り、ジン達は推薦状を持ってアルスラへと旅立っていった。
「まさかあなたがあんなに推薦しようとするなんて……あのジンって冒険者そんなにすごいの?」
決闘の帰り、家に向かって皆で歩いているとレインが話しかけてきた。
「ん? ああもちろん! ジンは魔法使ってこなかったけど全属性使用者だったし、フランって子も……いやこれはやめておくか」
「全属性使用者?! あんたしれっと話してるけど全属性使用者なんて世界に10人といないなんていわれてるのよ?!」
「そうなのか。でも魔法使ったことないみたいだったし学園の長期休みにアルスラ王国へ帰るときには魔法の稽古をつけてやらないとな」
だが本当にやばいのはジンの方じゃない。
あの気だるげに見えたフランって子……あっちのほうが育ったらやばい。味方につけて損はないだろう。
まあ一応じいさんへの手紙も預けてあるし、あの人のことだ、うまいことやってくれるだろう。
「ええ、そうしてあげたら? ……魔王が稽古をつけてくれるなんて贅沢な話、早々ないけど……」
「そうか。なんなら暇なときに稽古つけてやってもいいぞ?」
俺がそう言うと、途端にレインが喜び始めた。
「うそっ! お願い! やったー、ベルゼと二人で稽古~! うれしい!」
おうおう、喜んじゃってまあ……
まあ貴重な魔王の個人レッスンだもんな、無理もない……
「あ~、これマスター何もわかってないって顔だね~」
「ああ、そうだな。主の悪い病気がまたでたようだ……」
「流石はベルゼ様、女心に気づかないままもてあそぶ! その手腕に惚れ惚れします……」
「ああ~……こっちも悪い癖がでたね~。アスタロト、多分当分は帰ってこないよ~」
「……これさえなければ、最高の師匠なんだが……」
なんか外野が聞き捨てならないことを言っているみたいだが、今の俺は面白そうな奴をスカウトできたので機嫌がいい。まあ許そう。
そうして帰ってくると、一言お疲れ様ですと言いそれからは何事もなかったように接してくれた、セバスとメアリーさんのおいしい料理を食べ俺たちは床についた。
おやすみなさいZZZ…………………
リトル=ピッグside
「くそっ!! あいつらめ! 高い金を払って雇ったというのに全然使えないではないか!」
「ピッグ様、いかがなされますか? オクタグラムを追われてしまったのではどうしようもありません」
「何を言われようと俺はあいつらが許せん! 特にあのベルなどという汚ならしい平民風情と、王国の王女というだけで態度のでかいあの女がな!」
「しかしどうしようもないのでは?」
「ふーむ……クフフ、いいことを思い付いたぞ! 誰か父上の暗部のものを2、3人借りてこい!」
「……どうなさるおつもりで?」
「クフフ、簡単なことよ。人質としてあの王女を拐う……もちろん誰の仕業かわからないようにな? そして捕まえてきた王女は……グフッ、グフフフフフ!!!!」
「……了解いたしました。今すぐ用意いたします(この国は駄目かもしれんな。ああリトル=ボア様と戦場を駆け巡ったあの頃が懐かしい……我がライバル、セバスはどうしているだろうか。……いくらあの方の孫といえどこれではあまりにも……潮時かのう)」
end
キャラ紹介
バトラー=カイゼル(じいや)……リトル=ピッグの執事。ピッグの祖父にあたるリトル=ボアに小さな頃助けられ、それ以来リトル家に仕えている。
戦闘や料理の腕前もすごく、セバスと拮抗するほど。(料理大会には出ていない)
実は昔、メアリーが好きでセバスと三角関係であった……らしい。
遅れてしまい真に申し訳ございません。
明日も更新できるように頑張りますので、これからも スライム君のダンジョン戦記? をよろしくお願いいたします。
ブクマ&評価&見ていただいてありがとうございます。




