決闘騒ぎと正体ばらし
リトル=ピッグside
許せん許せん許せん!!
誇り高き帝国貴族である俺を、卑しい平民ごときがこけにしよって!
あの王女も王女だ! 女ごときは黙って男に媚を売っていればいいものを……いつか覚えてろよ?
まあ良い、それよりもどのように恥をかかせてやろうか?
「おいっ、お前達! なにか良い案はないか?」
なかなか思い付かなかった俺は部下達に案を出させることにした。
するとじいやが良案を考えついたようなので話すように促す。
「ピッグ様、僭越ながらお父上様にご相談なさるのがよろしいかと。最近新しく優秀な部下を手にいれたとおっしゃられておりましたので。なんでも人体を強化する薬を作っている研究者だとか……」
「なるほど! それは良い考えだ。おい誰か父上と てれびでんわ とやらを繋げ!」
「てれびでんわ、というとあの最近召喚した勇者が作り出したという……わかりました」
5分後、てれびでんわ の用意ができたので父上に連絡を取る。
「なんだ、ピッグ。どうかしたのか?」
「父上! それがですね…………」
父上に今の状況を説明する。
「なるほど、わかった。ならばある薬を送ろう。それを戦わせる奴に飲ませておけ、全ステータスを一時的に二倍にできるらしい」
「おお! それは素晴らしい! 是非お願いします」
「ただ、余り腕のたつ部下には飲ませるなよ? 副作用で死ぬ可能性があるからな」
「はい! ……しかし余り強くない部下にやらせると万が一ということも」
「なあに、別に戦わせる奴は一人じゃないといけないわけじゃないだろう?」
そうか! さすがに父上は頭のできが違う!
「わかりました! このピッグ、必ずや相手を這いつくばらせて見せます!」
「そうか、頑張りなさい。ではな……」
そう言って父上とのてれびでんわを終える。
よしっ! これであいつに恥をかかせられる。
当日が楽しみだ、クハハハハ!
あれからピッグ君からの使者が来て、勝った場合何を要求するかについて決めたり、どのような勝負形式にするかを話し合ったりした。
そうしてはや3日、ピッグ君との勝負の日がやってきた。
「私が今回この決闘の見届け人をやらせていただく、風紀委員のオリバーです。学園都市での決闘は風紀委員が見届け人をするルールなのでこのまま進めさせていただきます。ではルールを確認します。相手を気絶や降参させた方の勝利とし、私が戦闘不能と判断した場合も同様です」
うん、変なとこは無いな。
「武器、道具の使用はありで、ベル氏側が勝利した場合ピッグ氏の都市追放を、ピッグ氏側が勝利した場合ベル氏を奴隷とする……これでよろしいですね?」
「ああ」
「おう」
そう、俺が負けた場合は奴隷にならなければいけないらしい。
まあ負けないけどね?
「ではお互いに決闘をなさる方は前に!」
俺は一歩前にでる。
だがここで問題が起きた。
ピッグ君側が9人も代理人をたててきたのだ。
「ちょっとあなた!! 9人も代理人を出すなんて聞いてないわよ!!」
「何をおっしゃられます王女殿下? 代理人の人数に指定なんてありませんでしたよ、クヒヒ!」
「ぐっ、確かにそうだけど……」
「坊っちゃん! まだやらねえのか?」
レインがピッグ君に文句を言っていると、しびれをきらしたのか9人のなかで一番強そうなのが話始めた。
「坊っちゃんの親父さんにけっこうな大金払ってもらったから来たがな、Aランク冒険者もそんなに暇じゃないんだぜ?」
! へー、Aランク冒険者なのか!
「そうだそうだ! ジンさんもこう言ってんだ! 早く始めさせろ!」
「静粛に! それではご要望通り進めさせていただきます。ベル氏側は本人一人、ピッグ氏側は代理人9人でよろしいですね?」
「レイン、いいから任せろって! 大丈夫だからさ~ ……ってことで俺はいいぜ?」
「こちらも問題ない。お前達! この平民を這いつくばらせろ!」
「では……始め!!!!」
「まずは様子見だ、死ぬなよ坊主? 身体強化! おりゃっ!!」
そう言ってジンとやらが剣を投げつけてくる。
うん、まあまあ早いじゃないか! これなら縛りありなら楽しめるな。
そんなことを考えながら、剣を避ける。
と、四方から切りかかってくる、がたいの良い冒険者四人。
こいつらは話にならないな……
あとの四人は魔法職のようで、
「風よ! わが前に集まりてひとつの球となれ! 風球!」
「火よ! わが前に集まりてひとつの球となれ! 火球!」
「水よ! わが前に集まりてひとつの球となれ! 水球!」
「プロテクト……」
ボール系で三人揃えてきた。
なかなか強いみたいだ。
だが、ほんとにやばいのは最後の奴だな……
さっきピッグ君がこっそり渡していた妙な薬を、ジンとこいつだけは飲んでいなかった。
恐らくあの薬はドーピング薬みたいなもんで、それを必要としないくらいこの二人は強いってことだろう。詠唱破棄できるみたいだし……
全員の実力を見切った俺は雑魚を先に戦闘不能にするため、久しぶりの覇圧……ではなく下位互換である威圧を放つ。
「「「「「「「「ぐぎゃっ!!」」」」」」」」
「なっ! どうしたお前達! 大金を払ったのだ、もっと働け!!」
ピッグ君が呼びかけているが、残念! 七人とももう気絶させた。……ついでに回復魔法もかけといたから、そのうち何事もなかったかのように起きてくるだろう。
「坊っちゃん、無駄ですぜ。全員気絶してまさぁ。にしてもやべえな……ただの学生が、あいつらはともかく俺達Aランク冒険者と渡り合えるほどの実力者とは」
「……それに私達は実力ならSランク冒険者並み。なのに勝てる気がしない……」
おっ! 魔法使いも喋った! 声からするに若い女性みたいだな……
「いや~、それほどでも~!」
「いや誉めてねえよ! ……面白い奴だな。しかしここまで強いとは……なにもんだ、坊主?」
「う~ん……よし! 今からやるこれに耐えられたらいいぜ~!」
俺達三人は、一度戦闘を中断する。
「なにをやっている! さっさと倒せー!!!!」
ピッグ君がなんか言ってるが無視だ。
「これ? 何やる気だ、坊主?」
「これだよ、これっ。ほいっ!」
掛け声と共に強めの威圧を放つ。
「ぐおっ!!!! ……これはきっついな!」
「うっ……つらい……」
そりゃ弱めてるとはいえ、魔王の威圧だもんな。
しかしなんだかんだ愚痴りながらも流石はAランク冒険者、二人共5分間俺の威圧に耐え抜いた。
威圧を解除すると、途端に二人はへたりこんだ。
まあ無理もないか……
「いや~きつかったー!!!! まじで坊主はなにもんだよ……」
「もうだめ……私寝る……おやすみ……ZZZ」
「なんだかんだ言って耐えきったじゃん! お前らも十分すげえよ! でも実力差はわかっただろ? 降参しない?」
「そうだな……坊主に勝てるビジョンも見えねえしそうするか!」
「おう! そうしちゃえそうしちゃえ~」
……しかしさっきからピッグ君の声が聞こえんな。なんでだ?
振り向くと……あー気絶中か~。
貴族だからこういう威圧的なのに慣れてないんだな……
「ではこの勝負、ベル氏側の勝利となります。ピッグ氏側は都市追放ですので早めの退去をお願いします。ではっ……」
そう言ってオリバー君は去っていく。
ピッグ君側もお付きの騎士達が、気絶したピッグ君を運んでいったのでここにいるのは俺達だけとなった。
「んじゃあ正体を教えてくれんだよな? フラン……この寝てる奴には後で俺から伝えておくから」
それなら問題ないな。
「ひとつだけ条件がある、俺の正体をばらさないことだ。簡単だろ?」
「まあそれぐらいなら……」
「ならいい。俺の正体は……」
そう言って俺は眼鏡を外し、体に魔王の紋章を浮かび上がらせる。
「今代の暴食を司る魔王をやらせてもらってる三代目暴食之王だ、よろしくな?」
「……………………………………はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!!!!!!!!!!」
お読みいただきありがとうございます。
ブクマ、評価励みになります。
テストなので次は1回休んで土曜日に投稿する予定です。申し訳ありません。




