反省と合格発表
「それで? 言い訳はそれだけ?」
「はいっ……その、あの、誠に申し訳ありませんでした。あれだけ使うなと言われていたのに使ってしまいました!」
レインに怒られ中now。
散々注意されていた無詠唱を受験で使用してしまい、それをレインにばれてしまったのが運のつき……
ばれた瞬間に俺は正座させられ、かれこれ二時間近く怒られっぱなしである。足が痺れてそろそろ限界が近い……
だが、早く終わってくれないかと、話を適当に聞き流し始めた俺にレインがまたも怒りだす。
「聞いてるの?! 私はあなたのためを思って……ブツブツブツブツ」
あぁ……
魔王ってなんだろう? こんなテストの点数が悪かった子みたいな扱いされるようなちゃちいもんだっけ……?
助けて、青ダヌキ……
「レインちゃ~ん。もうマスターも反省してるみたいだし~、許してあげてよ~」
「ジュエル? 私は今ベルゼを叱るっていう大切な用事があるのよ? ひっこんで「お母さんみたいだね?」へっ?」
「確かにそうだな! 主を叱るレインは確かに主の母上のようだったぞ?」
「うぐっ! 私そんな歳じゃないのに……」
おおっと?! ここで二人のフォローきたー!
まあできればもっと早くやってほしかったけど……
「はぁ……しょうがない!もうこれくらいで許してあげる! 次は気をつけなさいよ」
「はいっ!!」
元気よく俺がそう返事をすると、レインは満足そうに部屋を出ていった。
これで万事解決だな! よしっ、俺もなんか飲みにいっ!!!
「痛ってー!!!! ずっと正座だったこと忘れてた~!!!!」
「ベルゼ様? 大丈夫でしょうか。よろしければこのアスタロト、しびれがとれるまでひざ枕でもいたしましょうか?」
「アスタロト殿、主をあまり甘やかしてはいかんぞ」
せっかくのアスタロトの提案を即却下するセシル。
おいセシル! なんか俺に恨みでもあんのか!
「確かにそうだね~! それよりマスター? お願いがあるんだけど~」
今度はジュエルがなにかを言ってくる。
この時俺の背筋にぞわぞわっ! っとした気配を感じた。
魔王としての本能が逃げろと訴えてくる。
この隠れドS爆弾様は絶対危険なことを言ってくる! やべぇ、逃げねば!
しかしどうやら一歩遅かったようだ……
「足つつかせて~?」
やっぱ来たー!!!!
「ちょっ、やめろ! まて! 早まるな! おいっ、セシルとアスタロトまで何でそんな恍惚とした表情で! まじ?! まって! ほんと待って! お願いしま……ギャアァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!」
……この日俺はもう二度と、人との約束は破らないと決めた。
正座後の足ツン、いくない……
まああの後何だかんだあって数日後の今日、待ちに待った合格発表の日である。
「レイン! 行こうぜ~!」
「はいはい! すぐ行くから待ってなさい。……お化粧しなきゃ!」
レインのお母さん度が上がってやがる……保護者会にいく母親そのものじゃねえか!
そうして俺達は、再び合格発表の行われる学園前へとやって来た。
張り出された掲示板には人だかりができており探しづらい。
掲示板の前には喜んでいるやつも悲しんでいるやつもいた。
この学園は規模がでかいので応募者数も多いがその分落ちるやつも多く、意外と名門学園のようだ。
毎年1000人単位で受験者がいるが、約200人くらいの合格者しか出ないらしく、そこからさらに成績順にクラス分けされていく。
AクラスからDクラスまでは45人ずつ分けられ、上位20名は特別クラスであるSクラスに振り分けられるらしい。
俺も人だかりを乗り越え、掲示板の前にきて自分の番号を探す。
「おっ! あった! 三位か」
「ちゃんと実力はセーブしたようね。私もあったわ、四位ね。それにしても、二位の人は噂の聖女様として……一位は誰かしら?」
二位の聖女? とやらも気になるが、確かに一位のやつが気になる。
実力はだいぶ押さえぎみとはいえ、それでも筆記試験一問ミスで格闘試験満点、魔法もほぼ満点という結果をだした俺を抜くやつがいたなんて……面白くなってきた!
名前覚えとくか! えーっと……聖女様ってのがセイラ(だけか?)ってやつで、一位のやつが、ドレイク=アリアか。
「なあ、何でセイラって人は名字? がないんだ?」
あっ……レインが呆れてるかも、どないしよ。
「はぁ……そんな焦った顔しなくても、前みたいに説教したりしないわよ。あなたに常識がないのは充分わかったし「なんだとー!」……それにそんなあなたも意外とかわいくて好きだって最近気づいたし……ボソッ」
ボソボソ最後になにか言ったようだが、まあ怒られないならいいや! でなんでなの?
「聖王国の王族の習慣なのだけど、王となった者は代々セラムの名を、その娘の中で一番優秀な者はセイラの名を引き継ぐ者なの。わかったかしら?」
「なるほど、わかった」
そういうことだったんだな。そういやセシルはあの国出身だっていうし、卒業したら一度行ってみるか。
そうして、とにもかくにも受かった俺達は軽くハイタッチをし、 合格者受付へと並ぶ。
「はい、次の方~。ベル様ですね? えーっと……三位合格おめでとうございます! こちら制服と教科書です! 制服のほうにはクリーンの魔法と軽い防御魔法がかかっているので、改造する場合は専門家にお願いするようにしてください! ではこれからも頑張ってくださいね!」
受付のお姉さんから軽い説明の後、激励の言葉と制服と教科書をもらう。
その後に入学式の日取りや時間、持ち物などが書かれた紙を貰いレインを待つ。
レインの番も終わりいざ帰ろうとすると、後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「貴様! この俺がDクラスだと?! 俺は誇り高きグリード帝国の「豚!」貴族だぞ! 平民の受付ごときがゆるさんぞ「ブー!」」
なにか聞いたことのあるフレーズが聞こえたので邪魔をしてみた。
周りの生徒達も必死で笑いをこらえているようでなによりだ。
「だれだー!! さっきから俺の邪魔をするやつは! 出てこい!」
「は~い! お~れで~す!」
呼ばれたので出てみる。
「なっ! またお前か! さすがに二度目は許せん! お前に決闘を申し込む!! どうだ? これなら王女殿下の力も借りれまい!」
……どゆこと?
「なるほど……考えたわね。決闘っていうのは貴族達のあいだに伝わる物事を決めたいときに使う勝負なんだけど、これはお互いが同意してしまったら王族であっても取り消すことはできないの」
ほー、なるほど。
「だが断る!!」
よしっ、言いたいセリフトップ10が言えたっ!
「なっ……卑怯な! 恥知らずめ! 逃げるというのか!」
散々いってくれちゃってまあ……だが、
「俺別に貴族じゃないし~! 豚の串刺しを作る気もないんです~!」
とたんにグフッ! という吹き出したような音があちこちから聞こえた。
……俺漫才師でもやっていけたかもしれんな!
俺に聞こえたいうことは豚貴族にもその吹き出した音は聞こえたわけで……
「ムキーッ! なんたる恥知らず!……ブツブツブツブツブツブツ」
うぜぇー……なんか言い出したぞ。
「はぁ……しょうがないわね。ベル、受けてあげなさい! その代わりあなたがベルに負けたら二度とこの学園に現れないこと! いいわね!」
「! ……ははぁっ!」
「えっ? まじか! まあレインが言うならいいけど……んじゃ決闘は三日後な」
レインに膝をついて返事する豚ちゃんが面白くて吹きそうになったがなんとかこらえ、返事を返す。
豚ちゃんは、最後の去り際にこう宣言して去っていった。
「この誇り高きリトル=ピッグの決闘を受けたことを後悔するがいい!」
……これが俺の限界だった。
「クッ!……アハハハハハハハ!!!!! 苦し~! ピッグ! ピッグ! リトルピッグってアハハハハハハハ!」
俺の笑い声だけがそこらじゅうに響いた。
まわりの皆はよくわかっていないようで不思議そうにこちらを見る。無理もない、この世界の言葉じゃないからな……
……と、まあこうして俺はピッグ君と決闘することが決まった。
今から楽しみだ!
テスト前ですがなんとか絞り出しました。
これからも読んでいただければ幸いです。




