学園長と受験の日
学園長side
私はこの学園都市の長を勤めるドラゴニア=サラ。
はぐれハイエルフと風竜たちの王である嵐竜王の娘だ。(自分が言うのもなんだがはぐれハイエルフってなんだっ?!)
今日はこのオクタグラム学園の受験の日。
今年も将来性溢れる若者たちがたくさん集まってきたようで何よりである。
だが今年の受験生には最も注目すべき者達がいる。
それはセラム聖王国の聖女セイラ、そして三代目暴食之王ベルゼ=スライムクンの2名である。
聖女はともかく大魔王であるベルセ=スライムクンは正体がばれないように受験を受けに来るらしいので注意しなければ……
「ということで生徒会の中で現在唯一暇なサリア君。私はドッキ……受験生の不正が無いか調査するために受験生として混ざってくるのでかわりに仕事を頼むよ」
「ちょっ! ちょっとまってください! 学園長の仕事なんて私にはとても荷が……それに生徒会長にばれたらまたおやつ抜きにされちゃいますよ」
そうか……会長ちゃんのケーキは美味しいからなー
私の心は揺らいだ。それはもう地震のごとき規模で揺らいだのだ。そして一つの結論にたどりついた……
「サリア君……こんな言葉を知っているかい?」ゴゴゴゴッ!
「ゴクリ……何ですか……?」
「ばれなきゃ犯罪じゃない!!!!」
「……………………………。」
あら? けっこうきまったと思ったんだけど……
「学園長……それ犯罪者の思考だと思います」
うっ! それを言われると……
「だっ、大丈夫! 皆誰しも心の奥底は犯罪者さっ! ってことで遊ん……調査に行かなければならないから雑よ……大事な仕事頑張ってね! さあいたず……調査だ~!」
「学園長、発想がほんとに危ないです……。あと願望がところどころ口から出てますよ?」
……サリア君もなかなかやるじゃないか。だからその蔑むような目はもうやめて? 生徒会の数少ない癒しである君にその目されるとまじでへこむから……
ここで私は妙案を思い付いた。
「そうだ! サリア君、もし私のことを黙っていてくれたら……」
「何ですか……私はなに言われても協力はしませんからね?」
やっぱ無理っぽいな……
「はぁ……やっぱりサリア君を助けてくれたというベル君をさがしだして会わせてあげるってだけじゃだめ「やらせていただきますっ!!」 か……?! えっ?!」
「私前々から学園長に憧れてまして、学園長の仕事を是非手伝いたいと考えていたところなんです! だから学園長は気にせず、そう一切何も心配せず!! 調査してきてください! つつつ、ついでにベルさんにもお礼を言っておきたいので会わせてくださってもいいですよ? もちろん他意はごごご、ございませんよ?」
うっわ~……
恋する乙女じゃん! 目がハートじゃん!
あの真面目なサリア君をここまで変えるとは……恐るべしベル君とやら!
まあとにかくサリア君に許されたので万事解決だ。
私は急ぎ試験会場に向かって歩きだした。
最初の試験で試されるのは学力。
どの教室に向かうか迷っていた私は次に来る生徒についていくことに決めた。
「おっ? きたきた! でっかい子だな~……名前は? ふむ、カインズ君か。確かアルスラ王国の副団長の弟だったな」
伊達に私も長く生きていない。色々と知識や経験は豊富だ。(何故か一度も彼氏がいたことはないが……この美貌を放っておくとはなんて失礼な奴等だ!)
それじゃああの子についていって……B教室か。
私はB教室の扉を開ける。
ふむ、けっこうな人数がいるじゃないか。
鑑定していくとしよう。
ほーっ、今年も色々な子がいるもんだなぁ。料理スキル持ちのがたいがいい子に、殺人料理スキル持ちの……
うえっ……お母様を彷彿とさせる~!!
《ただいま女性にあるまじき顔がうつっております、少々お待ちください。》
ゴホンッ! さて次はどの子を見ようかな?
よしっ! あそこにいる ださい眼鏡をかけた少年 にしよう。
鑑定!
=======================
名前 :ベル(ベルゼ=スライムクン)
種族 :見ないでくれると嬉しいな! 強いて言うなら大魔王?
状態 :通常
HP :ところでさ
MP :何でこんなところにいるの?
攻撃 :今度手作りケーキでも持って行くから、魔王を撃退した時の話を聞きに行かせてね?
スピード :多分テストは受かると思うから、これからよろしくお願いします。
通常スキル :△◎〇◇〆~
=======================
なっ?!
私は魔王を撃退して以来一度も感じることのなかった久々の恐怖を感じた……
あはははは……
……ステータスをどうやったらそんな風に変えられるんだよ
相当実力差がないと欺けないのが鑑定なのに……
「あっ! 学園長! どうでした? ベルさんは見つかりましたか?」
学園長室に帰ってきた私に、仕事を任せていたサリア君が早速聞いてきた。
だが私は軽くうちひしがれており、簡単な言葉しか返せない。
「ああ……。一応ね……」
「どうかされたんですか、学園長?」
「いやね……。私はまだまだ井の中の蛙だってことを思い知らされたのさ……君の王子様であるベル君にね?」
「わぁ! やっぱり出会えたんですね! やったー!!!!」
あ~あ……私もまだまだだな~
覚醒した魔王……大魔王ってのはあそこまで違うもんなんだ。
「やったやった! ベルさんに会える~!」
「あはは……」
全く……この子を見ていると、私の悩みなど無駄なものに感じられるね。
今はそれでよしとしよう。
だけど……ベル君が入ってきたら修行をつけてもらう!
覚悟しててよね!!
おまけ
若き日のレンフォード&レイラ2
「レイラ、今日も綺麗だよ! その綺麗さを僕だけの物にしたい! 結婚してくれないか」
「いやよ、めんどくさい……」
私、アルスラ=レイラは今日も幼馴染のロイド=レンフォードの告白を断った。
「そうか……だが諦めないぞ! もうすぐ休み時間が終わるから行くが、また今度挑戦させてもらおう。またな! キランッ!」
そうやってレンフォードは去っていった。
「ねぇレイラ、ロイド様のことほんとは好きなんでしょ? 何で受け入れないの?」
友人達の一人が話しかけてくる。
「だっていつもいつも告白しに来るじゃない? 最近、彼ってけっこう軽い男なんじゃって思えてきたの」
私の言葉に友人達は口をポカンと開けて呆然とこちらを見始めた。どうしたのかしら?
「レイラ、本気で言ってるの……?」
「あちゃー、ロイド様報われなさすぎでしょ……」
「あのね、レイラ! 自覚してないようだけどあなたはとてもかわいいの! そんな人ならいつ誰に告白されてもおかしくないと彼は考えて、焦っているのだと思うわ」
……ちょっと何を言ってるのかわからない。
「ナルホド! ワカッタワ!」
「あっ、これだめだわ……久々のぽんこつレイラになっちゃった」
「しょうがない、レイラへの罰も含めてこの話をしときますか!」
「話?」
私は興味をひかれたので、話を進めるように促す。
「あなたはロイド様以外の他の人にも1日に5、6回は告白されてる。あってるわね?」
本当のことなので私はうなずく。
「10回よ!」
「えっ? なにが?」
「だから! ロイド様が1日に告白される回数!」
衝撃の事実に体の力が抜ける。
ということは私が告白を拒否しすぎたら、私以外の子のところに行ってしまう確率も上がるってこと?!
そんなことになるくらいならさっさと告白を……
「どうやらロイド様の気持ちがわかったようね? 後はあなた次第よ。頑張ってね、レイラ!」
私は今日から、もう少しレンフォードに優しく接しようと思った。
が、この時私は一歩遅かったのだ。
「ロイド様! 私と付き合って下さい!」
「ええ、いいですよ」
私の目の前は真っ暗になった……
end
どうするレイラ? 負けるなレイラ!
ということでおまけにレンフォード&レイラ2をあげました。またそのうち書きます。
お読みいただきありがとうございます。
今回は学園長視点の受験でした。地味に学園長の両親がすごいのは後々話にすると思われます。(まだ全然構想が練れていませんが)
ブクマ、感想、評価ありがとうございます。励みになります。
次回は21日更新予定です。




