混浴と過去語り
ポヨン、ポヨン、ポヨン……
風呂に浮かぶは、2つのメロンと1つの巨大ビー玉……1つは俺で2つはな~んだ?
「……ルゼ君、ベ……ゼ君!」
「はっ! ここは……風呂? 何だか変な夢を見た気がするんだが……」
「良かった! ベルゼ君、気がついたんだね!」
ん? ノエルの声が聞こえたぞ?
「ノエル? 何でここに……って何だその格好?! 湯浴み着か?……」
そこには湯浴み着のようなものを着たノエルが座っていた。
隣に浮く2つのメロンは透けた白い布を押し上げ今にもこぼれだしそうだ。
目のやり場に困る……
「のっ、ノエルっ、お前女だったのか? てかそんな薄着で恥ずかしくないのかよ……」
「恥ずかしいもなにもさっき全部見たじゃないか、あれに比べたら……もしやさっきの衝撃で記憶がとんだのか? ぶつぶつぶつ……」
なんかノエルがぶつぶついい始めたぞ? こわっ!
「とっとにかく! せっかく来たんだからベルゼ君もはいっていくといい! ……できればスライム状態でお願いしたいけど」
「えっ? 何で? てか顔赤いぜ、大丈夫~? のぼせた?」
まったく、いつものクールなノエルさんはどこに行ってしまったのだか……
俺が裸のまま人化しただけじゃないか。
「君、今の状況わかって言ってるよね?! ああわかりましたよ! 言えばいいんでしょ、言えば! 君、男の子だからその姿で一緒に入ると変な気分になってくるの! はぁはぁ!」
怒鳴りすぎて大分お疲れのようだし、これ以上やって怒られるのも嫌だな、からかうのはこれくらいにしよう。
「わかった。でもスライム体なら念話を使うからな?」
「わっ、わかった! わかったから早く!!」
やれやれ、せっかちな子だな、人化解除!
途端に俺の体は崩れだし、やがてスライムとなる。
〔ほい、これでいいか?〕
「あっ、ああ。これなら大丈夫だ」
〔んじゃ、裸の付き合いってことで聞きたいことがあるんだが〕
「しれっと人の膝の上に座っておいて、マジトーンで話し出すところに若干納得がいかない気がするけど……なんだい?」
あっ、やっぱばれたか……
まっ、まあいい。
〔お前らの親に何があったんだ?〕
「……君には話しておいた方がいいかも知れないね。レインには黙っててくれるかい?」
〔ああ、わかった〕
それじゃあ、とノエルは語り出した。
「私達の母さんは小国のお姫様でね、当時アルスラ王国の第一王子だった父さんに学園で一目惚れして嫁いできたんだ。母さんは煉獄の魔女って呼ばれるほど火系統の魔法が得意でね、剣聖と呼ばれてた父さんと二人でSS級パーティーを率いてたんだよ、すごいでしょ? あっ! 話がそれちゃった、戻すね。
で、やがて結婚した二人は私を産み、その数年後にレインを産んだ。
それから私達は仲良く暮らした。あの頃は母さんも父さんもいて幸せだったな。
……だけどとある事件が起こってしまった。」
〔……事件?〕
「母さんの祖国にやつら……グリード帝国が襲ってきたんだ。
その知らせを聞いた母さん達は、自分達が助けに行くと言って私達を残して行ってしまった」
またグリード帝国か……
俺達に害をなすようなら、今度潰しにいかなきゃいけないな……
「それからまもなく戦争は終結した、もちろんグリード帝国の勝利でね……
だけど母さん達は帰ってこなかった……今頃どうしているのか」
〔なるほど……でもそれならレインが怒る理由がわからないぞ?〕
「それなんだけど……僕はその話をお爺様から教えてもらったから知ってるけど、あの頃のレインはとてもそんな重い話を受け止められるような歳じゃなかった。だから苦肉の策として両親は僕達を捨てて別国で生きてる、ってお爺様がね……」
いやいやいや、それは……
「大丈夫、言わなくてもわかるよ。レインに勘違いされても当然のことだよね。だけど不器用ながらにレインを傷つけまいとしたお爺様を責めないでくれるとうれしい。これが両親の秘密さ……」
ってことはこいつらの父ちゃんと母ちゃんは生きてるのかわからないってことか……
せっかくダンジョンを出て自由になったんだ、人助けもいいだろう!
〔よしっ!〕
「わっ! どうしたんだい、急に?」
〔レインとノエルの両親はいつか俺が蘇生してでも連れて帰る!〕
「ちょっ! 蘇生って! セラム聖王国を敵にまわすようなこといわないでくれよ!」
〔知ったこっちゃねぇ! こちとら魔王様だ! 殺れるもんならやってみろっての! だから安心しろ! いつか俺が……全部元通りにして見せるから!〕
「!! ベルゼぐん、ありがどう……」
〔うわっ! 大丈夫か? 泣くな泣くな! こんなときにはどうすれば〕
ちょっ! 元ぼっちの俺に泣いてる子の相手とか無理だぞ!
どどど、どうすりゃいいんだ?!
「ふふっ、おろおろしてるベルゼ君もかわいいね……惚れちゃいそうだよ、まったく(ボソッ)」
〔えっ? 何?〕
「何でもないよ、んじゃ出よっか! のぼせてしまったよ」
〔そっ、そうか……〕
よくわかんないけど俺に話して楽になれたなら良かった良かった。
俺達は風呂から出るとそのまま体を拭きに「ちょっと待って?」
「ベルゼ君、思ったんだけどね? 私ばかり恥ずかしい思いをしている気がして納得がいかないんだ。今の君、スライム状態だし……僕が洗ってもいいよね?(ニッコリ)」
やばい、やられた! いくらスライム体とはいえ、人に洗われるとか恥ずかしすぎる!
〔いや~、俺はいいよ。じゃっ!〕ガシッ!
「逃がさないよ? 妙なところで恥ずかしがるんだね~……じゃっいくよ?」
〔ちょっ、ちょいま、いやいやいやいやいやー!!!!!!!!!〕
ベルゼの声なき声が響いた。
その日、覚醒して初めてベルゼは負けを認めたという……
アスタロト、ジュエル、セシルside
「「「はっ! 誰かが主(ベルゼ様)にうらやまし……じゃなかった! 無礼な行為を働いている?! 許すまじ!!」」」
この日どこからか強烈な殺気が放たれ、王城にいる多くのものが気絶し、王城のシステムが一部停止し大混乱となったが、これはまた別の話……
ルシファーside
とある王城の一室。
一人の美しい若者が水晶玉を覗きこんでいた。
「ん? へ~、あの大きい学園に通うことになったんだ! 魔王が学生……くくっ、くくっくくくっはっはっはっ! これは笑える! それなら学園の卒業前に使者を送るとしよう。まったく君はいつもいつも僕を笑わせてくれるね! これからも楽しませてほしいものだ!」
この男、魔王最強とうたわれた覚醒魔王ルシファーである。
どこぞのスライム君は知らず知らずのうちに、この魔王のトップに気に入られていた。
若者……いや傲慢之王ルシファーは、一人ポツンと呟く。
「もうじき また あれが始まる。時は近い……強くなりたまえよ? 三代目君?」
end
そろそろ3日に一度更新にしたいと思います。
変わらず読んでいただけると幸いです。




