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新次元紀行  作者: 木戸攘夷
第30章 獣の見る夢
87/96

(1)

 怒りが頂点に達し、赤い足跡を残しながら逃げた人間の気配を追って彷徨い歩くエルメル。


 足先は皮が剥がれ血だらけになっていた。

 咆哮が夜空に木霊する。

 坑道の入り口には赤いラインが張られていた。


 サルナのショルダーバックに入っていたグッズ。全25対。鉛筆ほどの大きさで1から25まで番号が振ってある。


 スプレー式ガンを使って岩に打ち込むと自動的にアンカーを広げ固定される。

 対番毎に赤いラインを自動的に結びラインに力が掛かると爆発する。起爆センサーだった。


 ラインが見えるのは警告の印。

 入ってはいけないという。


 (たやすい)

 数本のラインをまとめて引きちぎる。

 数秒後、爆音と共に散弾のような岩石片がエルメルを襲う。


 顔を伏せ、両腕と片足で急所をガードする。

 散弾程度ではエルメルの厚い皮と筋肉を貫通することはなかった。血だらけだが致命傷は全く無い。


 残り十数本が坑道の奥行き方向に見える。その区間20m程度。


 (こんな時間稼ぎは無駄だ)


 腰を落とし、両手を広げ咆哮と共に突進する。

 体と角に巻きついたラインをものともしない。

 背後から爆風が襲う。それもなんら問題ない。


 エルメルは簡単に走り抜けた・・・

 ・・・はずのエルメルに危険な違和感がまとわりつく。


 (まずい)


 直感的にそう感じた。なんだか判らない。

 ダッシュしながら手を伸ばす。ほんのわずかな区間。


 視野が徐々に狭まり暗くなっていく。体が軽くなっていく。

 地面を蹴る感覚が無い。


 五感が視野と共に急速に収束していく。


 楽観視できない何かの罠に落ちたことをエルメルは悟った。


 右手手首のみが罠の空間から外に出ている。

 それ以外の感覚が徐々に無くなっていく。

 右手首以外の体は何処かへ行ってしまった。


 思考が研ぎ澄まされていく。

 思考が次第に休止へ移行することに大した時間を要しなかった。


 思考を停止しなければいずれどんな屈強な精神の持ち主でも悔い改めるか夢を見るようにして発狂してしまう。


 エルメルは何時しかいつも見る夢を見始めた。

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