(1)
本道は水勢が弱まり今は僅かに溢れる水のみが側室に流れ込んでいる。
「結界はもう効いてないはずです。毒を受けてからもうかなり経っています。サルナさんは大丈夫ですか」
トルクはトロッコからサルナを降ろし、地上に繋がる穴から天を仰いだ。
「ドナウ、ドナウ聞こえるかい。今すぐナイルを連れて来るんだ急いでくれ」
「間に合うかい」
「・・・・・・」
トルクは天を仰ぎ続ける。
トルクとアルバドアンザールはその場に座り込んだ。
「私はトルクに話しておかなければならないことがあったのです」
手を後ろについて足を投げ出したアルが話し始めた。
トルクとアルバドアンザールが二人っきりで話すのは何年か振りになる。
チームフラミンゴではプランニングをよく二人で行った。
メンバーが小休止している間、二人で話し合う。深刻なアルバドアンザールの幾つかのプランをはぐらかしながらトルクが一つに絞る。二人は少なからず緊張しつつ互いの役割をこなしていた。
そして互いの手の内は熟知しあっている。
「創造主の後継候補のことだろ。何かの間違いじゃないのか。ピンとこない。そもそも大迷惑だ」
「ピンとこない?そんなことはあり得ません。それは自分自身が一番よく判っている筈です。私は騙せてもコーラマバードの意思までは騙せませんよ」
「もっと一線で活躍してる有望株はいくらでもいる」
「でもその生き残りが今、目の前にいます」
「もうとっくに道をハズしてるけどな」
「今は関係ありません。後継者になってからのほうが成長を要求されますから。未来を買われたのです。そして未来を買われた人たちはありとあらゆる分野の多岐に渡りました。その真意を知ってコーラマバードを探しに来たのではないのですか」
「未来を売ったつもりも無いし売り渡す未来も既にありゃしない」
「その程度で宿命から逃げられるとでも・・・」
「宿命?便利な言葉だな。義務だとか責任だとかそんな言葉の為に昔だいぶ痛い目にあったし死にそうにもなった」
「ビッグシューターのことですね。それは私には関係ありません。何歩か譲ったとしてもそれは多分私のせいではない・・・おそらく・・・いや、多少は・・・、少しぐらいは・・・ですから」
「とうとう尻尾を出したな」
アルバドアンザールは笑ってそれ以上は取り合わなかった。




