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新次元紀行  作者: 木戸攘夷
第28章 時代の錬金術
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(4)

 12.0K、11.0K、10.0K、猛スピードで流されながらアーチのレジコンに刻印された数値は発光する水に照らされる。

 所々壁には巨大なハザードマークが時たま反射する。少しずつだが坑道はその全貌を教えてくれる。

 

 その頃遅れて入ったトルクは地の底から響く轟音にたじろいでいた。


 「なんか音がするぞ。しかも穴の先が少し明るい」


 トルクが目を閉じて聞き耳を発てていると異様な速さでそれが近づいていることがわかる・・・。


 次に目を開けた時、水流らしきものがすぐそこまで近づいていた。


 「やばっ」と口に出しては見たもののもう遅い。

 踵を返したところで後の祭り。


 アルバドアンザールが1.0K、坑道の出口近くまで流されたころ、トルクが轟音と、迫りくる発光水流にたじろいでいた。


 「やあ、トルクっ、遅かったね」

 「はあっ、聞こえねーよ。なんだこれは・・せつめい・しろー」


 全速力で逃げるトルクの叫びは声にならない。


 アルバドアンザールを先頭に据えた水流は足元まで迫っていた。

 いや次の瞬間トルクの足先はもう必死なアヒルのように浮いていた。


 トルクが天地を失おうとしたその時。


 急に流れが弱まった。いや、物凄い勢いで逆流し始めた。


 前のめりで倒れるトルクの足が水に引かれて行く。

 トルクは流されてきたトロッコにサルナを見つけ手を掛けた。

 アルバドアンザールは後ろを振り返ると水が勢い良く引いていく。

 そして自身も水に乗り坑道内へ逆戻りしていく。


 それは水圧によって新たな通路が出現したことを意味する。


 おそらくそこがコーラマバードの待つ場所だった。


 その場所は広く、明るかった。頭上には地上に繋がる太い穴があり、そこから星の光が入っていた。


 坑道のそこら中にあるであろうコンクリートの封印扉の中で、唯一水圧で開いた側室。ちょうど4.0K付近。

 吸い込まれた水は、側室空間の壁に刻まれた無数の亀裂に飲み込まれていた。

 流れ着いたトロッコ。

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