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新次元紀行  作者: 木戸攘夷
第28章 時代の錬金術
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(2)

 途中に分かれ道が幾つもあったはずだが暗くて見えなかったのか。

 それとも同じように塞がれてしまっていて気づかなかったのか。


 ランタンを受け取りアルバドアンザールが高くかざすと行く手と軌道は巨大なコンクリートの壁で坑道全体が塞がれていた。


 境界が判別しがたいほど大きいコンクリート壁には十数か所腕を入れられるほどの穴が開いている。

 そこから覗くと反対側をうかがうことができる。ライトは反対側まで繋がっているらしくこちらよりはかなり明るい。


 だが手を入れてもコンクリートの壁が厚くて反対側までは全然届かない。


 アルバドアンザールはこの場所に初めて来るし、この先のイベントを知りはしない。


 「どうすればいいんですか。マエストロ、教えてください」

 アルバドアンザールの声が長い間反響する。だが当然返事はない。

 「こっちへ来て」


 動き出したエライザがアルバドアンザールを導く。

 コーラマバードが100年もの間、自己を標本として与え続けたエライザ。

 見上げる穴を指さす。

 2m程の高さの穴へ抱っこするようにせがむエライザをアルバドアンザール。

 抱きかかえるとエライザは穴の中に入っていく。


 いっけん窮屈そうに見えたがとても自然に・・・。

 まるでエライザの為に穴が開けられていたかのように。


 「エライザ、どうなっている。平気なんですか」

 「大丈夫。今こちらから開ける」

 穴を介してエライザの声が反響する。


 暫くして壁の反対側から機械音がした。

 限られた使者しか通り抜けられない穴の先にキーユニットがあった。

 コンクリートの壁が地響きを発てながら転がるように動き始める。


 ゆっくりと壁の中へ転がっていく。最後は坑道を揺らす程の衝撃と音を発てて壁の中に収まってしまった。


 坑道の恐らくは最深部。

 曲がりくねった坑道により方向感覚はなくなり、どれくらい下ったのかも坑道は教えてくれない。

 そこはさらにレンガによって塞がれていた。

 レンガの隙間から薄い光が漏れている。


 アルバドアンザールがレンガを軽く蹴る。力の通る感触がある。

 何度も何度も渾身の力で蹴る。


 息を切らしたアルバドアンザールがレンガをとうとう蹴り開けた。


 そこには広い空間が存在していた。


 多種多様な壁画に彩られた壁。

 壁画と壁画の隙間はびっしりと象形文字で埋め尽くされていた。

 コーラマバードが戯れに書いたものなのか。


 アル自身も当然内部は始めて見る。

 そして中央に赤錆色の大きな多面体が浮遊している。


 結界の中枢。№1と刻印されたエレメントの親玉。

 円周上に配置された負のエレメント6個とたった一つで吊りあっている正のエレメント。


 一世紀以上も光り続ける怪しげな多面体。

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