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新次元紀行  作者: 木戸攘夷
第26章 悪魔のパワーストーン
76/95

(1)

 幹は直径2mもあろうか。点在するブッシュの一つ。


 幌トラックが横付けしたそのブッシュは目を見張るほど大きい。

 土壌が小さなクレータ程にえぐれ、その高さ大きさは周りと違わないサイズに恐らく偽装されていた。

 そしてその分厚い根の塊はマングローブのように地表1メートルまで立ち上がっている。


 黒服が根を剥がしていくとそこには大きな石を孕んでいた。

 周りの骨分を吸収し、さらにその周りを根が覆っていたのだ。


 骨分は手で触れるとパラパラと剥がれ落ちる。剥がしても剥がしても剥れ続けれる。

 最後は自ら崩れ落ちていった。根元の空間に積もっていく。


 そしてNO.5と刻印された琥珀色の球体が根の中で浮かんでいた。


 エルメルが右手を上げて指図すると黒服の一人がその球体に触れる。

 いや、触れようとした。黒服は瞬間に体温を奪われその場でどす黒くなった。


 凍死?したのだ。


 琥珀色の球体は微妙に振動しそのまま浮かび続ける。

 またエルメルが右手を上げて指図するともう一人の黒服がサブマシンガンを撃ち散らした。


 なおも傷一つ付かない琥珀色の球体は浮かび続ける。

 コーラマバードが仕組んだ結界に違いなかった。

 1世紀以上の間その場に浮かび続ける小さな琥珀色の球体。

 難攻不落の結界を構成する一つ。


 何者かが仕組んだ結界は世界中に何か所も確認されている。各々が悪魔のパワーストーンで守られていた。


 何故それが悪魔のパワーストーンと呼ばれるのか。それはパワーストーンに触れた者は総て変死してしまうからだ。

 発見された悪魔のパワーストーンは何もしなくても早ければ数時間、遅くても数日後には消滅してしまった。

 それぞれが何かの目的でその場にあった。人目をはばかる数多の都市伝説を隠す目的で。


 そして発見されると直にその創造主によって隠匿されてしまう。


 エルメルに当然消滅するのを待つ気はなかった。

 それがそこにある理由、隠しているものが何かはっきりしている以上は待つことは無意味だった。

 待っていればその間に獲物は何処かへ逃げてしまう。


 そしてもちろん悪魔の力などとは信じていない。

 「生贄ならば此処にいくらでもいる。盃が満ちるまで注ぎ続ける」


 エルメルがまた右手を上げて指図すると黒服が一人悪魔のパワーストーンに触れた。

 黒服はまた瞬間に体を冷たくして倒れた。

 黒服が順番に悪魔のパワーストーンに触れていく。5人目が倒れたころには眼に見えてパワーストーンは振動が大きくなっていた。


 「エネルギーレベルがかなり上がっているな。次はお前だ」

 エルメルは直ぐ後ろで控えている男に指図した。

 ここからがまた長かった。10人目が倒れてもその扉を開ける気配がなく、次第に絶命までに男たちが苦しむ時間が長くなっていった。


 特殊な操作で感情を失っているインスタンスだが傍目にはかなり不幸に見える。

 23人目が絶命したころ感覚でも判るほど今まであった時空に歪みが増えていた。


 24人目がパワーストーンに触れたときパワーストーンがその活動の閾値を超えた。

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