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《フラミンゴはツヨ過ぎタ。三度のチャンピオンジャケットをカクトクしたフラミンゴをノバナシにはできナイ。リーダー達はフラミンゴから潰すケイカクを立てタ。5時間マエ、暗闇の隧道でセイシンノチカイを火にクベタ》
「そしてメッセンジャーを寄こしたってことか」
アンドジョンが襲い掛からんばかりに睨みつける。
《ソウイだ。ソウイでなければメッセンジャーは執行しナイ》
「そして多数でなければメッセンジャーは活動しない」トルクが付け加えた。
「すごいですね。メンバーが多ければ多いほど総意を取る難易度は上がるというのに」
「もういいよ」何かを決心したトルクがしっかりした口調で言った。
トルクが立ち上がると同時に現れたエージェント・ゴーレムがメッセンジャーの前に立ちふさがる。
エージェントに威嚇されたメッセンジャーはしばらくにらみ合った末にゆっくりとフェイドアウトしていった。
フェイドアウトする先、既に2匹のストレイドッグが腰を低くして襲い掛かるタイミングを測っていた。
エージェント・ゴーレムが一歩二歩とストレイドッグににじり寄る。
2匹のストレイドッグはこれもまた後ろを向いて走り去った。
川の浸食で形成された巨大渓谷。
そこで開催されたクロスリアリティゲーム・ビッグシューター。
光学カモフラージュスーツにバックパック。720度ゴーグルでクロスリアリティホストと対話しながら駆け抜ける。
距離はゲームによって異なるが300km未満。一番にクリアすればいい。単純なゲームだ。
だがゲーム自体は遅くとも29.5日で終結する。29.5日に近づくとだんだんアイテムの制御を失うからだ。
ビッグシューターはスタートから既に16日を越えていた。
3番フラグでキャンプするチームフラミンゴ。
左右を断崖絶壁に囲まれ、前進か後退か。
日の出から半日を過ぎてもキャンプホールドを解かないチームフラミンゴにアクシデントがあったことが決定的に知れ渡ってしまった。
何処かのチームのエージェント・パロットが常に上空を行き来している。アクシデントを隠しきることはできない。
「こちらを先行させて余裕のパロットを飛ばして様子見か」
アンドジョンがロングショットガンで一台のパロットを撃ち落とす。
「カラフルなパロットだな。わざと目立つ色で余裕を演出してやがる」とトルク。
「棄権しましょう。リスクが高すぎます」飛び回るパロットを見上げアルバドアンザールが言う。そして続けた。
「やむ負えない。致死者を出してまで勝ちにこだわるつもりはありません。待ってる人がいるんでしょうから。エイシンも皆も」
「ちょっと待ってしょうだい」
「そうだ、ちょっと待ってくれ。アルはいいさ、才能もあり、裕福だ。俺とエイシンにはこれしかないんだ。やっとシーズンチャンプの可能性が見えてきた。弟と約束した。必ずシーズンチャンプにたどり着く」サンドノが言った。
「パロットの毒にあたったことがあるのか?」
「あったら私はここにいないわ。あの激痛は脳と心を蝕む」
「俺はある。これが最後のゲームだ。次こそ既死者になるだろう。正直もうゴーグルを外したい。だが・・・止められない」
アンドジョンが左腕のシミを見せる。パロットの毒にあたった時に出来たものだ。
「頼む、棄権はやめてくれ。今回だけは・・・勝ちたいんだ。もうやめるいやもう一回、もう一回と続けてきた・・・。くそっ、だが・・・もうだめか・・・いや、まだやれる。足手まといにはならない」
ミスタースマートの異名を取る程のサンドノが珍しくも決死の覚悟を訴える。その顔は泥にまみれていた。
「既死者が出れば勝てるのか」




