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新次元紀行  作者: 木戸攘夷
第18章 シーウルフにでも乗った感じで
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(2)

 サルナはフロアに向かって凍結銃を撃つ。

 銃弾はリキュールに吸い込まれた。


 「待って・い・た・ぞ。息を殺しながら、獲物がかかる瞬間をな。」

 (ちょっと角の生え方早いんじゃないのって、付け角だな)

 エルメルの角はこの前1本折ったはずだ。それがもとあったとおり左右同じ大きさで生えている。

 ただちょっと違うのは新しい方の角が金属質のシルバーになっていた。


 「炙り出されたくせにえらそうなこと言わないで」

 「フリーザなどは問題ない。この角で突き刺すだけだ」

 そういいながら円いテーブルを右手でサルナに、イスを左手でカウンターのトルクに軽々と弾丸の速さで投げつけた。

 サルナは辛うじて両腕でテーブルの直撃を裁いた。腕にはアザができるだろう。


 トルクの頭上僅か数センチを木製のイスが通り過ぎ、漆喰の壁に当たって砕け散った。埃と破片が辺りに飛び散る。


 「そうやすやすとやられるかってーのっ。もう一本の角も折ってやる」

 カウンターに飛び乗ったトルクはジャンプしながらエルメルとの距離を一気に詰める。


 そして警棒を下斜め45度からゴルフスイングの要領で振りぬいた。

 いや、振りぬこうとした。だが振りぬけない。


 エルメルは片手で警棒をしっかり掴んでいた。電流は流れている筈。だがびくともしない。

 力勝負にしても病み上がりのトルクには決定的にパワーが足りなかった。


 「同じ手は食わない」

 (やられた。肉球?が絶縁されてやがる)

 「今度は貴様の時間を貰う。永遠の時間を」

 エルメルは警棒ごとトルクを高い天井に打ち付けた。


 後頭部を天井にしこたま打ったトルクの意識はその時点で呆気なく飛んでしまった。

 ぼろ雑巾のように剥がれ落ちる。


 そして落ちてくるトルクの胸を新調したシルバーの角で叩きつけた。


 トルクは壁に叩き付けられ、勢い余ったエルメルの角はカウンターの上部を粉々にした。

 またもぼろ雑巾のように壁に打ち付けられ、壁伝いにゆっくり落ちていく。


 「トルク!」

 ・・・・・・

 「やつの息はもう聞こえない。諦めるがいい」


 両手を斜め下に広げ、獲物を追い詰める熊のようにサルナに迫る。テーブルとイスをラッセル車のように抱えながら。


 今度はかわしようがなかった。エルメルの抱えるテーブルとイスに巻き込まれたサルナはそのまま壁に激突した。

 足はフロアから1m近くも浮いている。

 腹部にテーブルの足がめり込む。そしてサルナの右の太腿にはテーブルを突き抜けたエルメルの角が食い込んでいた。


 角の先の獲物は徐々に力が抜けてく。そして完全に力が抜けた。

 エルメルはゆっくりと角を引きぬいた。その先にはサルナの血が流れている。


 テーブルとイスが崩れ落ち、そして凄まじい咆哮を放った。


 圧倒的な敗北。


 エルメルはバーの階段を下りるといつの間にか全身黒ずくめの男が方ひざをついて待っていた。

 男たちは幌の付いたトラックで乗り着けていた。


 「油を撒いて火を放て」

 「アルバドアンザールは何処に?」

 「見当はついた。ここはもう用済みだ」

 そう言うとエルメルはゆっくりとフェイドアウトし始める。


 黒ずくめの男は無言で頷くと片手を上げた。荷台から黒ずくめの男たちが降り、ガソリンをバーの周りに撒き、火を放った。

 勢い良く火はバーを炎に包んでいく。

 男たちはこういった作業に慣れているのか、わずか数分で作業を終わらせ、火がバーを包んだことを確認するとトラックに乗り込み去っていった。

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